友達
思えばクレアの口調は妹に似ていた気がする。
妹の喋り方はもう何十年も聞いていなかったからよくわからないが…
クレアが転生者だという可能性もある。
それは、考えすぎか。
次の日
「おーい!ラウス」
本を読んでいると外から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
まさか、本当に来たのか。
でも、なんだか悪い気はしない。
扉を開けるとクレアが待ち構えていた。
「遊びに行かないか?」
「良いけど、何をするんだ?」
隣人との付き合いは大事だから遊んでやってもいいだろう。
「行ってからのお楽しみだよ」
そう言ってクレアは俺の手を掴んで強引に引き連れ出した。
「うわ!?」
俺は手を引っ張られ強制的に走らされた。
走っているときにふと見た空の景色があおずんでいた。
綺麗だ、たまには外に出るのも悪くないな
だが、そろそろ疲れてきた。
「ちょ、ちょっと休憩させて」
「ん?こんなことで疲れるとは情けないな」
クレアは、止まってくれない。
なんというやつだ、部屋に引きこもって魔法ばかり練習していたから体力がないのに…
クレアは俺を心配する素振りすら見せずに走っていった。
「着いたよ」
やっと着いたのか。
死ぬかと思った。
こいつにはいつか仕返しをしてやらねばならない。
「おい、クレア誰こいつ?」
見知らぬ子供の声が聞こえてくる。
見てみると俺と同じ位の歳の男児が2人いた。
誰だクレアの友達か?
楽しみとはこのことか?
「お隣さんだよ、引っ越したんだ」
「お前、引っ越したの!?」
「あれ言ってなかったかな?」
「で、なんでこいつ連れてきたの?」
「ラウスには友達がいないからだよ」
友達作りのために俺は連れ出されたのか?
友達なんか要らない、そんなものは無くてもなんの不自由にもならないからな。
「そうか、友達がいないのか」
「なら、俺達がなってやるよ」
偉そうにしやがって。
友達が作りたいなんて言ったことはなかった。
まぁ、なってやらんでもない
「まずは、自己紹介からだな」
「俺の名前はベルだ」
生意気そうな顔をしたやつが名乗った。
「僕の名前はダンです」
今度はおとなしそうなやつが名乗った。
「改めて、僕の名前はクレアだ!よろしく」
「俺はラウスだ」
数時間後…
「今日はもう解散しよう…」
そう俺が言って遊びは終わった。
クレアは寄るところがあるらしい。
子供の遊びとはこんなにも過酷なのか…
舐めていた、本日二度目だ死にそうになったのは…
だが、こういうのも悪くはないな。
そう思いながら俺は夕日を背に帰っていった。
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