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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第6章:炎天下の弱肉強食戦
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『第8節:日本人って麺料理好きだよね』


進めど進めど目に映るのは森林ばかり。代わり映えすのは血の気に餓えた獣。

緑に支持された地点にたどり着くまでダニーと獣を倒しながら突き進む。


「ったく。限りがねーな。」


「だな。そんなデッカい刀振り回すの疲れるだろ。俺が打ち落とすから

 しまっても平気だぞ。」


「馬鹿言え。オレは臨戦態勢に入ってから初速は遅いんだよ。

 だから常に刀を振る方が有効だ。」


「そうか。でも、斬り倒すより俺が麻酔銃で眠らせる方が良くね?可哀想だよ。」


「心配いらねーよ。ここの動物は全部あの和って野郎が造った人工生物だ。

 生物学の第1人者だからな。こんな舞台を用意できるのはあいつの手腕あってこそだ。」


「使い捨ての生物をいくらでも量産できる訳か。」


「やけに突っかかるな。死骸はちゃんと回収して研究に役立てるらしいぞ。

動物の臓器提供とか、低量で必要な栄養素を摂取できる食料開発とか。」


「・・・凄いんだな。流石は生物学の第1人者。」


さっきはすっげーとか子どもみたいな反応してたのやけに薄いリアクションだな。


「何だよ。香織の魔力には感心してたのに知力には興味無いのか?」


「いや、知力ならシャロが1番ってだけさ。」


「そう言えば幼なじみらしいなお前ら。いつ会ったんだ?」


「忘れもしない10歳の時。それまで同い年のやつと話した事なくてさ、

シャロが初めての友達なんだ。」


「10歳までって。お前・・・どんな人生送ってたんだよ。」


「どんなか、スラムの生まれでさ、7歳の時にある医者に助けてもらって

言葉とか文化とか教わったんだ。」


闘いの手を止めずに進んでいる中で、ダニーは自分の過去を語り出した。

非常事態なのに、スラムの生まれというダニーの出生が気になり、オレは

ついつい聞き入ってしまった。


「物心付いた頃の記憶は・・・。」







俺は人ってやつ。腹から変な音がする。生きるためには何かを口の中にいれないといけない。

前に動きが遅い枝みたいな人に聞いた。だけど、小さくて固い石ってやつとか、サラサラで

柔らかい砂を口に入れると腹が痛くなる。どれを口に入れたら良いのか分からない。

枝みたいな人は食べ物を食べろって言ってたけど、食べ物を食べるには金がいるらしい。

金は石みたいな丸い形したの、薄くてヒラヒラしたの。それが無いとダメなんだ。


初めて食べ物を食べた時は、金が無いなら食うなと他の人に叩かれた。叩かれると痛くて

動けなくなる。金はどこにあるのか知らない。だから食べ物を食べられない。

だから俺は食べたら叩かれる前に走った。走っても追いつかれて叩かれる。

枝みたいな人に金がどこにあるのか聞いたら働くと貰えると言った。

働くとは人に言われた事をやるらしい。だから俺は働くと人に言った。

するとたくさんの人がいる所に連れてかれて、これを着ろと言われた。


重い服には紐ってやつがあった。言われたらこれを引くのが働き。

車ってやつに乗るとすごい速さで走りだした。止まると大きい音がする。

一緒にいた人は銃ってやつで同じ音を出した。何をやっているのか知らない。

俺はいつ働くんだろう。そう思っていたら、人に石みたいな固いやつを渡された。

車の中に人がいなくなって、音がしたら紐を引けと言われた。やっと働ける。

働いたら金が手に入る。金があれば食べ物を食べられる。早く音がしないかなと

待っていたら音がしたから紐を引いた。その後どうしたら分からないから車から出た。

車を出るとさっきとは違う人がいる。働いたから金が欲しいと言うとまた銃の音がした。

俺は頭が痛くなった。頭が痛くて倒れると眠くなった。眠いから・・・俺は寝た。


ただ・・・頭が痛いのに、身体が、軽く・・・。


目が覚めると、柔らかい何かの上にいた。今まで固い所で寝てたから気持ちが良い。

人がいる。白い服を着ている。ここはどこ?金は?


「起きたか。本当によかった。私は医者のマックス=レーン。」


この人を見ていると、身体が、暖かくなる。こんなの初めてだ。


「医者って何?」


「傷を治す人だよ。」


「傷・・・俺の頭のこと?」


「そう。まったく、口封じに子どもを撃つなんて。」


「金は?」


「夢でも見てたのか。残念、ここに金は無いよ。」


「でも、俺、働いたよ。」


「・・・言われたんだね。爆弾を抱えて自爆するように。」


「爆弾?自爆?俺は紐を引けば金をくれるって。」


医者は手で壁を叩いた。痛くないのかな。


「何から何まで奇跡だな。爆弾が不発だった事。銃で撃たれたのに生命活動を維持した事。」


分からない言葉をたくさん話す医者は目から水を出している。


「君はもう自由だ。好きな事を学んで好きな職に就いて幸せに暮らす。」


「幸せ?」


「説明が難しいな。笑って暮らせるという事だよ。」


「どういう事?働けるの?」


「ああ。新しい人生を始める前に先ずは名前からだな。」


「名前?」


「さっき私はマックス=レーンと言ったよね。人には必ず名前というのがあるんだ。」


「どうやったら名前が貰えるの。」


「そうだな。私はダニエルという名前が好きだからダニエルはどうだい。」


「分かった。あと、あれは何?」


「これか。鏡だよ。」


「マックスがいる。」


「そう。人や物を映すんだ。ダニエルは自分の顔を見た事はないの?」


「うん。」


「そうか。ほら、こっちに来てごらん。」


鏡の前に立つと人がいる。これが俺。俺は俺を初めて見た。


「ファミリーネームはこれにしよう。ダニエル=ミラー(鏡)これが君の名前だ。」


「俺は、ダニエル=ミラー。」


突然腹が鳴った。口に何か入れないと。そう思っていたらマックスがおいでと言って

食べ物がある所に連れて行ってくれた。金は無いのに食べて良いと言ってくれた。

固い物、柔らかい物、熱い物、冷たい物。どれも口に入れると目から水が出てきた。

マックスはこれが幸せだと言った。幸せは他にもあるらしい。もっと幸せになりたい。

俺に金とか食べ物とか、働く人を教えてくれた枝みたいな人はどうしてるのかな。

幸せになりたい。でも、他の人も幸せになって欲しい。俺はこれから人を幸せにするために生きる。


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