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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第6章:炎天下の弱肉強食戦
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『第6節:どら焼きのどらって何』


「うっそ。あんたもしかして魔力Aなの?英証の安心院って雑魚なんでしょ」


女子は上着に付いたホコリを払いながら立ち上がる。


「こんな簡単に見つかるなら試合開始と同時隠れた意味無いじゃない」


女子の発言を聞くと百合がやや怒りの表情を浮かべておる。


「萌香、どうして隠れてんだ。相手チームを異空間に閉じ込める筈だろ」


「殺人鬼が近くにいるかもしれないのに呑気に交流会なんてやるとか信じらんない。

 精神操作の魔法で魔力A+なんてどうやっても抵抗できないのに!」


魔力使いだけあってなかなか鋭いのう。


「なあ、誰?窈窕の人ってのは分かるけど」


「彼女は窈窕の魔力A- 3年 佐倉 萌香。 空間系の魔法使い」


「空間ってレア魔法じゃん。流石は窈窕」


シャロとダニーの会話を聞くなり萌香という女子は不機嫌な表情を浮かべる。


「もうやだ。そうやってレアな能力を持ってるからって勝手に凄いとか思い込むの。

 私の魔法は通り抜ける為の穴を作るか、隔離空間に行き来するだけ。しかも空間は

 1つしかないし」


「通り抜けの穴・・・なら」


シャロが儂と同じ事を考えつくが、緑が否定する。


「はいはい。レーン財閥の人、最後まで話を聞いて。結界は私も感知したけど、

 私より高い魔力の結界に穴を開けるなんて無理。さっきみたいに自分より強い人だと

 空間から引きずり出せるし、閉じ込めても出てこられる。私の魔法はその程度。」


「じゃあ、どうしたら」


確かに此奴じゃ力不足。準壱級ではなく壱級魔力ならば時間が掛かれど穴を空ける事は

できたが、見立てが甘かったか。打つ手は無いかと考えておると、結界の方から強力な魔力は感じる。馴染みのある魔力。儂の・・・香織の身体にも流れている安心院の魔力。


「な、何よ。外から強い魔力が結界を攻撃してる」


この女子、遠方で且つ結界の奥から発する魔力に気づくとは感知に長けておるのう。

それにしても、今のは忍術と体術の複合技。楓の奴、いくら壱級魔力といえど魔力と武力を

同時に駆使すればバテるぞ。儂の様に四季の舞ができれば良いが。

む・・・そうか楓の魔力は壱級。


「シャロ、お主は萌香を連れて準壱級以下の者達を異空間に移した後、楓のいる所を目指せ」


「どうやって楓君の居場所を探すの?」


「萌香なら感知できる。その後は楓と協力して結界に穴を空けろ」


「協力ってどうやってさ。安心院は空間魔法使えないでしょ」


「楓が全力で結界を攻撃すれば強度が下がる。お主なら最も脆い所を感知できるじゃろ。

 それなら僅かな時間穴を空ける事ができる」


「それなら、わざわざその楓って人の所に行かなくても、ここにいるA+3人が攻撃した後に

穴を空けるでも良いんじゃない」


「ふむ。此奴らほどの達人が攻撃した時に生じる衝撃にお主は耐えられるのか。

 それならそれで構わぬが」


「よっし、楓の所までレッツゴー!」


「百合とダニーは一緒に外に出るまでの護衛を頼む。ついでに一緒に脱出してくれ。」


「香織は残ってどうすんだよ。まさか1人であの化け物を倒すつもりか、無茶だ」


「そうだ。俺だってキメラぶっ倒したい!」


「ダニー・・・そんな話してるんじゃないの」


「あのキメラという生き物は知らんが空想上の生き物らしいのう。

 少し心当たりがあるんじゃ。だから、儂に任せて欲しい。

 外にも似たような化け物がおるかもしれんし、そっちはお主らに任せる」


「そっか、なら外の怪物は俺達に任せろ!」


やっとこさ行動に移れるかと思ったがここで緑が駄々を捏ねる。


「え、外に逃げれば安全なんじゃないの?だったらここにいたい」


「A+3人と一緒にいる方が安全でしょ。萌香さんが協力しないなら私達は3人で結界を

破壊できるか試すけど、その間香織君はキメラと戦うから萌香さんを護る余裕は無いわよ」


「万が一でも結界の主が中に潜んでおるなら緑が結界で隠れても直ぐ引きずり出せるぞ」


「行こう。直ぐ行こう!」


「だから、あんな化け物を香織1人じゃ無茶だって」


百合には申し訳ないが、儂はまだ本気を出してないんじゃよ。


「スゥゥゥゥ」


あの巨体を討つには流石に魔力を解放せねばならんか。

抑えていた魔力を解放すると辺りの木々がザワつく。

すると、遠方のキメラは儂の魔力に気づき声を上げた。


「ゴァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


「なんだよ、さっきまでオレと闘ってたのは本気じゃなかったのかよ」


「香織・・・こんな凄い奴だったのか」


「・・・」


「なんじゃ、シャロ。儂ではあの化け物に敵わぬと思っておるのか」


「いやいや、貴方の魔力は十分A+だよ!?下手すればそれ以上。

英証はどうして隠してたの!?安心院の方針とかなの」


「色々と事情があるんじゃよ。それより早う行け」


するとシャロは儂に近づき、他の者達に聞かれぬよう述べてきた。


「決めた。私は絶対に香織君の力を取り戻す方法を見つけてみせる」


ふむ、香織は恵まれてるのう。


「みんな、行こう」


シャロは己の兵器を起動させ、緑を抱えると光速で去って行った。


「香織、死んだら殺す」


ふむ。百合なりの激励か


「安心せい。安心院だけにな!」


「・・・」


ほよ。渾身の嗤い話を無視して行きよった。


「後で話してやるよ」


「何をじゃ」


「何で俺が帝王に来たか」


「そうか・・・じゃが」


「あんたじゃなくて、香織にな。だから、交換条件であんたが何者かは後で教えてくれ」


そう言い残すとダニーも去り、儂1人となる。

ふむ。大胆な変わりようじゃし、気づかれても当然か。


さて、確かめねばならぬ。幻獣を生み出す技術を持つ者。

かつて武力の一条、魔力の安心院と肩を並べた一族・・・知力の大和。

歴史上では断絶した一族。その末裔が遂に動き出したなら、儂の目的も果たせよう。


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