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転生魔王の英雄譚  作者: クソラノベ量産機
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第1話 魔力測定

 教室に入ると数名が此方に目をやり、一人の紅いポニーテールで緑色の眼をした女の子が近付き顎に手を当て見定めてくる。


「ふーん、どんなのが来るかと思ってたけど期待外れね。」


「何だお前?」


「あら私の事も知らないなんてね、勇者の息子が聴いて呆れるわ。」


「ははは、ビンセント家を知らないとは本当に勇者の息子なねか? 彼女は知る人ぞ知る、かの有名な魔王討伐に参加した“ニーア・ビンセント”の娘なんだぜ?」


 金の短髪の逆立った自信家な紅い眼をした剣を背中に携える男の子から女の子が何者なのかを説明される。


「ニーア・ビンセント?」

(我との戦いに参加しとらんかったが、娘に見栄でも張ったのか? まあ良いか、この学園にスカウトされた経緯は察しがつく。)


「そ、私の母は魔王との戦いに傷付いた仲間の前に颯爽と現れて連れ出し命を救ってるのよ! 幾ら勇者が魔王を倒したからって貴方が自分も勇者と同じで強いなんて勘違いしない事ね?」


(どうやら脚色されておるようだな、この者……自分が強いと過信しておるし無理をするなら止めねばならんな。)


 女の子はファサと前髪を右手で払い自分の席へと移動し着席する。


「名も名乗らぬか。」


「あー、ミーアは自分より格上の奴にしか名を名乗らないみたいだからな。 あんまり気安く話しかけるのはよした方が良いぜ。」


「で、貴様は?」


「俺か? 俺は“リンド・ロックス”、ロックス剣術道場の師範の一人息子さ。 剣の腕なら誰にも負けない自身があるぜ!」


「我は“マオ・ジークリンデ”、スカウトされて入学しに来た。」


「そういや勇者はアルト・ジークリンデって名前だったな、宜しくマオ。」


「ああ、宜しくリンド。」


 リンドと握手を交わし空いている席へ移動すると先程の女の子ミーアの隣だった。


「はぁ、やっぱり其処に座るわよね……良い? 私の邪魔だけはしないでよね?」


「お互い様であろう? まあ我が此処に居る全員に劣る訳が無いがな、教師含めて。」


「ふん、生意気な奴ね。」


 ミーアと会話をしているとガラッと教室の扉が開かれ、水晶玉を手にした水色の長髪に緑色の眼をした巨乳の女性が教卓に着く。


「はい皆さん、おはようございます♪ これから魔力測定を行います、呼ばれた方は水晶玉に手を翳して魔力を注いでくださいね。」


(魔力測定? 魔王に転生する前は、あの様な物は無かった筈だが……)


「なにアンタ? まさか魔力測定も知らないの?」


「知らんな、人間の体内に魔力なんて物は無い筈だ。 それをどう測ろう言うのだ?」


「仕方ないわね、先生! 魔力測定は私が最初で良いですか?」


「ええ、構いませんよ。 では、水晶玉に手を翳してね。」


 ミーアが教卓の前まで移動し水晶玉に手を翳すと何やら集中しているのが読み取れ、水晶玉が淡く光り輝き中央の数字は“70”と表示される。


「な、70!?」


「ふふん、どう? 私程にもなれば余裕よ。」


「なあ、70て凄いのか?」


「凄いなんてもんじゃねえよ! 今まで魔力測定で表示された数字は30前後が平均値なのに倍超えてんだぞ!!」


 ザワザワと教室内がミーアの魔力測定の結果に驚きを隠せず互いに目を合わせている。


「やり方は判った、次は我が示そう。」


「楽しみね、まあどうせ大した数値じゃないんでしょうけど。」


 水晶玉の前まで移動し手を翳しミーアと同じ様に手を翳し魔力を注ぐと強烈な眩い光が迸り中の数値は100を優に超え1000、5000、10000と有り得ない速度で数値が上昇していき流石にやり過ぎたかと思い水晶玉に少し亀裂の入ったところで魔力を注ぐのを止める。


「う、なんだ今の? 水晶玉の故障か? 何も見えなかったぞ?」


「おかしいわね、こんな事始めてよ?」


「あの、先生その水晶玉壊れてます?」


「そうね、壊れてるのかもしれないわ。」


「じゃあ魔力測定は……」


「ミーアさんの数値も可怪しかった可能性は高いわね。」


「そんな!!」


(少しやり過ぎたが、調子に乗らせる要因は一つ潰せたなら良いか。)


 水晶玉が壊れているという事になり魔力測定は全員測定不能となり次の授業へ教師は進める。


「えー、先程は水晶玉の整備不良の為に魔力測定は不可能となってしまいごめんなさいね。 気を取り直して魔力について基本的な授業を始めるわね。」


 何事も無かったかの様に授業が始まり、魔法の基礎を学ぶことになった。


「魔法は皆さんご存知の通り空気中のマナを取り込み詠唱することで魔法へと変換し術式を唱える事で発動できます。」


(ふむ、人間が魔法を使える様になって然程の年月が経ってはおらぬようだな。 人間は体内に魔力を持てないが魔族は含有出来る違いがある。)


「先生質問良いすか?」


「はい、リンド君なんでしょう?」


「俺剣術メインなんすけど魔法扱えないんすが、習う必要性あります?」


「んー、もしもの時の為に習う必要はありますよ。」


「そうすか、あーあ俺剣士だから魔法は不必要なんだけどな。」


「リンド、幾ら剣士だからとは言えど魔法は使えた方が良いぞ。」


「んあ? 何でだ?」


「魔力を使って姿を消す奴や気配を完全に消してる奴には大抵身体の周りにマナを纏わせてると見て間違いない、それに“魔物”には物理的な攻撃手段が効かない者も存在している。」


「あ、そっか! 確かにそうだ、オバケとか剣じゃ対抗出来ないしな!?」


 呆れながらにリンドへ魔法の大切さを教えると理解したのかは不明だが納得してくれたようだ。


「へえ、ちゃんと魔法の事を理解してるのね……けどその程度知ってるくらいでいい気にならないことね?」


「はぁ……」

(なんでこの女は一々突っ掛かって来るんだ?)


「な、何よ?」


 一々声を荒げるミーアに嘆息しながらになんのきなしに口遊む。


「お前、我の事好きなのか?」


「は、はあ!? な、ななな何よそれ!? バッカじゃないの!! わわわ私がなんでアンタなんかの事好きにならないといけないのよ!! 別にアンタの事なんてなんとも思ってないんだから調子にならないでよ!! ふ、ふんっ!!」


(よく喋るな、完全に図星であろうな……台詞が長いのが物語っておる。)


 顔を真っ赤にしたミーアは外方を向き息を荒くしながら黙ってしまった。


(面倒な女だ、次の授業は疑似実技戦闘か……)

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