プロローグ
やった。実験は成功した。
AI搭載の小型潜水艇「シーグライダー」は東京から伊豆七島の大島往復を外部からの干渉無しで達成した。
しかも使用し燃料は単1乾電池1本だ。
シーグライダーはその名の通り海中を空を飛ぶグライダーのごとく飛び回るのだ。
動力は重心移動に使うステップモーターと、前後の方向舵を動かすサーボモーター2つと前後バラストタンクに注排水するポンプとの合計5つつのみだ。
前後に上昇下降用の水平翼を持ち、最後尾に垂直尾翼を備えている。
潜水艇の内部は中空のチューブ状になっており、重りも兼ねたステップモーターがロープを手繰り寄せて移動し船の重心を変える。
前部の水平舵を前傾させ、後部水平舵を後傾させ、重心を前部に移動させれば、船は前進し沈んでいく、このようにほぼ重心移動だけで進む事ができ、ほぼ無音航行が可能である。船体のコントロールはAIが学んでいくので、より低燃費や高速移動なども覚えていく。
海中の輸送艇なども行く先さえ入力すれば超低燃費で運んでくれる。
まさに輸送革命になる可能性が開けたのだ。
テストを始めた頃は原因不明で行方不明になる機体も多かった。
そこでビデオカメラを搭載した船を曳航して原因調査することになった。
トランスポンダーにより特定されて
回収されたブラックボックスにはトランスポンダーには船体に襲いかかる大型魚が映っていた。
ロウニンアジやマグロ、マカジキ、サメ、ダイオウイカなど色々な魚の興味を引いたらしく、対策が必要だった。
海洋汚染に配慮した結果、燃費は悪くなるが電気ショックによる 対処をする事になった。
その後、展開式のソーラーパネルと充電池の採用が決まり、燃費の問題は解消された。