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今からお前に決闘を挑む  作者: アスク
日輪の華は戦場を照らす-後編-
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戦極に王華よ咲き誇れ【12】




 今日は星が降る夜なのか。後方で隕石が降り注いでえらいことになってるが今は関係ない。

 何故なら私の相手は目の前の男、億戦万超なんだから。



「てめえとは邪魔なしのガチでやりたかったんだ!目つきが他のやつとは違うからよ!」


「同じく!お主は強い!そうだろう!?」



 ぶつかり合う【甲殻喰らい】と【煌黒の剣】。相反する能力を持つ武器を持ちながら私たちは戦闘狂。戦って勝って負けて悔しくてまた戦うことに生き甲斐を見出す者!

 今この瞬間、剣と剣が混じり合い火花散る瞬間が何よりも楽しい!



「さあ、飛ばすぞ鬼桜よ!【武装狂化(アーツベルセルク)】」


「はん、こっから先は全部当てるってか?面白え【進力化(パワードライブ)一段強(ギア)】」



 新技のお披露目だ。【強化:筋力】派生の中でも一癖ある【進力化】とは言ってしまえば、持続力のある【強力化】である。今発動した【一段強】の継続時間はたったの2秒。

 だが1と言うからには2がある。

 殴ったダメージが規定値を超えることでそれは移行する!一発はいった!



「守りには回らない!二段強(ツインギア)


「このダメージ量、筋力偏重か!?」


「あんたこそ自信満々に狂化使うってことは技量偏重か?」



 煌黒で牽制……バレてるか、向日葵が弾かれた。さすが霊剣すら打ち砕く【甲殻喰らい】耐久値の減りが半端ない。



「そこ!」


「ふっ!?」



 柄の部分でみぞおちをつかれ、蹴り飛ばされ、袈裟斬りがもろに当たる。狂化のダメージ量が計り知れない。

 両手剣のわりに手の周りが早すぎるし、行動予測が並大抵の奴とは一線を覆す。やっぱりこいつ強い。

 私も負けてられない。煌黒の剣を向日葵に持ち替える。

 破壊耐性のあれこれで攻撃を防ぎながら差し込もうと思ってたがこいつにそんな小手先の技が通用しないって言うのはよくわかった。



「物の扱いが悪くてわるいな炉万!」


「ここで攻勢に回るだと!?」


「意外か?隙ありだ!【連撃振】!!」



 からの三段強(トライギア)!攻撃の手は緩めない、右の向日葵【陽核】最低スタック5からなるべく撃振のリスタートを早めて……いや違う、クイックリキャスト!【死線の心眼】発動!



「これがうちとあんたの明確な差だ!」



 同じ戦闘狂でも私の方がスキルの回転率が早い。これがなにを意味するか、【死線の心眼】の先打ちが可能となる!お前の攻撃は見切った!横一閃、映画で見たなこんなシーン!海老反りぃぃ!!



「【大撃斬】────避けただと!?」


「しなやかな動きもできるぞ!」



 技量分の誤差も計算に入れた1秒先の動きは、奴の斬りつける一撃を避け切った。



炉万(そういうやつ)と戦ってて助かった。感覚が残ってたぜ」



 ばきりといけない音がした。【甲殻喰らい】はひび割れ破壊され、使い物にならない鈍と化す。残念だったな。ショックか?隙だらけだ!

 そこ!そこ!【撃振一打】



「先打ちしたら、後出しされるのが常」


「心眼で見切られたか。だがあんたと違って武器は壊れねえ、まだまだいくぜ!」



 攻撃してみろ。壊れた武器はただの棒と一緒だ、大したダメージも出ないゴミを握ってないで早く捨てるのをお勧めする!



「【戦闘技能:喝】!!」


「ぬぁっ!?」



 本当に背中をぶっ叩かれて喝を入れられたみたいな感覚、体が怯んで一瞬だけ動きが鈍った。刀だったものをそのまま振り切ってくる。なんの、鈍じゃダメージは出せないはず……



「壊れている?なにが壊れていると?【積解】」


「なっ!?」



 壊れたはずのそれは、あっという間に元通り。【甲殻喰らい】は元の美しい弧を描いた刀身に戻った。ああ、こいつは向日葵同じような特殊効果持ち。壊れても治る効果持ちだったのか。



「変身!【鉄製の鎧】!」


「小賢しい」



 鉄の鎧ごと噛み砕かれ吹き飛ばされる。本当に小細工もなにも聞かない相手だ。幸い壊れた時点で甲殻喰らいの【武装狂化】は解けてるみたいだが、両手剣故に素で攻撃補正が高い。


 足がふらついた。頭を振って調子を整える。本人の持つスキルは【死線の心眼】【両手剣術:斬撃】【武装狂化】【戦闘技能】あと一つ不明。【戦々狂々】か?いや違う気がする。



四段強(クアドラギア)



 距離が生まれた。鉄製の弓矢を出して遠距離からのアプローチ。ただそれをできるのは相手も同じだ。本当に良くも悪くもミラーマッチ。


 強化も四段目に突入した、こっから五段と最終まで繋げるのは結構難しい。なにせ繋げるための規定値ってのが何十倍にも跳ね上がるから。

 それとも四段分の力がこもってるから条件引き上げるのも当然か?



「刀がでかけりゃ弓もでかいな!あんたは!」



 右肩に被弾。張り手で押されたように身を開く。怯んでいてはまずい、流れに任せて敢えてそのまま倒れ込み、二発目を回避。



「大きさは強さだ」



 悪くない考えだ。だが小さいものでも力が強いものだってあるし、小回りも効くんだぞ?

 鉄製の弓矢?ああ、これはこうやって使う!



「投げた!?」



 すっとべ!ブーメランのように!地面と並行に低空を這う弓に気をとられている間に、走行態勢に入る。距離を詰める。今日の朝、砥石でゴシゴシしといてよかった、ちょっと遠いがギリ届く!耐久値完全復活【冬印(鉄製の槍)】



「フルッ!!スイング!!」



 振る。横腹に直撃。これはいつの日か検証したが槍でこの使い方すると期待するようなダメージが出ない、だからこれはもちろんファーストアタック、始動の一手、槍を手放しゼロ距離接近!



「素手喧嘩と洒落込もうじゃんか!!」



 喧嘩は私の十八番って────ぐぬぉ!?



「同じ戦闘狂同士、わずかな数値の差が命取り……で御座る!」



 はやい。完全に拳を入れたつもりが武装解除から素手でクロスカウンターを決められ逆に私が殴り飛ばされる。そのまま振り上げられた脚は下され、やつのかかとが頭のてっぺんに直撃する。

 どうやら私は敏捷で負けている。

 おい万超、確かに今のは効いたがそれで満足するようじゃまだ私は倒れんぜ?



「ぐ!?」


「御座る口調が崩れ始めてるぞ!万超!」



 地に押し付けられた私は回し蹴りをして奴を転倒させ、同じ状況に引き摺り下ろす。上から見てんじゃねえってな。

 立ち上がりは二人同時!



「「【死線の心眼】」」



 バッティング!このスキルを好き勝手使われちゃ負け筋だからな。ただそれは向こうも一緒。効果時間終了。



「うるぁ!」「せぇい!」



 お互いの右の拳が相手の左頬に直撃。正確には私の方が若干遅い、が、パワーなら上!押しで勝つ! と、同時に75秒経過。【甲殻喰らい】をまた出したってことはノータイムでアレを起動するのは間違いなし。




「【|武装《アーツ」


「スキル発動は隙だ!」



 鉄拳をたたき込む、甲殻弾かれ斬傷が身に染みる。だが殴ってる間向日葵を展開した。本命はこっち!近すぎて甲殻喰らいの剣捌きは追いつかない!顔面がガラ空き。



「【喝】」



 硬直!鬱陶しい!【威圧の眼光(プレッシャーゲイズ)】ほどの長さじゃない。ほんの一瞬だけの硬直。

 だがコンマ1秒の判断が命取りな戦いではあまりに長すぎて、付け入る隙を無理やり生み出す強技となる。

 くそ、動けゴルァァァ!!



「【武装狂化】【天上斬】!」


「────ッ【撃振落とし】!」



 斬られながら打ち上げられる。なんと哀れな我が姿。苦し紛れに【激震落とし】甲殻を持たぬ逆手の肩に空手チョップが入る。大したダメージにもならない。……その構えは着地狩りのつもりか。


 人外挙動ベクトル変換!地球よりも空中制動できる電脳空間の仕様を余すことなく使わせてもらう!位置をずらして、この体制から。



「靴の裏を舐めてろ御座る野郎」



 飛び蹴りが決まる。



ーーーーー


ダメージ規定値以下、【進力化】効果終了


ーーーーー



 割と猛攻に徹したつもりだったがこれでもダメか。やっぱり素手じゃダメージ出しにくい。



「向日葵、もう少し壊れないでくれよ?」



 返事はない。まあ、武器だし当然か。この勝負は【陽核】抜きでは勝てない。多分レベルはあっちが上、防御と敏捷のスペックもあっちが上、【武装狂化】のせいで自慢の火力も追いつかれてそうだ。

 そんな私が勝つにはやはりスキルの回転率、手数を活かすこと。



 【進力化】を回す。

 このスキルは六段階に分かれていて、条件達成で効果時間伸びる。ただ段階が上であればあるほど、発動終了後のリキャストタイムが長くなる。

 さっきは四段で終了した。8+16+32+64。

 120秒……つまりあと2分



「カウントスタート」

ミラーマッチってボドゲだと先行有利とかありますけど格ゲーだと完全に実力決まるんで緊張しますよね

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