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今からお前に決闘を挑む  作者: アスク
日輪の華は戦場を照らす-後編-
62/79

戦極に王華よ咲き誇れ 【2】



「お集まりの特殊戦闘員、皆々様。私この闘技場の管理委員会を務めさせていただいております、ジェイスと申します」



 現在時刻は夜の8時。松明でライトアップされている大闘技場に集まった人数は数百、それら全ては今から始まる決闘に心躍らせる者たちばかりであった。



「これより行いますは、告知通り、決闘王選抜にございます」



 ぐおおおおっと入り混じる歓喜は最早声とも言えない。皆この時を待っていた血生臭い連中だということ。



「【決闘王選抜】それはここにいる戦闘員の中で最後まで生き残った五名が王となる戦い。故に今回は特別な決闘方式を取らせていただきます」



 特別な決闘方式。人々の頭の中、一斉にクエスチョンマークが現れたことだろう。ジェイスは説明をする。



「エリアは闘技場全域。決闘と同じく回復や蘇生の一部アイテム使用制限、最後の5名になるまで終わらない地獄のバトルロワイヤル。その名も……【決選】」



ーーーーー


決選


決闘王及び四天王を決める戦い。


終了条件:生存者が5名となる

戦闘範囲:闘技場全域

勝利条件:終了まで生存する

敗北条件:死亡する、又は闘技場エリア外に出ると失格


HPが0になっても死亡は無効とされ、かわりに敗北扱いとなり終了まで観戦モードに切り替わる。

また回復や蘇生等の消費アイテムの使用は一部禁止となる。

対戦中はレベルは固定され、撃破後の経験値はなし。また試合が終了しても消費したものは元に戻らない。


ーーーーー



 全員の目の前に現れたテキストは今回のフォーマットルール。「賭け」ではない所と対戦相手が複数人いる所、戦闘終了後にリセットが行われないことが普通の決闘と違う。

 そしてジェイスはこのルールは理にかなっていないとも言う。


「これでは隠れて耐え忍ぶ戦法がとても優位になってしまいます。そんな臆病者が決闘の王になってもらってはこちらとしても困るのですよ」



 と、ジェイスは更にルールを追加で設ける。



「追加ルールをここに発表します」



ーーーーー


追加ルール


①対戦中、10分毎に一度、キル数下位20名(同率の場合ダメージ総量も参照)の閃光エフェクトが上がり位置情報が公表される。


②キル数下位20名を一人倒す毎に【ボーナスハイヒーリング】が支給される。これは決選中でも使用できる回復アイテムである。


ーーーーー



 どれだけ逃げ隠れしようが強制的に戦闘が発生するように仕向けられている。弱者は淘汰され、強者に搾取される。

 ある者はそれでも、逃げ切って勝とうと考えるだろう。が、それがどれほど浅はかであるか、時期に判るだろうとジェイスは語る。



「では、皆さま、良い戦いにしましょう」


『決選を開始します。これより5分間の準備時間を設けます。』



 戦に生きる者たちの泥臭い円舞が、今始まる。




◆◆




『これより5分間の準備時間を設けます』



 アナウンスが入った瞬間に一斉に走り出した者もいればその場でぼけーーっとしている者もいる。鬼桜、狂夏、カセイ、店長の四人は無論前者。



「初期位置の確保、ね。北口側に行こうか」



 闘技場の入り口は東西南北の四方にあり、店長はその中でも北側を選んだ。場所で言うと鬼桜が最初に闘技場に入ったところとは正反対に位置する。


「南側には唐獅子牡丹がいる」


「そゆこと。リソースが豊富な最初に戦闘するのは避けたい相手だよね」



 大量のモンスターを使役するリアル魔王。初期でさえあれだけ飼い慣らしていたのに、あの日から時間が経ちすぎている。一体どれだけ力を貯め込んでいるかもわからないと、店長もかなり警戒をしている。



「何か作戦はあるのぉ?」


「作戦というにはだいぶお粗末だけど、実は最初にやることは決まってるんだよね」


「決まってる?」


「ああ。派手に行くよ。さて、ボクはちょっと隠れさせていただくよ」


『カウントダウン20秒前』



 店長はそう言うと一人だけ抜け出そうとする。



「隠れるのか。それじゃあキル数少なくて逆にリスキーなんじゃないのか?」


「逆にリスキーもなにもボクはもう自分でキル取れないからね」


「ああ、そうか」



 祈祷師は支援職。自分から魔法攻撃を当てる賢者ならいざ知らず、今の状態に戦場に出たってボコボコにされるだけなのである。



「細かい指示はフレンドの通話機能を使うよ」


「使えるのかァ?」


「使えるみたいだよ。ただしフレンド同士でも普段と違ってダメージが発生する」


『10秒前』


 店長はリアルタイムで進行する戦況を読んでからその都度指揮を取ろうと考えた。求められるのは一瞬で作戦チャートを組み上げる能力。これには情報が不可欠で味方と言葉を共有できるこの機能を使わないほかない。



「と、言っても君たちは勝手に動いてくれた方が柔軟だから、あまり指示はしないけどね」


「んー、言うことを聞かないだけじゃない?主に二人が」


「あ、狂夏ちゃんそれ言っちゃう?」



 んあ?とヤンキーコンビは同じ顔をして首を傾げるがお互い同列に扱われたことだけはわかり一緒にするなと恫喝する。



「それじゃあ、お互い健闘を祈ろう」


『カウントダウン5秒前』


『4』


『3』


『2』


『1』



 ゼロ。ファンファーレは無骨なブザー音が鳴り響く。その瞬間、戦闘員は眼の色を変える。



『決闘王選抜、開始』



◆◆



「っしゃあいっくぜーー!!!」



 今日の鬼桜は絶好調だ。新調した【向日葵-初め咲き-】を携えて、目先の敵から討ち取る。



「あいつが鬼桜だ!囲め!!」



 徒党を組んだ烏合の衆が、鬼に群がる。されど彼女は動じない。弱小共は全て餌である。



「【戦々狂々】【撃振一打(スレッジ)】」



 まず一人。雑に斧を振るだけで一撃で沈める。あまりの気迫に思わず息を飲む群衆。

 鬼桜の火力は一週間前とは比べ物にならないぐらいに跳ね上がっていた。



「ボーナスポイントは遠慮なく筋力にぶち込んだからな」


 レベル42でボーナスポイントは84となる。筋力にステータス1項目の上限80まで振り切った火力超偏重。いままでリアルファイトでできてゲームでできなかった圧倒的暴力がここに実現する。いや、してしまったのだ。

【戦々狂々】の効果切れが起きる前にもう一人を消す。これで【激震一打】をノータイムでもう一発打つ。



「な、なんなんだあれ!?」


「怪物かよ……」



 鬼桜は止まらない。一人また一人と命を刈り取り、猛追する。





 ────しかしそれはほんの序章に過ぎない。鬼桜一人暴れるぐらいで怖気付いていては生温い。



 ある程度倒すと怖気付いたのか鬼桜と挑もうとする者が身を潜め始めた。

 まったく腰抜け共め。と、呆れていたのだが、闘争の勘が何かを察知していた。



「なんだ、なんなんだ、この異様な雰囲気」



 何か得体の知れない気配を感じ取った鬼桜はその場で立ち尽くす。

 突然静止するものだからなにが起きているのだと困惑する有象無象。今なら隙を当てるのではと錯覚した一人が突っ込んでいった。釣られるように周りのプレイヤーも突撃した。

 これに対し鬼桜の発動したスキルは【死線の心眼】


 無論雑魚相手にこの手札を切ることは絶対にしない。その嫌な予感に触発され発動したのであった。そしてその予感は的中してしまう。

 世界は白黒に……ならなかった。

 真っ赤。周辺全てが血の色で染まる。何か膨大な力が働かんとしていた。殲滅という二文字が表すのに丁度いい。

 3秒経過。効果終了と同時に回避しようがない、どうしようもないそれが全てを無に帰す。


 北口エントランスから連絡通路まで全てを破壊し尽くす大爆撃が、地獄を生み出した。

 戦闘員は全滅。あまりにも凄惨で理不尽なそれが被害の大きさを物語っている。











「────君に全てを捧げましょう。この身全てを尽くしましょう。幸福とは儚く脆く美しく。鮮やかに、華やかに、だれよりも大きく散りましょう。(ヒバチ)ヨロズノカナデルオト。響け轟く浪漫砲」



 決闘王選抜開始15秒。北口、突然の大爆発により崩壊。現在最多キル数に上り詰めたものはバトルに興じる錬成術師(アルケミスト)



ーーーーー


炉万奏音(ロマンカノン)

職業:錬成術師 所属:ー 役割:戦闘員


ーーーーー

 



そんな読み方しないって?気にしない気にしない

これがやりたくて作品書き始めたまである

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