表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第5章:蒸し暑い日に迫る冷血な手
54/95

『第2節:脱皮するってとんな感覚なんだろ』


「うん、美味かった!日本のバーガーは小さいけど味は最高だな!!」


バーガーを食べ終わると、男は包み紙を丸めて遠くに投げる。

位置的にゴミ箱がある所だけど、まさか入ったのかな。

それより・・・。


「日本語上手いっすね」


「まあな!俺の相棒専用の整備士が日本人でさ。

 仕事の片手間に教えて貰った」


スーツの懐から漆黒の銃を取り出す。手入れされた銃は、

照明の光を反射し、鏡の如く僕を映す。


「なるほど。順を追って処理しよう、先ず楓が見て欲しいってのは?」


「天井を見てください。」


言われるがままに視線を上にやると、奇妙な穴が開いている。

人の形をした穴だ。視線を下げ、横たわっている柊にやると、

奴の下には同じ大きさの鉄の型がある。

それは見る限り、天井と同じ材質と思われる。


「穴を開けたのは悪かったよ、そいつが戯れてきたから相手したんだ」


「皮肉なのか他意は無いのか。まあ、次は自己紹介を。

 安心院香織 武力クラス」


「安心院ってあの安心院か!すっげー大物だ。

 俺はダニエル=ミラー。同じ武力クラス、よろしくな。

 ダニーって呼んでくれ」


「次に、そこで昼寝してるアホとはどんなお遊びを?」


「ああ。校長に交流会の挨拶済ませた後、腹減ったから食堂の場所

 聞こうと思ってそいつに聞いたんだ」


「そこからどうしてバトルする事に」


「分からねえ。急にじゃれてきたんだ」


「どうせダニーが無意識に煽ったんでしょ」


唐突に先輩が会話に入る。

口ぶりから過去に被害に遭ったのだろうか。

先輩のダニーを見る目が今まで見たこと無いほど冷たい。


「あーひっでー。なんか俺が嫌な奴みたいじゃん」


「香織君を運んだ後、お腹が空いたから食堂でご飯を食べてたの。

 突然銃声が聞こえて、そしたら直木君が天井から落ちてきて」


「ここにぶっ飛ばして正解だった。食堂に着いたし。シャロと再会できて、

 こういうの、えーと・・・一石二鳥!って言うんだよな」


「こいつ限りなく死んだ目に近い目をしてるけど」


息は微かにあるが・・・白目むいてるし、倒れ方が

事件現場の死体みたいだ。


「麻酔弾打ち込んだだけだから、1ヶ月もすれば目覚めるぞ。」


「1ヶ月!?」


「俺の弾は全部特注品でさ、1番殺傷力の低いやつを使ったから

 心配すんなって」


「本当にふざけてる。交流会もあるし、その他の行事に

 直木君は出られなくなったのよ」


さっき怒鳴ってたの理由はそれか。

でも・・・。


「薬師丸先生なら治せるんじゃ」


「兄上、それは無理です。薬師丸先は唯一睡眠系を治療できないのです」


「そっか、僕も魔力植物の効果を治療してもらっても

 睡眠効果は続いてたし」


「魔力植物・・・ってあの」


「し。この話は後でな」


「は、はい」


1つ解せないのは、先生が幻術を解除した途端柊が目覚めた事。

気絶と幻術による精神攻撃は別物。幻術を解除された後、何故柊は

直ぐ意識を取り戻したんだ?


「これは問題よ。交流会前に不祥事だなんて」


「おいおい、ここは自分の実力を証明する場だろ。

 俺がそこの柊って奴より強かった事を証明しただけさ」


「指定地以外で戦闘をした際、学園にいる者および学園に損害を出した場合。

 本人はその責任を負う。食堂の天井破壊、私を含め食堂にいる生徒に迷惑をかけた。

 なにより、総合戦参加資格を持つ武力A-の直木君が出られない責任はどう取るのかしら」


「そんな怖い顔するなよ。シャロなら何とかしてくれるだろ。元彼からの頼みだ」


「シャロ先輩の!?」


「元彼!!!!!!??????」


わー、また大きい声聞いた。集団ともなると特大だな。

今度からは大きい声聞かない日をカウントしよう。


「誰が元彼よ!どこまでふざければ気が済むの」


「おいおい。俺に銃を造ってくれた時言ってくれただろ。

 永遠の愛を込めたって今でも大事にしてるぞ」


「そ、れは。別に。そうだけどそうじゃなくて。」


皆が固まる。先輩を除いて。ダニーとやらは座ったまま、何故先輩が怒っているのか

本気で分からないという表情を浮かべている。恐らく元彼というのは本当なのだろう。

やけに先輩が突っかかってるし。


・・・そんな事より。


「で、先輩はどうなんですか」


「どうって?」


「ダニーさん曰く」


「ダニーでいいぜ」


「先輩にこの問題を解決して欲しいと言ってますが」


「頼むよシャロ」


「・・・分かったわ」


「ありがとう!流石は俺が惚れた女」


「勘違いしないでよね」


「先輩はツンデレスキルを身につけた」


「香織君。後で話があります。

 これは個人ではなく、交流会代表者として対処します。

 なんとか直木君の意識を取り戻すよう努力する。

 天井は私なら直せるし。みんなにはえっと・・・」


「シャーロット=レーン特製料理~」


「香織君、ふざけるのはダニーだけでいいの。

 そんなんでみんなが納得するわけ・・・」


食堂がザワつく。先輩の料理は定評がある。

けれど、振る舞う機会はそう多くない。

以前この食堂で朝食を作った時も、滅多にない

先輩の料理を食べようと長蛇の列ができた。

また食べられるのを楽しみにしてる人は多いようだ。


「え、みんな。私の料理なんかでいいの?」


「食べたい!!!!」


ほんとう~~~~にデカい声を聞いてばかりだな。

まあ、問題が解決できるなら良いか。


「流石は俺のシャロ」


「もう、いいから、さっさと、帰って」


「次は会うのは交流会だな。またな」


「あ、最後に僕から1つ質問」


「おう、何でも聞いてくれ」


「どうして帝王に留学を?」


「それは・・・」


「・・・ゴクリ」


「交流会に勝ったら教えてやるよ!」


そう言って、ダニーは走り出した。

何でも聞いてくれとは言ったけど、答えるとは言ってないもんね。

明るいというか、軽いというか。

窈窕の升園さんとかうちの王先輩とはまた別のぶっ飛んだ人だった。

まあ、試合前にA+の人と対峙できたのは良かった。


「ごめん。ああいう奴なの」


「いえいえ。ただ、厄介な相手ですね」


「大地君が戻ってくれないと。戦闘じゃ・・・私は勝てないし。

 あ、でも。香織君なら勝つよね。今日みたいにジャイアントキリング

 期待してるから!」


「無茶言いますね。相手は誰だと思ってるんですか」


「私も対策考えるから弱気な発言はやめてよ」


「いやいや。先輩の”永遠の愛”が相手なんですよ(笑)」


「・・・そうね。ぜっっっっっっっっっったい。勝ってね」


笑顔に満ちているが、怒りが露わになってる表情を浮かべる。

やはり僕は性格が悪いようだ。こんな風に煽るの楽しいし。


「それに・・・あいつ私の銃は使わないし」


何か言いましたかと聞こうとしたが、楓がまで残っている報告を続けた。


「兄上、おふざけはそこまでです。奏さんや赫夜さんが待ってます」


「待ってる?そういや、どこにいんだあの2人。A+が来たってのに。

 もしかして秒でやられたから、猛特訓してるとか」


「流石です。兄上の勝利を祝って、スイーツをご用意しようと

 したのですが。あのダニーという方と一戦交えました」


「うっそ。当たったよ。・・・用意したスイーツは?

 てか、なしてスイーツ用意する途中に戦ってんの」


「え、直木君だけじゃなかったの?だってダニーは言ってな・・・。

 はあ、そうだ。言葉足らずな奴だった」


「奏さんの次に柊が、柊には最初銃を使わず素手で対決しました。

 柊は終始本気でしたが、ダニーは余裕でした」


奏には銃を使って、そんで負けたのか。さて、彼の心境や如何に。


「ぼくはデータ収集のため観察していました。本気を出せと

 言われたダニーは、銃を取り出し発砲。ただ、銃を取り出してから

 発砲まで奏さんの抜刀より早いと思います」


「なるほど。そうして最終的にぶっ飛ばした先が食堂で、

 先輩とダニーの運命的な再会を果たした訳か。

 それでスイーツは?」


「試合前に食べて満足してたでしょ」


「あれは試合前スイーツです。勝利祝いスイーツは別腹です」


「そんなことより」


「そんなことより!?」


「楓君、直ぐにみんなを集めて。ダニー対策の講習を開かないと」


「いや、だから、スイーツは?僕の勝利祝いしないと」


「分かりました。場所は大講義室にしますね」


「よろしく」


楓はメンバー招集と教室手配に。

先輩はダニーの資料作成に。


1人取り残され、散々文句を言っていたが・・・。

僕も大声を出します。


「僕のスイーツは!?!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ