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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第6章:炎天下の弱肉強食戦
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『第9節:世の中にはいろんな資格があるんだね』


あれから3年。マックスは言葉とか文化とか、色んな事を教えてくれた。

学校に通うように言われたけど、俺はそれより教わりたい事がある。


「銃の撃ち方?」


「そう!撃ち方とか種類とか、銃を使って人を護りたいんだ。」


「護るか。ダニーの命を奪いかけた物だぞ。」


「銃が悪いんじゃなくて、銃を悪用する奴が悪いんだろ。

 それに、俺は武力A+ってスゲーやつなんだし、デッカい事やりたい!」


故郷からアメリカに来たとき、ステータス測定器で俺は武力A+と認定された。

A+ってのは最高ランクで、戸籍の無い俺は政府に引き取られそうになったけど、

マックスは軍隊専属の医者であり数々の功績によって政府にも顔が利くらしく、

それを阻止してくれた。


「よし。なら、私の友人を紹介しよう。」


軍隊専属の医者であるマックスは射撃術に長けている軍人の友人がたくさんいる。

けど、紹介してくれたのは銃を製造する職人だった。元軍隊技術部門の人で軍を辞め今は

山奥に住んでいるとか。車で何時間も走り続けると小屋が見えてきた。

マックスがノックをすると知らない言葉が聞こえてくる。


[入れ。]


「・・・何て言ったの?」


「入れって。日本人なんだ。」


「日本人。へ~。」


ドアを開けると、山積みの銃で圧倒された。銃によって道は1本に制限されている。

扉から真っ直ぐ進むと作業場と思われる机の上で銃を製造している人がいる。

ボロボロの作業着を着た背中が何故かカッコ良く見える。手を止めると、後頭部を

掻きむしりながら振り向いてきた。


「そいつか。」


「あれ、英語も話せるんだ。」


「そりゃあ軍隊にいたんだからな。コミュニケーションは取れるから安心しろ。

名前は林道哲司。林道さん、この子がダニーだ。」


「またA+のガキなんか寄越しやがって。これで2人目だぞ。」


「林道さんの腕を見込んでこそだよ。シャロは元気にしてるか?」


「近々来るそうだ。開発したスーツの性能テストがしたいだとか。」


「そっか。ちょうど良い。」


「なあ、シャロって誰?」


「私の姪だよ。知力A+で高速移動を可能にするスーツや医療器具を開発してるんだ。

 シャロもここで林道さんに開発のノウハウを教わってな。」


「どうせそいつも直ぐ俺を追い越すさ。何年もかけて修行してるのに、才能ってのは

 人を最も傷つける毒だ。」


才能。A+のステータスを持つ人は才能の具現だとか聞いた事あるけど・・・。


「こんな1つの事に集中できるのも才能じゃないの?」


林道って人とマックスは口を開けたまま固まった。変な事言ったかな?


「はは。やっぱ、ダニーとシャロは気が合いそうだ。」


「何で。」


「今お前が言ったのと同じ事を言われたからだよ。シャロにも。」


「林道さん。というわけで、宜しく頼むよ。シャロもきっとダニーを気に入ると思うし。」


「待て。お前の言い草だとそいつとシャロを会わせたいそうだが、俺を介さずとも

 直接合わせれば良いだろうが。」


「私が勘当されてるの知ってるだろ。シャロに会わせるにはこれしか方法がなくてね。

 報酬として乾パン5年分と銃の材料を持ってきたからさ。」


「ケッ。セルフ勘当のくせに。まあ、報酬があるなら構わん。」


「じゃあ、ダニー。しっかり教わるんだぞ。」


「勿論だ!」


マックスを林道さんと見送り、直ぐに修行に入った。最初に俺がどれだけ動けるかを

見るため、山の中にある林道さんが身体が鈍らないように普段使ってるトレーニング

コースを駆け回った。指示された通りコースを走ると合格を言い渡されて、いよいよ銃に

触らせてもらった。先ずは銃の組み立て方。拳銃、小銃、狙撃銃、散弾銃、機関銃、etc.

1通り教わって遂に射撃訓練。なんと地下に射撃訓練場が完備されている。

アナログとデジタルのコンビネーション!!

最初は制止した状態から止まった的を。次に動く的。今度は自分が動きながら動く的を。


あまりに楽しくて、1週間寝ずに林道さんに指導させてもらうと地上で突然叫びだした。


「お、ま、え、も・・・やっぱ才能の塊じぇねーかー!!!!!!」


言われたとおりに訓練やってたら怒鳴られた。


「何なんだよ。ダニーは戦闘技術で、シャロは製造技術で簡単に俺を

 追い抜きやがって。マックスはやっぱ俺を恨んでやがる」


「マックスは林道さんを信用してるよ。」


「ケッ。真っ直ぐなこと言いやがって。それはあの野郎は今も心の中で俺を

恨んでるからだよ。」


「恨み?」


「・・・お前にダニエルと名付けたのはマックスだよな。」


「うん。良い名前でしょ。」


「ああ。死んだ俺の親友と同じ名前だよ。」


「え・・・。」


「正確には俺達だな。マックスと俺とダニーは親友だった。けどダニーは戦場で致命傷を

 負い、マックスが手術したが救えなかった。」


林道さんは一発銃を撃ち、ど真ん中に命中させた。


「その致命傷の元凶が銃だよ。整備不備で爆発し、ダニーは敵勢力に殺された。

・・・当時、ダニーの専属整備士は俺だった。」


「だから軍を辞めて山に引き籠もってるの?」


「ああ。マックスは止めてくれたが、異国の人間のせいで仲間を失ったんだ。

 町にも住みづらくなって、山に逃げた。本来なら腹を切るのが筋なんだが。」


「聞いたことある。ハラキーリゴメン。でしょ。」


「切腹な。色々混ざってるわ。貯金でなんとかここら一帯を買い取って、自給自足で

 食いつないでる。」


「それとマックスが恨んでるのはどう繋がってるの?」


「ある日、マックスが女の子を連れてきた。この子に武器製作のノウハウを

 教えて欲しいってな。マックスの家系は武器とか医療器具を造って、政府や

 民間に貢献してるし、俺なんかを頼る必要は無いくせに。」


「シャロって子だ。」


「そう。マックスは必要な材料や道具を持ってきて、また俺に職人としての誇りを

 取り戻して欲しいなんて言いやがった。」


「・・・恨んでないじゃん。」


「じゃあ、どうしてお前にダニエルなんて名前を付けた。シャロはまだしもお前を

寄越すのは完全な当てつけだろ。」


「でも、俺は銃で撃たれて死にかけたし、そんな俺が銃の道を進むなんて普通は

思わないでしょ。」


「・・・お前、撃たれたことあるのか?」


「うん。スラム街って所で生まれて、ギャングに騙されて自爆テロやらされそうに

なったけど失敗して撃たれた。」


「だからって、そんな子にどうして、ダニエルなんて名前を・・・。」


「俺はすごい気に入ってるよ。」


すると林道さんは座り込んで、泣き込んだ。マックスがどういう想いで俺にダニエルの

名前をくれたかは分からない。けど、林道さんを恨んでるなんてことは無いと思う。

泣き止むのを待っていると、遠くから何か近づく気配を感じる。

金色の存在が高速で近づくのを視認して、銃を構える。


「敵じゃねえよ。シャロだ。」


「あれが。」


一瞬林道さんに視線を向けただけで次の瞬間には俺の目の前にいた。


「やっほー!林道さん。あれ、新しい弟子?」


この視界に映ってきた中で最も美しいと感じたその人は、髪をかき上げ麗しい

瞳を見せてくれた。





「それがシャロとの出会い。」


「・・・え、いや、その後は?」


「一緒に修行した。お、着いたんじゃないか。」


いやいやいや。これからだろ!!などと考えていると、前方にシャロと緑を確認する。

A-以下の奴らを保護してたのに、オレ達より先に合流地点にいるなんて、驚きの速さだ。

合流を果たし、緑が結界に穴を空けるまで護衛を務めようと想ってが・・・。

結界の向こう側から今まで感じた事がない豪気を感じた。これは、一体。


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