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今からお前に決闘を挑む  作者: アスク
日輪の華は戦場を照らす-前編-
13/79

傷は勝利への活路




「さあ、【煌黒の剣】初陣だ」



 相対するは黒い鎧の大男。ぱっとみ威圧感はあるが、威圧してるだけで勝てるなら苦労はしない。


 硬い装甲に身を包んでいる。そう、馬鹿正直に硬い部分を殴ったってダメージにはならない。

 ならば弱いところを突く。それは関節部分だ。鎧ってのは他が硬くてもここだけはどうしても柔らかい。

 首撃ち────と見せかけて脚を折る!



「なにっ!?」


「驚いた顔だな、ご自慢の硬さはどうした?」


「ノックバック!?それにダメージ量が……おかしいぞ!?」


「そのまま、落ちろ」



 鈍い鈍い。機動力で勝るなら、ガツガツ攻撃するのみ。そのままストレートでいかせてもらう。

 次は腕!



「ふん、勝った気になるなよ旅人装備。【守衛抵抗(ヒッターレジスト)】」


「む?」


「そっちがクリティカル狙いなら、こっちだって策はあるんだぜ」


 

 緑色に輝く、その体。私とした事がつい油断した。そうだ、この世界で現実のルールは通用しない。

 弱点を突けば倒せる相手だが、裏を返せば弱点をつけないと倒せない。急所が急所じゃなくなれば、話は変わってくる。

 なるほど、関節部分を攻撃しても手応えがねえ。



「仕返しだ!【威圧の眼光(プレッシャーゲイズ)


「なぁ!?」


「攻撃が止まねえなら、止めればいい!」



 奴の目から放たれた「威圧」としか表現しようがないそれに巻き込まれ、身体が硬直する。動かない、全く持って。

 全身に張り詰める緊張感────硬直、まだ解けない!?



 やばい、来るッ!!





「【大撃斬】!!!!」


「うぐぁ!!」



 周りの奴らがうおおおっと歓声をあげる。大振りが、私の胴にモロ直撃した、なるほど旅人装備、薄っぺらいから直接的にダメージが入ってるのを感じる。

 気がつけば大きく後方に吹き飛ばされていた。人の集団に突っ込んでしまったが、どうやら決闘中の者とそれ以外は干渉不可みたいだ。

 人の身体をすり抜けていた。



「はて、さて」



 スピードで勝り、かつ弱点をつけるから楽な戦いだと思ったがこれは……。



「強え……」



 いまの一撃のみで、私のHPが4割削られた。楽な戦い?冗談じゃない。

 弱点は塞がれ、近づけば機動力を削がれる。どうしたら勝てる、頭を回せ、まず奴は武器使い、魔法がないなら遠距離は無い、距離をとって、突破法を考える!



「おいおい、逃げか?俺は悲しいぜ?」



 勝つ為には……己の手札を知ること。そうだ、小難しいとなんとなくで見るのを流していたスキルの内容。今更見ることになるなら最初から把握すべきだった……失敗だ。



「おーーいにっげるっなよっ!!【追尾投法(ホーミングシュート)】!!」


「何っ!?」



 投げられたるは手斧とブーメランの中間のようなもの。咄嗟に避けたつもりだったが、身体に吸い付くように当たってしまう。

 遠距離も持ち合わせてるってか?無敵か。ははっ。



「ははっ」


「何がおかしい?もしかして頭いっちゃったか?いいぜ、今楽にしてやるよ」


「いいね、最高だ。お前」



 アッシュとはまた違う苦戦。だが今回私の心はまだ負けてねえ。楽しくなってきたじゃねーか。

 再びバディから離れる。チュートリアルでもあったようにスキルの再発動には間隔が必要だ。そこが今回の肝となる。



『ステータスをオープンしますか?』



 思考を読んだか?いいぞ、開け!



「ステータス、オープン!」



 指示に従うように私の装備しているスキルや武器が参列する。

 流石に熟読する暇はない、投擲のダメージを極力防ぎながら必要な情報だけを頭に入れる。




【片手剣術:斬撃】並びに【斬撃一閃】【斬首撃ち】はリキャスト8秒。打ち分け可能な必殺技と思っていい。


【技能:カウンター】並びに【ジャストカウンター】リキャスト12秒、相手の攻撃にあわせて発動したら良いことあるっぽい。タイミングは……かなりシビア。


 そして最後に【剣の一刺し】リキャスト8秒、貫通。ようは刺すタイプの必殺技。打撃属性武器以外の剣じゃないとダメってことは【最初の霊剣】でしか使えない。



「【格闘の心得】はずっと発動してるから考えなくていい……」



 これが私の手札。相手は既に手の内を4つ出しているが一番厄介なのはやはり【威圧の眼光(プレッシャーゲイズ)】動きを止められて大剣が直撃する展開はなんとしてでも避けたい。


「さて、またせな!」


「くるか?【守衛抵抗(ヒッターレジスト)】」



 わかりやすく緑色に光っている。先の発動から、逃げ惑って今に至るまで約50秒。つまり少なくともリキャストはそれより短い。

 対したダメージを見込めないなら下手撃ちはしない。待って腐らせる。

 全力疾走からの後方飛び。これはアッシュのやっていた動きだ。あいつほど綺麗には飛べないが、押すと見せかけた行動は成功。

 あとは攻撃せずに待って、効果が切れたタイミングを叩く。



「おいおい、こいよ!【強制誘導(ターゲットアンカー)】」


「はぁっ!?」



 奴の最後の手札は、私を捉えていた。身体が勝手に動いて奴の方へ引っ張られる。制御ができない。まさかタイミングを図ることもさせてくれないと。



「【威圧の眼光(プレッシャーゲイズ)】!そして……」



 また大振りが来る────────









【ジャストカウンター】起動。「【大 撃 斬】ッ!」



 勝ちを急いだな、バディ=レオン。


 タイミングばっちし、吹き飛ぶことはなく、身体は硬直して直撃こそしているが、なんとほぼ効いてない。さあ、倍返しだ!【守衛抵抗(ヒッターレジスト)】の効果切れと同じタイミングに【斬首撃ち】発動。


 発動すると自然に動きが引っ張られる、まだ慣れないがその力に身を乗せて奥義を放つ。

 首筋がガラ空きだ!



「ぐのぉ!?」



 直撃し奴の首に横一線に赤く輝く傷ができる。

 そして、それと同時に文字が表示された。



ーーーーー


状態異常:傷痕

説明:対象物に攻撃が直撃するとき付与する。継続時間は大小で異なるが2〜20秒。属性強化がされているとその継続時間はさらに伸びる。

また、例え小さくとも重ねれば重ねるほど継続時間が長くなる。


1秒毎に極小の固定ダメージを与える。また「傷痕」の上にさらに攻撃するとクリティカルと耐久値減少が加わる。

「傷痕」が重なり続けると最終的に「欠損」や「致死」をもたらす。


ーーーーー




 勝利を手繰り寄せるように、戦略のヒントというのが舞い降りてくる。この傷痕、勝ちへの活路と見つけたり。




「『傷痕』『欠損』に『致死』……なるほどね。傷口をえぐったらそりゃ痛えもんな」



 さあさあ、こっからは私の攻撃タイムだ。【追尾投法(ホーミングシュート)】以外の全スキルを叩きつけて、奴はいま息切れ状態だ。敢えて改めて言おう。



「勝ちを急いだな!バディ!」


「ぐぬぬぬ……ならば!」



 攻撃に転じようと動いた私を阻んだのは、奴が持ち替えた装備。馬鹿でかい刀身の【赤鉄の大剣】と打って変わって現れたのは大きな盾。

 なるほど防いで次のスキルまで時間を稼ぐつもりか。

 はっきり言おう、厄介なスキルがねぇなら動きで捌いてみせる!

 傷痕が消失する前に上書きする!

対人戦のクリティカルを狙う方法は基本的に二つ


生身の人間の実際の弱点(クリティカルポイント)を突く

運気(LUK)の乱数による攻撃のクリティカル化




【技能:投法】

特定行動「物投げ」をした場合、その攻撃に効果ダメージ(筋力参照)を加算する。

追尾投法(ホーミングシュート)

タイプ:ACTIVE

リキャスト:10秒

特定行動「物投げ」をした場合に発動可能。対象に「ホーミング」を付与する。

発動者に5秒間「ダメージカット(弱)」を付与する。



強制誘導(ターゲットアンカー)

タイプ:ACTIVE 騎士専用スキル

リキャスト:40秒

周囲の敵対範囲限界(半径30m)にいる敵の攻撃対象が強制的に発動者になり、「吸い寄せ」が発生する。

この時敵対関係になった敵の数だけ「耐久値」が参照する防御ステータスを上昇させる。


威圧の眼光(プレッシャーゲイズ)

タイプ: ACTIVE 騎士専用スキル

リキャスト:42秒

発動者と敵対関係あるものを対象に発動。4秒間「硬直状態」にし、その後「筋力低下(中)」と「敏捷低下(小)」を8秒間与える。



【片手剣術:斬撃】

【斬首撃ち】

タイプ:ACTIVE 斬撃属性

リキャスト:8秒

片手剣術:斬撃の基本的なスキルの一つ。威力は武器によって変動する。

人型の敵に有効、首を横から斬るモーションを必要とする代わりに、攻撃範囲がやや広く高威力。「傷痕(斬/大)」を確定で与える。


【片手剣術:一刺し】

対応カテゴリー:打撃属性を除く片手剣

【剣の一刺し】

タイプ: ACTIVE 貫通属性

リキャスト:8秒

片手剣術:一刺しの基本的なスキル。威力は武器によって変動する。


【両手剣術:斬撃】

対応カテゴリー:両手剣

【大撃斬】

タイプ: ACTIVE 斬撃属性

リキャスト:12秒

両手剣術:斬撃の基本的なスキル。威力は武器によって変動する。


【技能:カウンター】

【ジャストカウンター】

タイプ: ACTIVE

リキャスト:12秒 発動時間:1秒

任意で発動したタイミングと攻撃されるタイミングが合うと成功。その場合ダメージを8割軽減し、「確定倍化反撃」を行う。

失敗すると3秒間の硬直状態となる。

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