第3話
明林はリムジンに乗るよう促されて乗り込んだ。
王大老の隣に座ると、運転手がやさしくドアを閉めてくれた。
では明林、話を聞かせてくれ。
お待ちください。ここでは話せません。
ああ、そうだったな。今のは忘れてくれ。
最高ランクの情報は党か軍の上級幹部だけが同席を許されている。
王大老はこの小娘ごときがと思ったが顔には出さないで。
彼女を中華街の大飯店まで送り届けた。
そこで、支配人に迎えられ、地下の個室に案内される。
そこは特殊な盗聴防止システムが備わった部屋で部屋の外には中華風の音楽が流れている。
外部からの盗聴にはそれしか聴こえないはずだ。
そこには大使と軍人がいた。
あの、
彼らはそれぞれマーク入りの身分証を取り出し明林に提示した。
私たちには話してかまわない。
早速だがあなたがつかんだ情報はなんだね?
明林は深呼吸し、話し出した。
はい、私の通う大学の研究室で画期的な潜水艇が開発されたようなのです。
方、どんなものだね。軍人が身体をのりだした。
はい。推進スクリュー
がない代わりに、ほぼ無音で長期間潜水可能なもののようです。
さらにAI搭載で電源は日中海面まで浮上し太陽電池パネルを展開することができるので活動命令がくるまで何年も潜伏できるらしいです。
それは凄いな。なぜ誰も思い付かなかったのだろう。