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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第7章:一別の夏
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『第6節:歴史上に怪盗は存在したのだろうか』


シャーロット=レーン。運動は苦手だけど、開発は得意。

太陽みたいに明るくて、宝石みたいに輝いている、そんな人。ある日シャロは言ってくれた。


「ずっと一緒にいようね」


その言葉を耳にすると心臓が暖かく感じた。これが、マックスが教えてくれた、幸せなんだ。


「ああ。ずっと一緒だ」


3年間。シャロは知力で人の生活が豊かになるための器具を、俺は武力で人を護るための技術を、俺達は必死に修行して進展した。ある日、シャロはこれからの事を話し出した。


「高校は同じ所受けようよ」


「高校・・・学校に通うのか?」


「そう。飛び級になるけど、学校に通えば色んな人に会える。世界には私達が知らない事を

 知っている人がたくさんいるから、人を護るには人を知らないと。」


「でも、試験があるんだよな。勉強苦手なんだけど」


「クラスごとに内容は違うから大丈夫よ。武力の試験でダニーが落ちるなんて

考えられないわ」


「うっし、ならやるか。いつやるんだ?今から?」


「気が早い。試験は来年。残り1年で試験対策と、ダニーは街での日常生活のための常識を勉強しないと」


シャロは定期的に帰省しているけど、俺は3年間山に籠もっていたから、今の世の中が

どうなっているのか知らない。


「さて、その前に私からプレゼント」


「銃だ。シャロが造ってくれたの?」


美しい黒色の銃は手にすると直ぐに馴染む。俺がいつもどう扱っているか知っている

シャロは、僅かな癖まで計算した形にしてくれた。


「うん。私の永遠の愛を込めて」


「ありがとう、シャロは本当に優しいね」


目の前にいる女の子は、同い年でありながら遙か高みにいると感じた。

林道さんは知力のシャロと武力の俺、2人が組めば無敵だと言ってくれたけど・・・。

俺は全然シャロと同じ位置にいない。もっともっと強くならないと。


1年間が経過し、試験前日にシャロと街を回った。久々の建物だらけで窮屈に感じたけど、活気があってどこか居心地が良い。美味い食べ物に、行ってみたいと思ってた巨大な映像がある映画館、初対面なのにチームに入れてくれた、ストリートバスケット。山での修行も楽しかったけど、街での生活も楽しい。


「休みになったら林道さんの所に行こっか」


「だな。シャロが羨ましいよ。山の修行も街の生活も両方楽しめて」


紙コップに入ったコーヒーは空の筈なのに、シャロはカップを口にする。


「・・・好きな人を他の人に会わせたくなくて」


囁くように言葉を口にする彼女を前に、俺はずっと言えなかった気持ちを述べる。


「ありがとう。俺もシャロが好きだ」


「一緒よ。ずっとずっと、側にいて」


「約束だ」


夜なのに明るい街中で、互いの想いを口にする。シャロは突然目を閉じて、ジッとしだす。

両思いの人間が、唇を交わすキスを求めていると分かったけど、スッと手で遮る。


「試験に合格にしてからにしよう」


「そうね。発表は試験の翌週、長いな~」


「ならもっと街を案内してくれよ。シャロとなら、時間があっという間だから側にいたい。」


「喜んで。愛しのダニー」


翌日の試験本番、シャロは知力の会場に、俺は武力の会場に向かう。

武力の試験内容はポイントが刻まれたロボットを破壊して、総合ポイントを競う。1000人を超える受験生を50組に分けて行う。最後の組になった俺は控え室で時間が来るまで銃の手入れをしながら待つ。シャロがくれたアガべーはシャロを護る為に使うと誓った1年前、試験にはシャロと林道さんに倣って造った自作の銃を用意した。


「それでは、最終グループの方は会場に入ってください」


アナウンスが流れると会場に向かおうとすると、シャロに呼び止められる。


「ハァ、ハァ。まだだったんだ。私はさっき終わったの」


「お疲れ、今度は俺が頑張る番だ」


「試験は席で応援できるみたいだから応援するね」


「ありがとう。シャロが見ててくれるなら実力を発揮できる」


「行ってらっしゃい」


「行ってきます」


急いで会場に向かうと、中には広大な森が広がっていた。

開始の合図と同時に地面から次々とロボットが現れる。速く動く奴、堅い奴、反撃してくる奴、様々なタイプのロボットを倒し続け、終了のアナウンスが流れると画面に点数が出た。

2位と圧倒的な差をつけて1位を取った俺はその場で合格を言い渡された。

どうやら知力と違って武力は合格発表はその場らしい。あまりに嬉しくて急いでシャロに報告に行くと・・・何故かシャロは泣いていた。


「ど、どうしたんだシャロ」


「・・・さようなら」


そう言うとシャロは走り出した。「さようなら。」別れを意味する言葉を何故シャロが口にしたのか、訳を考えても答えが見つからず、後を追ってホテルに向かうがシャロはいなかった。

林道さんの所にもいなくて、どこに行ったのかと心配していると、慌てた様子で現れたマックスが行き先を教えてくれた。


「に、日本の高校に行った?」


「ああ。突然言われて私も驚いた」


どういう事だと動揺していたら、林道さんが冷静に質問してくれた。


「で、どこに行ったんだ」


「英証雌雄学園と聞いたかな。」


「英証だと!?」


「林道さん知ってるの?」


「確か林道さんの母校だよな」


「前に軽く話したけど、でもどうして英証に。まさかシャロが試験に落ちたとは

考えにくい」


「私も気になって、本当はいけないが、知人にシャロの結果を聞いたら合格だった」


一体何がどうなっているのか。その後、シャロとの連絡は一切途絶えてしまい、俺達は離ればなれになった。高校に入ってから携帯を買ったら、SNSでシャロのアカウントが表示された。日本での楽しい生活を送っていることに安堵した。

・・・でも、シャロに新しい彼ができた。行事でダンスパーティに参加したシャロは、パートナーに後輩と踊ったらしい。「生意気だけど素敵な後輩」。そうか書かれた内容に、俺は初めてモヤッとした気持ちになった。俺も英証に行きたいけど、シャロが嫌がるかもしれない。どうにかして会いたいと思った時、日本の帝王学園から留学生が来た。名前は手島一成。

日本で英証はどんな高校か聞くと、1年に1度開催される交流会で毎年大きな功績を残す素晴らしい学園。


けど、1人嫌な奴がいるらしい。写真を見せてくれると、その人はシャロとダンスパーティに参加した人だった。シャロはもしかしたら、悪い男に騙されてるかもしれない。交流会があるなら参加したい。もう一度シャロに振り向いて欲しい。教師に相談すると、帝王に留学できる制度があると教わり、生まれて初めての日本に向かった。


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