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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第5章:蒸し暑い日に迫る冷血な手
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『第7節:マクドナルドを略すとマックだけど、ッはどこから来たの。』


「みんな揃ったわね。じゃあ、行くよ」


先輩が扉を開けると、そこには煌びやかな世界が広がっている。

豪華なシャンデリアで照らされた宴会場。

既に会場には先ほど目にしたお嬢様のようなドレスを纏う窈窕の生徒と、

ドス黒い学ランに身を包む帝王の人達。

格好が統一された2校と違い、こちらは個性の塊のような集団。


「ごきげんよう。英証雌雄学園の皆様。私達は窈窕学園」


「私共は帝王学園!英証雌雄学園の方々に敬礼!」


優雅な挨拶と規律ある挨拶。帝王は未来の優秀な自衛隊を

育成する学園だから、生徒の威圧が一際デカい。


「初めての人は緊張せず、気楽に話しかけて仲良くね」


去年も同じこと言ってたけど・・・英証に緊張で押しつぶされる奴なんかいないだろ。

まあ、鬼塚さんは別かな。


「どーも!英証武力クラスの清水重虎っす!

 乗り物を乗りこなすのが得意っす!」


元気に自己紹介しながら2校の方へと走り出す。

さすがに清水に続く者はいないが、各々親交を図ろうと歩み出す。

英証に清水の他に元気にはしゃぐ奴はいないが、窈窕の数人が

先輩に駆け寄ってくる。


「シャーロット=レーン様。お会いできて光栄です。

 私は今年窈窕の知力クラスに入学しました・・・」


まあ、去年も見た光景だ。窈窕は知力クラスに力を入れている。

そうでなくても三大ステータスA+の人がいれば注目される。

先に来ていた升園さんは帝王のゴツい連中に囲まれてるし、

ダニーは女の子とキャッキャしてる。


こちらにも数名の帝王と窈窕の人が近づいてくるが、

目的は僕ではなく楓だろう。


「安心院楓さま、お初にお目にかかれて光栄です」


「どうも」


「時期安心院一族党首の方がこんなに愛らしい容姿とは・・・」


こういうのは初めてではない。

僕が忍の才能を失ってから、楓が党首になると決まり

党首としての責任と立ち振る舞いを教育されている。

当然こういう場では次期党首として、挨拶や注目される。


「こちらは私の兄上の」


「楓、僕の紹介は不要だよ。去年も挨拶させてもらったからね。

 皆様も楓と話したい事があると思うし、僕は席を外すよ」


「・・・分かりました」


とまあ、こうやってさりげなく場を離れるのも僕にとっちゃ普通。

実力も無い名家の人間なんて、世間一般じゃ存在価値0も同然だし。


「赫夜、楓を頼むぞ」


「はい!」


奏はとっくに一条の次期党首として交流してるし、

こうして1人となった今、知り合いは特にいないため適当にご飯食べて

時間潰そうとしたら先ほども挨拶をした升園さんに再び声をかけられる。


「香織くん。皆様とお話されてはどうですか」


「じゃあ、升園さん話しませんか?」


「お断りします」


「ですよね~。とりあえず声掛けに行ってきます」


「お待ちなさい。もう約束を忘れたのですか?」


「約束?」


「私のことは百合とお呼びください」


「ああ。百合さん、お話しませんか」


「はい、喜んで」


升園さんの笑顔を見ていると、花を愛でているようだ。愛でたことないけど。

・・・しかし、“一度刀を握れば激変”するからな~。

まあ、堅苦しいお嬢様モードより、戦闘モードの方が好きだけど。


「おい。何でまたそいつと話してんだよ」


帝王の人が割って入ってくる。これまたさっきも対面した・・・えーっと。


「なんとかかんとかさん」


「一成、何の用かしら」


そうそう、なんとか一成。あ、手島一成だ思い出した。


「・・・様だろ。呼び捨てにすんじゃねーよ」


「許嫁でなくなった貴方を敬う必要はないわ」


「許嫁、へ~」


「さ、昨年までの話です。もうこの話は無くなりました」


「あらら」


「お前のせいだよ。去年の団体戦でお前が調子に乗らなければ

 こんな事にはならなかった」


ほー。僕(もう1つの魂)に負けたことで婚約解消と言う事は、

武力B-に負けた結果が信頼を失った訳だ。可哀想に、こいつ

魔力A+なだけでなく武力もA以上あるからな。


「なるほど、僕(もう1つの魂)が強すぎたのが原因ですか。申し訳ない」


「・・・まぐれで勝ったのがそうとう嬉しかったようだな」


昼間より遙かに増した敵意を感じる。

手島の敵意に会場のみんなが感知し始めると同時に、会場の照明が落ちる。

今年初参加の者は僅かに慌てるが、一度でも前日顔合わせに参加したことが

ある者は落ち着いている。


「ホッホッホッ。若者はええのう、血気盛んで。よいよい」


再び照明が点く。しかし照明は会場の舞台に立つ1人の男のみに当てられる。

品の良いスーツを着た老人。その顔を直に見たのは昨年の交流会。

(なぎ) 三戌(みつじゅつ)全国教育委員会代表。自他共に認める目立ちたがり。

故に大勢の人間が集まるこの場で、突然照明を消しては自分にだけ照明を当てて

注目を集める。注目を集めたところでやるのは知力A+による交流会参加者へちょっとした授業。


「新たな顔ぶれ。今年も昨年とは異なる各校の姿が見られそうじゃ。

 そんな新参者達を含め、諸君らに伝えねばならぬことがある」


優しい笑みを浮かべていた和さんの顔が僅かに険しくなる。

本来ならここで「1つ授業でもしようかの」なんて言って授業が始まる筈なのに、

どうやらそれどころではなさそうだ。手島とやらも和さんが現れると同時に直立不動で

話を聞いている。流石は帝王学園生徒。楓や赫夜に奏の参加制限、帝王にダニーが留学、

和さんからの報告。今年は少々波乱が巻き起こりそうな予感。



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