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今からお前に決闘を挑む  作者: アスク
日輪の華は戦場を照らす-前編-
14/79

焦った奴が負ける戦い




 動きで捌く。

 スキルというしがらみから、一時的ではあるが解放されている今、勝負を決めるのは1秒1秒に起こす行動と己の判断力。


 バディは盾でその身を守ろうとしている。正面からは突破できないが、それ以外からは可能。その上で狙うは首筋と。



「上から刺す!」


「なに!?」


 宣言と同時に【冬印-鉄製の槍-】に持ち替えて上空にぶん投げる、当てるつもりで。鋭角な弧を描く。しかしながらそれが当たるのは遅いし、バディは難なく対応するだろう。


 まあ、対応に時間と動きを割いてくれたなら……。



「思う壺」



 ぶん投げた槍に気を取られている隙に右手に【煌黒の剣】左手に【最初の霊剣】を。


 左から回り込む。

 まだアッシュほど上手くは動かないが、慣れてきた(・・・・・)

 上と左からの同時攻撃、奴のとる行動。槍を避けつつ一歩引いて私から距離を置こうってか。



 勿論それも予想していた!


 体勢を反転させ右に急旋回。体を動かそうと考えるとうまくいかない。頭でなんとなく考えて身を委ねるのがコツだ。

 地面スレスレ走りからすくいあげるように、盾の下から潜り抜け、首を捉えた。



「【斬撃一閃】」


「おぐぅっ!?」



 木刀に、斬撃が乗る。

 この【斬撃一閃】というスキルは便利なものでどの体勢からでも剣を振れば発動できる。

 首元に一撃を放つように身体が無理矢理引っ張られる派生技【斬首撃ち】とは違い、小回りが効くので使いやすい。

 さあ、傷痕だ。上乗せ一回。



「チッ、こざかしい!」



 盾から大剣へ。何かスキルが立ち上がったか?

 が、生憎こっちも【ジャストカウンター】がじき使えるようになる。

 後ろに回り込んで、足を払うように膝関節をぶっ叩く!怯んだな!次!振り向かれる前に頸を狩る!傷痕上乗せ二回!



「こいつ、ことごとくクリティカルを!」



 振り向いたな、もう顔に向かって霊剣を投げている!大剣から左手を離して守りに使ったな?


 さて、今私の位置のすぐそばには、地面に突き刺さった【冬印-鉄製の槍】がある!

 狙うは、大剣を頑張って支える右手、剣よりも長い距離から、右手首を撃ち抜く!



「しまった!」


「大剣を離したな」


「【守衛抵抗(ヒッターレジスト)】!」


「【斬撃一閃】」



 これも首元を狙った攻撃だったのだが、発動した【守衛抵抗(ヒッターレジスト)】が軽減する。だが傷は確実に重なっている、上乗せ三回!


 それに奴は大剣を落としてる上に【ジャストカウンター】をうてる今、引く必要なし!押し切る!


 攻めに回る、身体が引っ張られる感触。【強制誘導(ターゲットアンカー)】を発動させたみたいだが、私も攻撃するつもりだったのでな、それは無駄打ちだ。

 お構いなしに一振り二振り三振りとさらにダメージを蓄積させ、その間に首への攻撃をすこしでも差し込む────なんだ、様子がおかしい。



「身体がっ……」


「どうやら勝ちを急いだのはお前の方だったようだな、旅人装備」



 身体の動きが鈍くなっている。攻撃を当てれば当てるほど、思うように動かなくなってくる。これは……。

 バディ=レオンは大剣を取り出した。二本目もあったのか。見たところ赤鉄とは別のものらしいが、まずいかもしれない。



「【守衛抵抗】はノックバックを防ぐだけの技じゃねえ。スロウを味わいな!」



ーーーーー


状態異常:筋力低下(小) 敏捷低下(小)

ーーーーー



 機動力を削がれた。大剣を構えている。ということは【大撃斬】が来る。

【ジャストカウンター】で防ぐ?いや、それは相手も考えているだろう。【大撃斬】を撃たない可能性があるから温存する選択肢もある。

 奴のスイングした大剣はもう当たる寸前まで来ている。どうする。



「【ジャスト────」



 発動をやめる、ここは寧ろ食らってやる!奴の一番武器であろう【赤鉄の大剣】によるダメージが4割、投擲直撃で1割、防御の分で少々、急所を避ければ気合で受け止めてギリ耐える!



「っしゃあ!こい!!!」


「【大撃斬】ッ!!!!」



 吹き飛ばされた。意識が飛んでいきそうなくらいに、ぐわんと宙に打ち上げられて、平衡感覚を失った。そのまま地上に不時着し、倒れ込む。

 よし、まだ体力は残ってる!身体は動く!仰向けの体勢から跳ね起きるて、この時前方空を斬るように剣を振る。

 なぜかといえば【追尾投法(ホーミングシュート)】を防ぐためだ。



「詰めてきたな……」


「さあ、クライマックスだ」



 やはり投げ飛ばされていた手斧を弾いた。もうダメージを喰らうことは許されない。切迫した状況。



「回収させてもらうぞ、【最初の霊剣】」



 吹き飛ばされたその先。実はバディが左手で弾き飛ばした霊剣が転がっている場所。敢えて食らったのはこれを回収する瞑目もあった。


 奴も【赤鉄の大剣】を拾い上げてもう勝負を決めるつもりだ。

 最重要警戒はまだ残されている強力な硬直スキル【威圧の眼光(プレッシャーゲイズ)

 【ジャストカウンター】がないとひっかかった瞬間負けが確定する。


 そしてそれは相手も同じで、【ジャストカウンター】が再起動してしまうと、最後の一手を詰めれずに巻き返されると焦っているはずだ。

 私のスキルの回転が軒並み速いのが功を奏し、今精神的に若干の優位に立っている!

 案の定あっちから動き始めた。この勝負、より焦った方の負けだ!


 あと10秒────────。



「あと10秒、どうにかして稼ぎたいんだろう?」


「あぁ?」


「残念だがこれで終わりだ。【スピード】【クール】」



 精神的優位も、戦力的優位も、外の力でひっくり返せる。それがこの世界の法則。


 奴がしたこと、なにやら瓶のようなものを叩き割ったかと思えば、青い光、そして上からオレンジ色の光を纏ってそれを体内に取り込んだように見えた。


 まさか、嘘だろう?



「野郎……ドーピングか!?」


「できればポーションは使いたくなかったが!レオンハーツの面子を潰すわけにはいかねえ!!【強制誘導(ターゲットアンカー)】!」



強制誘導(ターゲットアンカー)】の発動感覚があまりにも短い。もしかしなくても、リキャストの時間を短縮された。逃げることも許されない。


 鈍い鉄甲冑に重たい剣を持ちながら、奴は私以上の高速機動を手にした上で、スキルを取り戻していた。

 重戦車の如く脅威が、襲いかかる。


桜は「人を殺す戦い方」をするため普段「ゲームの戦い方」をしている一般的なゲーマーからすると普通にトラウマもの

普段なら弱点を突くにしても手加減はしますが痛覚が軽減されてる上、殺しても死なないし刑務所にいくわけでもないゲームの世界なので枷が外れてます



読まなくていい設定集

スキル詳細


守衛抵抗(ヒッターレジスト)

タイプ:ACTIVE 騎士専用スキル

リキャスト:14秒 効果時間5秒

「拘束状態」「硬直状態」を無効化し、「防御上昇(小)」を付与。

発動者が攻撃される時、攻撃した者に「筋力低下(小)」と「敏捷低下(小)」を2秒間与える。この効果は重複する。

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