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異世界デスゲーム  作者:
幼少期
13/14

貴族

 あれから数日が経った。


 今はクレアとして暮らしている。未だにクレアの体には慣れない。むしろ憎しみさえ湧いてくる。


 「朝食できていますよ」


 使用人のソーニャの声が聞こえてきた。俺は朝食を食べようと一階に降りるとソーニャの後ろ姿が見えた。


 「さあ、どうぞ」


 そう言いながらソーニャは笑顔で振り返りながら昼食を机の上に置いた。

 一瞬ソーニャの笑顔がゆうとの笑顔に見えてしまった。

 違うあいつじゃない、ソーニャだ。

 俺はゆうとじゃないと分かっていながらも、笑顔がゆうとに見えてしまうことがある。さらに笑顔が怖いと感じるようになっていた。


 「ごちそうさまでした」


 食べ終わると俺は部屋に籠もった。俺はあれ以来外に出ることが少なくなっていた。外に出ることは怖くは、ないのだが、人間の顔を見るとゆうとの顔が脳内にちらつくのだ。あの不気味な笑顔が。

 

 最近はルイスの所在を調べている。

 謝りたいんだ、俺のせいでマリーが殺されてしまったことを。

 ルイスは俺の姿が変わっても分かってくれるだろうか? 謝っても許されることではないことはわかっている。

 一人だけルイスのことを知っていそうなやつを知っているが、今はまだ外に出る勇気はない。



 「君が殺したんだ」


「違う!!」


 「違わない、君の手でマリーを殺したんだよ」


 「夕食ができましたよ」


 ソーニャの声が聞こえて俺は夢から醒めた。

 いつの間にか寝てしまっていたようでもう、夕食の時間になっていた。

 俺は一階に行くとテーブルには、夕食が置いてあった。

 俺は今、幸せだな。だが、そんな俺をゆうとは許さないだろう。

 また、ゆうとがあんなことを起こすかもしれない。

 ゆうとは今も俺を見ているかもしれない。

 俺は幸せになっちゃいけないのかな?

 そんなことを思って夕食を食べているとフォークが手から滑って足に落ちてしまった。

 

 いたっ………… くない。 そうだった俺は死なない体になってしまったのだった。果たしてそれはいいことなのだろうか。

 ゆうとによって何もかも変えられてしまったのだと改めて実感した。

 

 翌日


 「起きてください、クレアさま」


 「うぅん、わかったよ」


 「迎えが来ていますよ」


 迎えとは誰だ?

 ソーニャに言われて玄関の扉を開けるとエヴァンスが立っていた。


 「おはようございますクレアさま」


 「おはよう」


 俺がエヴァンスを家の中に入れるとエヴァンスが貴族の城に戻って来ないかと提案してきた。

 なぜだ?


 「どうしていきなり?」


 「それがですね、この前貴方が記憶が曖昧になっているとおしゃっていましたよね」


 「はい」


 「そのことをフレッド様に伝えたらなんと、戻ってこないかと言われたのです」


 「どうして戻ってもいいの?」


 「分かりません」


 「なら、城には戻りません」

 

 「分かりました教えましょう、私が思っているにはですね……」


 エヴァンスは教えてくれた。クレア(ゆうと)は昔、人を殺したらしい。それを知ったフレッド(クレアの父)がゆうとを恐れて中心地とまではいかない住宅地に庶民を知っておいたほうがいいという理由で隔離をしたのだった。


 その後、またクレアが人を殺した。新聞に載ったのだ。犯人がクレアだと知られてしまうと貴族のイメージが崩れてしまうためフレッドが誰かに罪をなすりつけようとしていたときにちょうどマイケル・ホワイトが家族を殺してしまったと自首してきたのだ。

 前にマイケルをエヴァンスが殺した理由は、あのとき俺にマイケルが罪を被る代わりに刑を軽くするという約束を言おうとしていたからだ。


 話を戻すが、フレッドがクレアに戻ってきて欲しい理由は、記憶が曖昧になったことで人格までも変わったと思っていて安心してこの都市を任せることができると思っているから戻ってきて欲しいのだと、エヴァンスは考えているらしい。


 正直どうして戻ってきてほしいのかはどうでも良かった。貴族ならルイスについて少し知っているかもしらない、だから俺は貴族の所に行くと決めた。


 「あの、城に行く前に話をしたい人がいるんですけど」


 「それは、誰ですか?」


 「ハワードと言うんですが、知っていますか?」


 「あいつですか?」


 俺はハワードに会いに行った。世界改変前にルイスの友達だったからなにかルイスについて知っているのではないかと思ったんだ。


 「ハワード、ルイスという男を知っていますか?」


 「知っていますけど、ルイスがどうかしたんですか?」


 「ルイスが今どこにいるか知らないですか?」


 「すいません、どこにいるかは知らないんですが軍にいることは確かですよ」


 「なんで!?」


 「ルイスと俺は軍事学園を一緒に卒業したんですから」


 「そうですか、ありがとうございました」


 よし、これでルイスが軍にいるという可能性がある。

 ハワードが敬語を使っているのは、なんとも新鮮で不気味だった。


 「クレアさま、行きますよ」


 「わかった」


 俺は馬車に乗った。

 馬車が城に向かって走っているときに窓からどんどん街から離れていくのを見ると少し寂しい気持ちになった。

 

 貴族の城に着いた。

 門を通り城の中へと入ると奥にはフレッドらしき人物が不安そうな顔で待っていた。


 

 

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