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今からお前に決闘を挑む  作者: アスク
日輪の華は戦場を照らす-前編-
28/79

Starlight -正義執行-




「この辺りを警備してるのは【Starlight(スターライト)】っていうクラン。アタシたちが戦闘員って言われてるように自警団っていう括りがあるの」


「そいつらがうちらを殺しにかかってくる輩だな」


「そそ。みーーんな名前に『スター』ってついてるの」


「そいつらどこにいんだァーー?見当たらねェぞ」



 街の中、見渡すが確かにそれっぽいのは居ない。

 ただ、昨日まで大通りに人が密集していたが、今日は点々と人がいる。このゲームが発売されて3日目。おそらく外でモンスターとやりやってたやつが街の中も散策できると気が付いたのだろう。



「平日の朝だからね、いないのかも、リアルで言えば仕事とか?」


「平日っていや、あんたら学校は?」


「春休み知らねェのかお前」


「言い方他人事だけどお姉ちゃんも学生だよね!?」


「っせーな、いってねーからマヒるんだよ、感覚が」


「学校は、いこーね」


「俺ら中退してっけどなァ」


「え」



 だれが行くか面倒臭い。特にうちの学校なんてクソ生徒にクソ教師しかいないし行っても面白くない。

 今はそんなことよりこのゲームだ。普段と違う脳を使ってる感じが面白い。



「自警団ってつまりおまわりさんだろ?ははっ、そんな奴に喧嘩売って牢に入れられない世界があるなんてな」


「アレ、もしかしてお姉ちゃんリアルでやばい方ですか?」


「あァ?俺もアイツもワルだぜェ?ヤバイだろ?」



 私は悪い事をしてるつもりは無いが、周りからすればワルなのだろう。

 嘉靖は違う事なきワルガキだ。最初知り合ったときは児童相談所にいたし、むしろ今大きな犯罪を起こす事なく毎日過ごしてるのが奇跡である……ぶっちゃけ軽犯罪のあれやこれやはしてそうだが。


 ちらと見るとぐわあああと怪獣の真似をするみたいに脅かしていた、狂夏もそれに合わせてうわあああと「アタシ必死です」と言わんばかりの表情。



「バカやってねぇで、探すぞ」


「「はーーい」」




◆◆




 狂夏が言うには、イーステッドは丘の上に建てられた城壁に囲まれる巨大都市で、大通りを境に北と南に分かれると言う。

 今いるのは高台。つまり闘技場と教会と城が点在す南側。

 南側の中には西門と東門がありそこから外に出れるという。



「レッドネームのプレイヤーは街にいると追い回されるから外の別の領地に身を潜めてたりするの」


「領地?」


「ハルジア公国連合……って言ってもわからないかな。イーステッドの外は貴族のNPCが領地で宮殿構えてるの。アタシはたまたま闘技場に転がり込んで戦闘員になったけど、友達はそこで用心棒してるって」


「なーるほどね、で、門の近くに来た理由は?」


「そうやって外に逃げたレッドネームが戻ってきたときにぶちのめすために見張りがいるんじゃ無いかって感じ」


「いたのか?」


「ビンゴだよぉ、自警団もレッドネームなら攻撃できるんだよね。ほらあそこ、衛兵のNPCいるじゃん?アタシたちが姿を出せばすぐさま自警団に通報するよ」



 指差す先、確かに門を見張る鎧を着た人間がいる。プレイヤーが忙しなく城壁門を出入りしていた。


 嬉しそうな顔で戻ってきたやつもいれば、肩を落としてるやつ、ウキウキで外に出かけてくやつもいれば、その前で何やらもめてる奴らもいる。



「っしゃ、じゃあさっそくカチコミといこう。カセイは?」


「ちょうど買い終わったみたい」



 そこの武器屋っぽい場所から赤髪の褐色の女性が笑顔で出てきた。



「おうおうおう、俺をパシリにしたなら負けは許さねェぜ」


「しかたねーだろ、うちら買い物できねーんだから」


「カセイお姉ちゃんこそ、足引っ張らないでね!」


「言うようになったじゃねェか狂夏ァ!」



 肩を組んでガシガシしてるのを見ると歳の離れた姉妹のように見える。

 さて、カセイに何を買わせたかと言うと、大量の【スピード】や【パワー】と言ったポーション類。そして回復薬をたくさん。後は鉄製武器。これを機に青銅武器とはおさらばだ。



「全部自腹!でも金はまだあるぜェ!」


「いつか返す」


「へえーー返すんだぁ。てっきり『みかじめ料だ』って言って返さないのかと思った」


「ははっ!店長と同じこと言ってら!こういうとこ細かいんだぜ、桜は」


「義理堅いって言え。あとお前気になってたんだけどどこでそんな金手に入れたんだ」



 黄金の女帝、なんて狂夏から大層な二つ名をもらったその由来といえば、私たちの軍資金を全部賄うだけの大金。その出所とはいかに。



「クエストやってんだよゥ」


「クエストだぁ?」


「それって、もしかしてエクストラってやつじゃない?」


「お?知ってんのか?そうそれ、エクス……ごほん、extraってやつだ」


「何故今言い直した。その、たまにする『英語流暢に喋れます』アピールはなんだ。いやそれよりエクストラって?」



 無知ですまないと思う。狂夏はまたしても丁寧に説明を始めた。

 言うに、それは【特殊クエストextra】というものらしい。



「NPCの突発依頼とかモンスターと遭遇したら突然発生したりするのは【特殊クエスト】って言われ方するんだけど、それの延長したやつ」


「イマイチピンとこないな」


「発生させる事自体が貴重でしかも難しい代わりに報酬がっぽりなやつ!」



 それってつまり。



「やっぱ運良かったってことだな」


「あっ、本当だ、この人運が良い」


「俺ァ幸運の嘉靖だからなァ」



 ふははははと笑い声を上げる。

 さあ与太話もこの辺にしないとそろそろ私も時間制限で死んじまう。

 喧嘩売りに行くぞ!と改めて声を上げた。

 向かう先、門の前。


 どうも私の中でテンションが高くて目立つ奴は嘉靖のイメージで定着されてるみたいだな。



「へいへいへいへーーい!!!こっちみろポリ公コルァ!!!レッドネームお通りだぜーー!!!」



 片眉上げて、ガニ股で顎を突き上げながら、柄悪くズカズカと衛兵の目を引く。びっくりこいたような顔で衛兵は、腰を抜かしていた。



「ははぁぁあ!レッドネームだぁ!自警団を呼べ!」



 きゃああああと騒乱はプレイヤーたちに伝播する。別にこの状態じゃ互いに攻撃できないというのに。

 レッドネームってそんな効力あるのか。まあいい、なににせよ。



「喧嘩の時間だ」

評価ポイントを頂き、日刊VR100位に食い込んでてびっくりしました。ありがとうございます!

まあ、どれだけ評価を貰っても私から出せるものはなにもないんですけd




挿絵(By みてみん)


「おだてても何もでねーぞ」



はい、テンション上がって描きました

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