表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今からお前に決闘を挑む  作者: アスク
日輪の華は戦場を照らす-前編-
32/79

一等星を地に落とせ ②

なんとまたしても高評価ポイントを貰ってしまいました!ありがとうございます!

よろしい、次回後書きは嘉靖君とカセイちゃんを描きましょう



 4階建ての民家の内部。階段の上に3名はほど潜んでいるのはわかっていた。登っている最中に蜂の巣にせんと出てくるのは自明の理。



「読める攻撃は怖くねえ」



 重騎兵モードになってダメージを極力軽減、ジャストカウンターも添えてほぼダメージを通さず。

 次の矢を充填させる一瞬の隙は許さない。

 着脱、そして、暗殺者モード。練度が上がったことで解禁された【鉄製の弓矢】、重なる確定反撃。一番手前のやつの額に傷痕の穴を開けた。



「【強化:敏捷】──【加速化(アクセル)】、煌黒」


 

 後続2人からの攻撃は手前のやつが邪魔で撃てないのだろう。

 発動時間4秒、リキャスト14秒。【スピード】も発動時間4秒、これが残り7つ。リキャストタイムを約3割軽減させる【クール】これが残り10個。さあ、忙しない戦いの始まりだ。



 1秒、手前の野郎に剣で溝打ち。白く消える死体を振り払う。


 2秒、体勢を有り得ないくらい前のめりに倒す。地面と20度くらい。後ろ2人の狙撃を回避して急接近。


 3秒、足関節を横打ちして1人転倒。【斬撃一閃】を発動。隣のもう1人の股下のわずからすくい上げるようにぶった斬る。


 4秒、倒れた状態から立ち上がろうと、身体を支えている腕を足で蹴り飛ばして再び転ばず。効果終了。


 【加速化】再起動まで14秒、背中を踏んづけ、頸に剣を突き立て撃破。【クール】で4秒ちょい短縮してあと10秒。【スピード】ポーションを使用してまた4秒。



 窓の外から矢が飛んでくる。

 打ち手は路地を挟んだ向こう側の建物。窓から外へ飛び出す。現実なら落下して死ぬのがオチ、けどこの距離感なら、ゲーム空間ならいける!【鉄製の斧】を両手に1秒経過!


 空中にいる私は実に無防備。だが全速力で飛び出し私を捉えられるものなら捉えてみよ。向こう側の木枠の向こうから覗かす顔へ斧を【追尾投法】で射出!2秒経過!


 顔を引っ込めたが斧は逃さず、あがる叫び声。

 窓を飛び移り、部屋に転がり込んで3秒経過!


 窓の壁沿いに潜んでいた奴は2人。慌てて着地隙を狙って襲いかかってくるであろう場所に、持ってる武器で一番横に長い槍を置く!足を引っ掛けて2人揃ってすっ転ぶ、こりゃ傑作、4秒経過!


 わざわざ力を込める必要はない。倒れ込む先にダガーナイフを持った両手を添えとくだけで、勝手に突き刺さってくれる。ダメ押しでダガーから手を離し手刀で首を落とす。【加速化】再起動まであと6秒。


 記憶の海から、矢の軌道を思い出す。残りの奴がどこにいる?移動してるか?いや移動しても範囲は隣3、4件の建物の内部、そして。



「屋上!」



 【スピード】をつかってさらに上に繋がる階段に向かって────────右足に衝撃!どこから!?


 振り向くと、二発目と三発目の弾丸(・・)が既に目の前に。避けれずに横腹に喰らう。反対側の建物つまりこっち側に飛び移る前に居た方の民家の壁から弾が跳ね返ってきて、侵入してくる。四発目と五発目はしっかりと避けて……



「スーパーボールってか?」



 部屋の床に当たった弾があらぬ方向にすっ飛んで、椅子に箪笥にあらゆる障害物を破壊する……ことなく反射して止まることを知らない。予想もへったくれもない弾道!ちっ、【スピード】を一本無駄にした。



「シリウス、なんつーもんつかってやがる」



 跳ねる弾なんて聞いたことない。今なお止まることなく部屋で暴れ回るそれを他所に屋上へ繋がる階段へと足を急がせる。


 そして屋上、ここでも待ち伏せをされ、無数の矢が一極集中で放たれる。



「その手にはならねーよ」


「そう?調子乗ってない?ばーーん!」


「なっ!?」



 真後ろ、急所は回避したが、弾に当たった。そして、ついに【鉄製の鎧】が壊れて砕け散る。



「大人しく寝ていろ」


「あがっ」



 状態異常:麻痺。スキルが発動したってよりか、弾自体に追加効果があったと考えるのが適切か。まずいな、身体中に矢が大量に突き刺さって傷痕だらけだ。一気に8割削られた。

思った以上に一筋縄じゃ行かないらしい。

 焼け石に水程度だが回復薬投了、そして状態異常対策に持っていた特効薬も使う。【加速化】が立ち上がった。


 狙うはやはり顔を出した調子乗りのハットのおっさん、ディザスターシリウス。



「ぶっ倒す!」


「bye!俺は逃げるぜーーッ!」



 飛びかかってやろうと思ったら自ら建物屋根からその身を投じる。そしてやはり【滑空歩き】を起動して空中の届かない場所に退避していた。

 私の体は……止まらない。そのまま背中からダイブした。



「届かないってのー!フィナーレといくか?鬼桜氏!」



 ああ、そうだ届かない。だから右手に持ったこの斧を叩きつけるように投ずる。



「あぶないねぇ!けどそれじゃあまだまだ!」


「わーってんだそんなこと!」



 理科の先公の言うところの物理法則ってやつかな。4階建の屋上から段々と早さを増して落ちる。

 何のためにあの投げたって?そんなものお得意のおとりだっての!

 本命はついさっきリゲルからパクったロープ!




「な!足に捕縛用の!?」


「【追尾投法】だ!一緒に地に落ちろ!シリウス!」



 死なば諸共、いや、お前だけ死ね!落下最中にも手繰り寄せて身体を捻る。迫る地面に先に叩きつけられるのはシリウス!

 落下によるダメージは存在する。私もあいつも今のでHPを削った。回復薬使った分が一瞬でチャラ。

 【鉄製の鎧】も壊れちまったし。



「だが、引きずり込んだぞ!」



 カウント2週目、【スピード】を回す。



「んじゃおじさん本気出すわ!」


「本気だろうがなんだろうが上から潰す!」


「【確定標的(ターゲット)】包囲されてることをお忘れなきよう!」



 【確定標的】がどういうやつなのか今になってわかる。これってつまり全体支援技だ!弓使いの部下を支援するための。1秒。


 バラバラな軌道は修正され、洗礼された矢の先は、さながら餌に群がるイワシのように、群を率いて食ってかかる。

 【ジャストカウンター】と【クール】をセットで起動して2秒。


 数発被弾。だが一々気にしてられない。狙撃銃から二丁拳銃に武器を変えて近〜中距離対応してくるシリウス。右から一発、左から一発。



「あたるか!」



 3秒経過。ほぼゼロ距離。左足から踏み込み、腕の描く円の大きさは最小限に、ノータイムで奴の左肩から叩き斬る!



「4秒……」


「ノック式のボールペンを分解してよぉ、中に入ってるバネでよく遊んでた」


「あぁ?」


「授業がつまんなかったんだろうな」



 なんの脈絡もなく始まったボールペンの話、意味がわからなかった。そして。



「跳ねるのを見るとおもしれーよなぁ?」



 バチン!と肩と背中の二箇所を中心に蜂に刺されたとまではいかないがそんな衝撃が全身を駆け巡る。

 拳銃の放つ二つの弾丸は、例の跳ね返りを経て私に直撃した。



「【跳弾】使うのは楽しいねぇ」


「関係ない、このまま押し切る!【強化:筋力】──【力強化】【連斬撃】」


「ざんねーん!【繋ぐ鎖の純銀弾アンカーロックバレット】お前はもう、動けない」



 弾と壁を伸び切った鎖が繋いだ。奴がバックステップで逃げていく、それを追いかけようとしても身体はそれ以上前にはいけない。

 


「【確定標的(ロックオン)】打ち方ぁ!一斉射撃!」

 


【確定標的】のクールタイムが約8秒ということがわかったのは収穫だがさあどうする。【ジャストカウンター】立ち上げるには2秒足りない。それにもう偏差で一発喰らうだけでも死ぬやもしれない体力。

【加速化】も【スピード】も後ろにしか動けないこの状況下じゃ旨味半減。

 鎧がないから重騎兵モードにもならない。防ぐ手段は、防ぐ手段は!?




「集中、集中しろ、私」



 盾でガードなんて考えんな、何万発撃たれようが全弾残さず剣で殺す!【加速化】と【スピード】を重ねて徹底的に身体の動く速度の限界を引き伸ばす。


 右手に【煌黒の剣】左手に【最初の霊剣】武器耐久値の一切減らない二種を構えて、迎え撃つ。



 集中、集中、集中────────。

















「ハハッ」



 その時、私の中に長いこと眠っていたそれが目を覚ました。

主人公、覚醒

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ