皇女の成長
齢5にもなると本格的に淑女教育が始まる。
後継者争いに参加しないとはいえ政治の駒として結婚する際に最低限の礼儀だけは覚え込まさなければならない。
私は大人の知識など一切振るうことなく適年齢通りに授業をこなす。
同年齢の皇女も同じく参加するため比較する対象がいてやりやすい。
私が住まう宮殿は他皇后や皇妃の住まう宮殿と比べると質素であり庭の手入れなども碌にされていない。
メイド達も私の影響がないのを良いことに隙あらばサボっている。
たまに埃が舞っていることがあるので咳き込む前に魔法で外に流している。
日常的に魔法を扱うことによって精度が増し新たな発想の転換にも繋がる。
そういう面ではプラスに捉えられるだろう。
一々目くじらを立てるほど関心があるわけでもないというのだから。
私は生まれてこのかた一度も皇宮から出たことが無い。
それは皇族の信条として6歳にて大神殿で行われる「精霊の儀」と外交上問題がある場合のみ12歳まで皇宮から出ることを禁じられているからである。
これは暗殺や誘拐などを防ぐ目的で設置された法でありよほどの理由が無い限り外出などできはしない。
もっとも外交上というのはほとんどが皇妃の付き添いであるため私には縁のない話である。