家族
「現われろ氷」
俺は一年ほど魔法を練習をしていたが、何度やっても出てくるのは氷のような形になって出てくる水だけ…
なにが足りないのだろうか。
何度も唱えていると誰かの足音がこちらに向かってくる音がした。
おそらく母親のマリーだろう。
まずい…
水を吹かなくては
もう足音がすぐそこまできていた。
ドアが開いた。
「ここにいたの?」
「探していたのよ」
マリーは悲しそうな顔で怒っていた。
それにしても間に合ってよかった。
まさか魔法で水が消えるとは思っていなかった。
間一髪のところだった。
「もう心配したのよ」
マリーは今にも涙が溢れ出しそうだった。
そんなに俺のことが心配だったのか。
「ごめんさい母さん」
「あなたが無事ならいいのよ」
「でも、もう勝手に何処かに行かないでね」
「はい、わかりました」
しまった今の言動は少し子供ぽっくなかったか。
しかし、お腹がへってきたな。
もう夕方か
そう思っているとお腹のあたりから音が鳴った。
「あら、お腹が減ったのね」
「ちょうどご飯ができたところだったの」
「父さんを呼んできて」
「うん、わかった」
おぉ、今のは結構子供らしかったのではないか?
父さんことルイスはお調子ものでよく冗談を言う。
俺はルイスのことがあまり好きではない。
どうやらあまり俺にあまり俺に合わないみたいだ。
そんなことを思いながら俺はルイスの部屋の扉の前まで来ていた。
「父さんいる?」
返事がなかった。
ここには、いないのだろうか。
俺はルイスがいないか扉を開けてみた。
するとそこにはルイスが真剣な表情で机と向き合っていた。
なにをしているのだろう。
仕事をしているのだろうか?
「なにしてるの?」
「びっくりした!?」
ルイスは驚いてしまった。
俺の存在に気が付かないほど集中していたということだ。
「仕事だよ」
「なんの仕事?」
「設計士だよ」
「といっても分からないか」
「わかるよ」
しまった!
俺はまだ幼かったそんなことを知っているなんておかしなことだ。
「すごいなどこで知ったんだ?」
「母さんが言ってたんだ」
「俺の仕事のことは母さんは知らないはずなんだが?」
なに!?
そんな訳ないだろ!
もし本当だとしたらまずい…
「なんて、冗談冗談」
ルイスは笑いながら言った。
なにも笑えないぞ。
やはりこの男とは合わない。
「で、なにをしにきたんだ?」
「夕食が出来たから呼びに来たんだよ」
「そうかもうそんな時間か」
「腹も空いてきたことだし行くか」
ルイスはそう言って部屋から出て行った。
ついて行こうとしたがふと、ルイスが設計していたものに興味が湧いた。
ルイスが設計したものを覗き込むとそれは船だった。
船と言っても木製のもので原動力らしき物が見つからない。
「なにしてるんだ?」
後ろからルイスが声を掛けてきた。
「母さんが怒るぞ」
そう言ってルイスは俺を軽々と抱えた。
まるで設計図を見られたくないように。
なにかあるのだろうか。
あまり深い意味はなさそうだ。
ルイスに連れられて俺は一階のテーブルに着いた。
そこには用意してあった食事とマリーが待っていた。
「いつも美味しそうだな」
ルイスはそう言って椅子に座った。
それに続いて俺も椅子に座った。
そうしていつものように食事をした。
食事を食べているときにルイスが冗談を言ってそれに笑うマリーを見ることが俺は好きだ。
この微笑ましい時間が好きだ。
こんな時間が長く続けばいいのだが。
面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!




