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不倫の果ての身内の裏切り

作者: misa

こんな仕打ちって、ほんとにあるのか。

自らの悪事が、自らに返ってきたお話。

『付き合ってない』


全てはこの言葉から。



離婚準備の為、正社員になる。


親権だけは渡したくない一心だった。


ものづくりが好きだった私は、製造業へ転身。


運良く採用して下さって、試用期間を経て無事に正社員に。


毎日毎日、家事に育児に慣れない仕事に。


きっと疲れていたんだ。


振り返れば、不倫を反対していた自分が、まさかという気持ちしかない。



日々、仕事を覚える為に必死だった。


男の中に一人の女。


先輩はほぼ年下。


出来ない自分が腹立たしく、仕事が終わると、泣きながら帰路についた。


先輩方は皆優しく。


そんな優しさに情けなくなった。


そんな中、誰よりも一生懸命に御指導して下さった方が。


10歳も年下で、出逢った当時は、長年お付き合いをしている彼女もいた。


“幸せになって”


そんな気持ちで、日々の時間を共に過ごした。


恋愛感情など一ミリもなく。


それからしばらくして、お別れしたと。


付き合ったり、よりを戻したり。


そんな話を聞いていたので、


『そうでしたか』


こんな言葉しかかけることは出来なかった。



ある日の仕事終わり。


『みんなで呑みに行きませんか?』


そんな話があり、数名で呑み会を。


私には子供がいて、当時は既婚者だった。


私の家の近くでと。


それならと了解し、会社の方と初めて、職場以外で逢うことになった。


ただ楽しかった。


その後。


酔い過ぎてしまった先輩をタクシーに乗せ、自宅近くまで送り届けることに。


途中で目を覚ました先輩は、ここで降りると。


放っておけず、私も降りると。


歩いて自宅近くへ。


『とりあえずここで帰ります。また月曜日。』


そう言って。


そのまま帰れば何事もなく済んでいたんだ。


馬鹿だった。


プライベートで、ふたりだけで会話をしたことが、とても楽しかった。


そこで気付いた。


私は恋をしてしまっていると。


しかし、既婚者の身。


ダメという気持ちと、帰りたくない気持ちと。


しばらく外で話をしていたが、中へ入ってしまった。


大人の男と女が、ひとつの屋根の下へ。


いろんなタイミングが一致してしまった瞬間だ。


とりあえず帰らないと…。


『寝室はどこですか?歩けますか?』


眠らせて帰るつもりだった。


抱き締められて、


『好き』と。


その一言で、帰りたくない気持ちが増してしまった。


好きと言われたのは、これが最初で最後。


きっとその場の雰囲気で出た言葉。


その言葉を真に受けてしまった私は大馬鹿者。


それでも、毎日毎日、会社で顔を合わしながら楽しい時間を過ごした。


いつしか会社以外でも会うようになってしまった。


数分しか会えなくても、会いたい気持ちを止めることが出来なかった。


彼の家に通うことが当たり前になり、頭では主人も子供もいる。


ダメなことだということを理解していても、心が故障してしまっていたんだ。


子供が眠った後、抜け出して会いに行った。


馬鹿な母親だ。


ある日、ふたりで彼の家へ向かっているときのこと。


『こんな彼氏は…』


と言われて。


話を遮るように、


『あなたと私は付き合ってない』


とっさに、そう言ってしまった。


それは、自分を守る為、彼を守る為の、私の嘘の言葉だった。


不倫をしている自分がダメだとわかっていて、会ってしまっている自分への罪と、彼が誰にも何も言われないように庇う嘘。


後悔でしかないが、罪を作ってしまった自分への罰だ。


悪いことをしたら、必ず悪いことが返ってくる。


2倍にも3倍にもなって。


その後、その通りになった。


4ヶ月ほど、不倫関係が続き、私はようやく離婚した。


離婚届けを提出する数日前に、数名で食事会を計画。


もちろん彼も一緒。


しかし、彼の様子がおかしく。


食事会が終わった後、彼の家へ。


『いいよ。若い方とお付き合いして。』


そう言ってしまった。


そうするべきだったんだ。


食事会で知り合った女の子と、連絡先を交換する場面を見てしまった以上、そう言うしかなかった。


それも心からの嘘。


数日後、話があると。


『女の子と食事に行った』と。


『離婚するのが怖くなった。』と。


『いいよ。お付き合いして。』


そのまま、裸足で店を出た。


ワンワン泣きながら自転車をこいで。


どうすることも出来なかった。


私には子供がいる。


その事実だけが私の心を保たせてくれて、家へ帰ろうと思わせてくれた。


明日は仕事。


普段通りに接しよう。


そう言い聞かせて。


もう会社以外では会わずにいよう。


連絡も取らないでいよう。


そう思っていたのに。


毎日の連絡を取らなくなって、1週間が過ぎた頃。


私の知人に不幸があった。


残虐な殺人事件の被害者になってしまった。


夢であれと願った。


若い頃に助けていただいた恩人の、突然の死にパニックになってしまった。


ニュースで知り、知人に連絡を取り、事実であることを知った。


事実であることを確認したスマホを握り締め、自転車に乗り現場へと。


たくさんの報道陣や警察官の姿を見て、現実なんだと…。



いろんなことが重なり、仕事を終えて帰宅をしたら、座ることも出来なくなった。


横になりながら、涙を流すことしか出来なかった。



どんな感情だったのか。


電話をかけてしまった。


どんな話をしたのかも覚えていない。


『すぐ行くから』


その声を聞いて、歩いた。


いつも彼が迎えに来てくれる方向へ。


車に乗ったあたしは、話をすることもせず。


情緒不安定が限界だったんだ。


彼の家へ着き、自分が電話をしたのにも関わらず、


『彼女いてるのに入れたらダメやんっ!』って叫んだ。


自分勝手な女だ。


彼が奥でタバコを吸っている間に、家を出た。


無我夢中で走った。


道のわからない路地を、ひたすらに走った。


ダメなことをしている自分にも腹立たしくて。




翌日、私の作業場所に彼が来た。


『話がしたい。』と。


帰路にあるコンビニで待ち合わせて。


『あの子とは別れる。あなたの元にも戻らない。』


『そうですか。わかりました。それじゃ。』


また泣きながら帰った。


ズルい男だ。


また次の日。


『最後に3人で遊びに行こう』と。


私の子供と3人で。


大きな公園に行こうと。



最後最後と、何度振り回されるのか…。


そう心で思いながら、嬉しく思う自分もいた。




『目が覚めました。あのときはどうかしてた。あの2週間は何だったのか。傷つけてごめん。』


抱き締められながらそう言われて、また好きが増している自分がいた。


数ヶ月、3人でお出かけをしたり、楽しい時間を過ごした。


子供が小学校3年生になり、私は、子育ての悩みも増えていった。


まだ20代の彼にとって、私の話は、荷の重い事実でしかなかったんだ。


子供と元主人は、いつでも会える状況だったので、そこにもいろんな感情があったんだと。


『子供が大きくなったら一緒になろう。』


そう言われた。


『はい。』と。


『ありがとう。』と。


しばらく連絡が途絶えていたが…。


どちらからでもなく会いたいと。


また元の関係に戻ってしまった。


どうすればいいのかわからないまま、彼は退社。


新しい職場で余裕がなくなり、


『今は誰かと付き合う余裕がない。ごめん。』と。


『わかりました。』と。


3ヶ月が過ぎた頃、突然に会いに来た。


驚いた。


毎日会いに来た。


しかし、ある日、女の勘が働いた。


何かおかしい。


女がいた。


それも私の精神を掻き乱す相手が。


私の弟の、元嫁。


気が遠くなった。


息が出来なくなった。


彼の口からはハッキリと聞いてない。


確信をつく為に、女に連絡をした。


嘘をつき通していたが、15年ほど、弟と離婚してからも10年以上仲良くしてたので、性格くらいわかる。


弟の子供可愛さに付き合いをしていただけ。


何を言われても、何をされても、今まで我慢してきた。


だが、今回は無理だった。


私と彼の関係を知りながら…。


元嫁の姉のもとへ出向いた。


事情を説明した。


『姉の私から謝ります。すみませんでした。』と。


後日、また呼ばれて。


相手のふたりも来ての話し合い。


話をしながら、呆れてしまった。


彼は変わってしまっていた。


私が好きだった彼の姿はどこにもなかった。


嘘ばかりで、呆れて話にならない。


私は今、中学生たちと話し合いをしているのか。


そんな気分になった。


『ありがとうございました。御迷惑をおかけして、お時間を取らせてしまって、すみませんでした。』


元嫁の姉夫婦へ、頭を下げて帰宅した。


どうしようもない感情が込み上げて来た。


帰宅して、彼とずーっと仲が良かった、お互いの先輩に連絡をして。


心配してくれていたので。


ありがとうございましたと。


そこで終わるはずが。


また馬鹿な私が出てきてしまった。


1年ほど経った頃。


父の病が悪化。


主治医に呼ばれ、亡くなったときの話を。


同じ頃、祖父も危篤状態になり。


いつでも、こんな状況は重なるもので。


“延命治療はしないで下さい”


そう書かれた用紙にサインをした。


サインをした後、彼にメッセージを送ってしまった。


『あなたがいてくれたらなぁ』


まさか返信があるとも思わず…。


そのメッセージを境に、また連絡を取るように、そして会うようになってしまった。


次はきちんと彼氏彼女として。


のはずだった…。


私は子供を優先し、彼と会う時間はほとんどなかった。


長い休みも、全て子供を優先にしていた。


ある日、連絡が取れなくなった。


また女の勘というものだ。


翌日、朝早く、女の家へ向った。


私の弟の、元嫁の家。


ここしかない。


そんな思いで。


的中。


玄関に出てきた女に、


『私の彼氏』


というと、


『嘘…』と。


『こっち』と誘導する女。


まだ眠っている彼の布団をめくり、


『信じられない』と言葉をかけた。


私や子供にプレゼントしてくれた物を全て紙袋に詰めて。


『思い出のもの』


とテーブルに置いた。



私の隣に立った彼。


女に、


『ハサミ貸して』と。


お互いの左足首につけていた、お揃いのミサンガを切って紙袋に入れた。


出逢って初めてのクリスマスにいただいたプレゼントだ。


私の子供と、3人お揃いの。


きっとどこかで、元の彼に戻ってくれると信じていたんだ。


しかし、一度おかしくなってしまった彼は、簡単には戻らない。


『もういいや。』


そう言い放って家を出た。


十数分後、彼から電話が。


『あなたのこと、好きになれない。』


とのこと。


横には女が。


とりあえず戻る。


と電話を切って。


マンションの前で話。


また、彼の嘘つき具合に驚いた。


あっちにもこっちにも、嘘をついていた。


ふたりの会話に、また呆れて。


『好きにして』


と帰路へ。


女には子供がふたり。


私の大切な甥たちだ。


彼からメッセージが入った。


ちゃんとサヨナラをしようと思って、電話をかけたことへの返信。


『電話なに?』と。


『バイバイ』と。


既読になったのを確認し、


『子供たちのことをよろしくお願いします』


とメッセージを入れた。


大切な子供たちを、これ以上巻き込まないでほしい。


そんな思いで。


既読にはなったが、もちろん返信はない。


車の運転中に、女からの電話。


『彼から何か連絡あった?』と。


この女は、ほんとの馬鹿だと思った。


電話をかけてこれる神経がわからない。


自分が今まで、どれほどの人を巻き込んで、どれほどの人に迷惑をかけてきたか。


自分がしてきたことを、何一つ理解が出来ていないんだなと。


ウンウンと返事だけして、聞くだけ聞いていたら、


『別れた』と。


あ、そう。


私の中には何の感情もなかった。


運転中なので切ります、と一方的に電話を切った。


帰宅したら、また電話。


何の話をしたのかも覚えてない。


『私や、私の子供と、大切な甥たちとの縁を切られてしまったから。だからもう話は出来ない。』と、また一方的に電話を切った。


メッセージの音。


『お互いに、彼と連絡を取ったり会い出したりしたら、連絡しよう』と。


『わかりました。』と。


数日後に甥の運動会。


来てるやろうなと。


もう自分の気持ちにもケリをつけようと。


思った通りだった。


彼の車を確認し、用意していた手紙と甥たちの写真を自転車のカゴへ投入。


結婚してくれたら名字が変わって嬉しい。


など、いろいろ書いた。


私が離婚をしても名字を変えないのは、同じ名字を名乗りたくないからだ。


ここまでの仕打ちを受けるなんて、もう2度とないと願う。


しかし、この騒動の発端は、私と彼にあり。


私が彼と女を出逢わせてしまったんだ。


彼と一緒になるつもりだった。


だから、甥たちと仲良くしてほしかった。


全ては私に責任があり。


自分の人生の責任は自分で取らないと。



最後に女から来たメッセージ。


『だからあなたは愛されなかったのよ』


あぁ、そうですか。


ほんとに冷めた感情になりました。


その後、私の家の近くで彼を見たと聞いた。


きっと、女とうまく行かなかったんだろう。


平日の昼間だと。


仕事もうまく行かなかったんだろう。


悪いことをしたら、必ず返ってくる。


自分に返って来なかったら、周りにいてくれる方に返ってくる。


私は、私に返ってきてくれて良かったと思う。


自分がした悪いことは、自分に返ってきてくれるのが1番の幸福。


もう2度と、誰かを傷つける恋愛はしないと誓う。


そして、子供の心を今まで以上に見ようと思う。


あたしにとって、子供は生きる力。


子供1番に生きて行こうと思う。


父と祖父は、同じ年の同じ月に他界。


生きている間に、大切にしないといけないことを大切にするということ。


当たり前のことを当たり前にできる人間になりたい。


心から想う。





























































悪いことはしてはいけない。

悪いことは必ず返ってくる。

だから、真面目に真っ直ぐに生きよう。

そんな体験でした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 元旦那さんにまるで配慮していない所が、現実に有る出来事の様で素晴らしい。 [気になる点] リアルな不倫脳の思考は斯くあるのだろうと、戦慄しました。 [一言] 小説として、非常に興味深い内…
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