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転生魔王の英雄譚  作者: クソラノベ量産機
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第2話 試合と実技

 魔法の授業が終わると教室から校庭へと移動すると筋骨隆々の男性の教師が木剣を地面に突き立て待っていた。


「うーむ、今年集められた才能ある小童どもは総勢十二人か安心せい! このワシ“ローゼット・ランブロット”が鍛え上げてしんぜよう!!」


「ふふ、態々かの有名なランブロット家に指導してもらえるなんてね。」


「俺はあんまり厳しいのは嫌かな……」


「男の癖に頼りないわね。」


「…………大した事無いな。」


「!?」


「ちょっと! なんて事言うのよアンタ!?」


「そうだぜ! あの体術で有名なランブロット家の者が直々に手解きしてくれるんだぞ!?」


 ローゼット・ランブロットと名乗った男性を見て違和感に気付いて相手の本業を見破る。


「落ち着き給え、君はワシをどう捉える?」


「そうだな、先ずはその筋肉の付き方から話そう。 筋肉には二通りの鍛え方が有り、“魅せる筋肉”で戦いには向かない物と“戦闘に特化”した筋肉の鍛え方がある。 主は前者、つまり筋肉を活かした戦いに慣れてはいないのだろう? 乃ち、得意としているのは魔法か召喚術と見たがどうだ?」


「おい、幾ら何でも目立ちたいからって無茶苦茶な事言うんじゃねえよ! この俺様“キース・ホルン”様の師匠でも在るのだぞ?」


「お兄様! あまり問題を起こさない様にお父様から言い付けられてるから、その……」


「イリスは黙っていろ、これはホルン家の問題に成りかねん!」


 白髪の男の子キースが気に食わないと言わんばかりに語りかけ、それをイリスと呼ばれた女の子が宥める。


「ぶわっはっは! キースよ、確かにそこの小童の言う通りワシは肉体派では無いぞ寧ろ魔法頼りの戦いしか出来ぬ。」


「しかしローゼット先生! こういった奴には立場を分からせる必要が!!」


「お兄様!!」


「丁度良い、そこまで言うなら試合をしてはどうかな?」


「臨むところだ! おい貴様、マオと言ったか? 負けても泣きべそかくなよ?」


「成程、教え子の成長に我を利用するか……良いだろう此方も学ばせるつもりで手解きしてやろう。」


 オロオロとするイリスを横目にキースはやる気でローゼットに渡された木剣を互いに握り構える。


「小童共よ、彼等の闘いを目に焼き付けておけ! 面白い物が見られるぞ?」


「降参するなら今の内だぞ? 恥をかきたくは無いだろう?」


「その負けん気は認めよう、半端な力を過信すると早死にするぞ?」


「言ってろ。」


「両者準備は良いな? 始め!!」


「先手必勝だ!!」


 キースは合図と共に大きく木剣を振り上げ勢いよく近付いて来るが木剣を頭の上に振り下ろされるのを防ぎながら回し蹴りを放つ。


「甘いな、ふん!」


「つっ! おい貴様卑怯だぞ!?」


「卑怯? 馬鹿かお前は、これからの人生で真剣勝負する奴しか居らんと本気で思っているのか?」


「なんだと!?」


「それに獲物をあんなに振り被り勢いに任せる剣術は死を早めるだけだ。」


「くっ、今のは油断しただけだ! 今度は本気で行くぞ!! でやあああああ!!」


「また勢い任せか、我も少しだけ本気を出そう。」


 再びキースは勢いに任せ突進して来るが今度は早めに木剣を振り横薙ぎにフェイントをかけると弧を描き頭上に振り下ろすが後方へと軽く身体を反らす事で回避し首筋に木剣を軽く触れさせる。


「なっ!? 舐めてるのか?」


「そこまで!!」


「せ、先生? 俺様はまだ負けてません!!」


「まだ分からないのか?」


「なんだと?」


「これが本番なら首を撥ねられて死が確定している、つまりローゼットは我を利用し主の成長を手助けしようとした事にも気付いておらぬのか?」


「やはり気付いておったか、この小童の中では最も優秀な人材と言っても間違いないな! キースよ、先程学んだ事を忘れるで無いぞ?」


「くっ……」

(卑怯な真似をされなければ俺様が勝ってたんだ! 後で目に物見せてやる!!)


「お兄様……」

(今まで何人かお兄様と試合した方は居ましたけど、あんなにあっさりと敗北したお兄様始めてみた。 何者なのでしょう?)


「さて、茶番はこれくらいで良いだろう。 そろそろ皆退屈している頃だろう、授業を始めたらどうだ?」


「うむ、では始めるとしようか召喚“スライム”よ現われよ!!」


 ローゼットが地面に両手を翳すと魔法陣が現れ中央から水色のスライムが生成される。


「基礎的な知識の確認をするぞ、スライムの分類は何になる? マオよ、応えよ!」


「ふん、力があったところで知識があるかどうかは別だ。」


「お兄様!」


「スライムの分類は“魔物”だ、他に動物型は“魔獣”、人型は“魔族”と呼ばれている。 その中でも魔物には植物系や鉱物系の種族も同じ様に分類される。」


「うむ正解だ。」


「チッ……」


「お兄様!!」


「他にもスライムを召喚した理由にも察しは付く、属性を与え易いと言う点だ。 マナに属性変換を行いスライムに与える事で火属性、水属性、風属性、地属性、闇属性、光属性の基本的な属性から水属性と風属性を総合した氷属性と言った力を与え易いからだろう?」


「中々に鋭い考えを持っている、流石だな。 総合属性は一部の者しか扱えず知り得る者は少ないと言うのに。」


「当然だ、他にも武器や鎧もマナを扱う事で強化が可能である事も知り得ている。 見たところ、そのスライムは基本の水属性か……倒すとするなら中央の核を狙うのが一般的だな。」


「ほう、では別の倒し方があると?」


「他の倒し方? 見せてもらおうじゃないか、そんな方法があるならな!」


「スライムは魔法生物に分類される、ならそれを利用した倒し方があるのだよ。 こうやってスライムを生成しているマナを使い圧縮すれば良い!!」


 離れた場所からスライムに手を翳し、マナそのものを圧縮する事でスライムの核がビキビキと音を鳴らし潰れ消滅する。


「す、凄え!! 見たか今の!? スライムが潰れたぞ!!」


「見れば解るわ、普通はスライムのマナを圧縮させて倒すのはかなりの魔力操作力が必要なのに……」


「下らん、先生が加減しただけだろう。」


 リンドとミーアがその光景に有り得ない状況であると理解しており、キースはローゼットが出したスライムの耐久力が低かっただけと思っているようだ。


(耐久力は普通のスライムと同じだが、危険度は低いな。)


「うむ、では各々にスライムへの実技戦闘を実施するとしよう。」


 ローゼットは人数分スライムを召喚するとそれぞれ生徒は自分に合った闘い方で実技戦闘を熟していく。

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