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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第4章:学生あるあるのちょっとしたいざこざ
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『第7節:たこが入ってないたこ焼きって何焼き?』



説明会の翌日、シャロ先輩に指定された教室に呼ばれ、着くと

シャロ先輩と机を挟んで向かい合ってる赫夜さんがいた。


「座って楓君。2人に話があるの」


「はい」


何の用か言われず呼び出され、説明会の失態の話かと思ったけど違うみたいだ。

どうやら赫夜さんについてみたいだ。

もしぼくも説教をされるなら、奏さんがいないのはおかしい。

そして、赫夜さんを然る際にぼくを呼ぶのは安心院一族宗家次期党首だから。


分家の失態は本家の責任。同じ魔力クラスで近くにいながら、赫夜さんを

止める事ができなかった時点でぼくにも責任がある。

ましてや、その後自分の感情を抑えられず暴れようとするなど言語道断だ。


「さて、話と言っても、赫夜さんを含め他に暴れた3人にも罰を与えたし、

 本来ならこれ以上処罰する事は無いんだけど」


「いえ、私がした事は個人としてだけではなく、安心院の名を汚すほど

 愚かな過ちです。参加禁止が妥当です」


安心院の名を背負うという自覚を持ち、己を高めるため海外の辺境の地への

任務を志願するほど、赫夜さんは責任感と使命感が強い人だ。

そして猪突猛進なその正確は時に冷静さを失ってしまう。


「そうね、交流会には出られなかったら、せっかく

 海外で得た成果を発揮できないのは重いわね」


この学園で最も重い罰は、行事への参加の禁止だと言える。

実力を証明する機会を奪われるのは、それまでの努力が

水の泡となってしまうのを意味する。


「確かに、赫夜さんの罰は見直さなくちゃいけないかも」


「どういう事ですか?」


「今回の騒動は、直木君の発言が許せず赫夜さんが暴れたのが発端よね」


「はい、ですがそれは柊が兄上を蔑んだのが原因です」


「確かに言葉そのものは悪意を感じるけど、直木君にとって香織君が

 大した事ないのは事実だもの」


「・・・」


ぼくと赫夜さんは言葉を飲む。本来の兄上の実力はあんなものではない。

しかし、今の兄上の実力がお世辞にも誉められる程ではないのも事実。

そう考えると、柊の発言に間違いは無く、私情で暴れたぼくたちに非がある。


「一部の生徒から直木君の罰を取り消して、赫夜さんを停学にするべきって

 言い出す生徒が出始めたの」


この学園で停学とは行事への参加を3回禁止する。

奏さんからの話を聞く限り、柊の実力は確かな者で

実績から信頼を得ている。


対して赫夜さんは今年転校してきたばかり。

安心院の名と魔力A-の実力を持っているが、

学園内でその実力を証明していないため

柊と比べてしまうと信頼が無い。


・・・なら。


「柊の発言が間違いであると証明すれば良いんですよね」


ぼくの発言を聞くと、シャロ先輩は僅かに口角を上げて微笑む。


「随分と速く学園のルールに慣れたみたいね」


「あのどういう事ですか?」


「英証雌雄学園はあらゆるモノを証明するための学園。

 それは自分の実力に限らないの」


「はぁ」


「つまり兄上が柊より強い事を証明できれば、

 説明会での発言が間違いだと証明できるんです」


「それだけでなく、赫夜さんの行動にも正当性が見出せるの」


「なるほど!」


「問題は兄上が聞いてくださるかです」


「素直に話すのはダメなの?」


「恐らくですが兄上の性格では、負けた際に柊の正しさが証明され、

 安心院の敗北という結果を残すのを避けると思います」


「香織君を説得する時はいつもどうしてるの?」


「・・・あの人に一役買ってもらう必要がありますね」


ぼくたちは運動場に移動して、武力クラス団体戦参加者選抜のため、

木刀1本で強者たちを次々となぎ倒す兄上の唯一無二の親友、

奏さんに協力を要請する。


「わかった。やろう」


経緯を説明すると、奏さんは要望を快諾してくれた。

兄上は団体戦参加者のため、競技内容に合わせた修行を余儀なくされる。

柊と決闘してもらうには最終調整に入る当日の1週間前が望ましい。


シャロ先輩のアイデアで、毎年恒例の親睦会の席で件の話を

持ち出せば、兄上だけでなく代表者全員の方達も説得できる。

という案を皆が承諾し、クジでどの席順になっても良いように

作戦を考え実行の時を待った。










「・・・成功、ですよね。」


親睦会の後、ぼくたちは空き教室の一室に集まった。


「少し無理矢理だったけど、香織君はやるって言ってくれたし、

 終わりよければ全て良し!」


「奏も凄いね、見事に香織様を説得できたし」


「香織を説得する際の最終手段だから多様はできないけど、

 今回は使い所だったし」


「ところで、柊の方は大丈夫なのですか?」


「・・・うん・・・承諾してくれた」


間を感じるシャロ先輩の発言に懸念がある。

条件を提示されたのだろう。


「何を要求されたんですか」


奏さんが尽かさず質問する。

この中で柊と交流があるのはシャロ先輩と奏さん。

彼の性格を知るに、要求が穏やかなものではないと

推測したようだ。


「もし香織君に勝ったら一晩付き合えって」


「何ですかそれ、ふざけるにも程がある!!」


「・・・ま、直木の性格ならそう言うだろうな」


「どういう事?」


「直木は確かな実力者だから慕うやつも多くて、その際女の子に手が出るのも早い」


「最低・・・」


「大丈夫。私は香織君が勝つって信じてるもん。

 私の純潔を守ってくれる」


言いながらもどこか震えている様に見える。

シャロ先輩だけでなくぼく達3人も不安が過ぎる。


・・・けど。


「香織様は勝ちます」


「兄上はこの学園に来てからどこか変わりましたし」


「勝って最高のコーヒーとドーナツを楽しみにしてる筈だ」


兄上はやるからには全力を出す人。

ステータスからは不安がこみ上げるが、兄上という人間からは

どこか期待が高まる。・・・期待したいという自分がいる。


当日を迎え、天気に恵まれた決闘場には多くの観客が集まり、

一種のお祭り状態と化していた。


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