表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

サンタがウチにやってくる!

作者: 放浪日和

厳密には「童話」ではないことは重々承知ですが、

サンタクロースに夢を見ていた、幼い子供の頃の体験談です。


クリスマスの時期になると毎年のように思い出す、遠い「あの日」の思い出。

 これは、まだ私がだいぶ幼かった頃の話。


 クリスマス・イブの晩、本当にサンタクロースが我が家にやってきたことがあった。

 「どうせ、親だろう?」と思う人があるかも知れない。

 だがその時、両親はいずれも家にいて、私と一緒にクリスマスパーティーをしていた。

 そして、我が家は親戚も祖父母も遠方在住であった。


 ただし、我が家はごく一般的な日本の住宅であり、暖炉も煙突もなかった。

 故に、サンタクロースは普通にチャイムを鳴らして玄関からやってきた。

 「メーリ、クリスマ~ス!」

 玄関の扉を開けると、絵本に出てくるあの絵ヅラそのままのサンタクロースが、驚きと喜びで立ち尽くす幼い私に微笑みかけてきたことを、今でも覚えている。

 「キミの欲しいものは、分かっているよ」

 サンタクロースはそう言い、担いでいた大きな白い布袋から、当時私が欲しがっていたオモチャを取り出してプレゼントにくれた。

 クリスマス前に書いた、サンタクロースへの手紙が無事に届いていたことが分かり、感激して大喜びする私。満面の笑顔でサンタさんにお礼を言い、抱擁を交わし合った。

 「君が良い子にしていれば、サンタはまたやって来るよ。では、良いクリスマスを!」

 サンタクロースは優しく私の頭を撫でると、そう言い残して玄関から出て行った。

 プレゼントを抱え、それを見送る私。

 「良かったね。さあ、またケーキを食べよう」

 サンタクロースが出ていくと、両親は私に声をかけ、先にリビングへと戻って行った。

 しかし、プレゼントを抱えて立ち尽くす私は、ある事を考えていた。


 …サンタクロースの、トナカイとソリが見てみたい…


 本当にトナカイにソリなのか。そしてそれは、本当に夜空を飛ぶのか。

 住んでいた地域が雪の降らない地方だったこともあり、疑問は次々と湧き上がってきた。

 好奇心が抑えられなかった私は、急いで隣の部屋へと走り、ワクワクしながら窓からこっそりと外を覗いてみた。

 そして…見てしまった。


 サンタクロースが、自動車(白のセダン)に乗り込む、その瞬間を…


 …サンタさんが、ソリじゃない…!?


 赤く光っていたのはトナカイの鼻ではなく、自動車のテールランプであった。

 ほんの5歳やそこいらの子供にとって、その衝撃はあまりにも大きかった。

 あの時の遠ざかっていく赤いテールランプは、今でも忘れることなく脳裏にこびりついたままでいる。


 子供心に、何か見てはいけないモノを見てしまったことに気付いた私は、そのまま何も言うことなく、静かにホームパーティー会場(別名:茶の間)へと戻って行ったのだった…


 ほんのちょっぴりほろ苦い、いつかのメリークリスマス。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] トナカイが見られなかったのは残念でしたね。 でもサンタさんに会えたのはいい思い出^_^
2023/12/30 16:02 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ