『第1節:オッドアイに憧れてます』
交流会発表から次の日。
三大ステータスでA-以上ある者は大講義室に呼ばれ、
競技などの説明を受ける。
大講義室。
行事や研究会など、説明会を開く際に使用する。
集められたのは16人+僕。
武力B-の僕が呼ばれた理由は奏に無理矢理。
教壇に立っているのはみんな大好きレーン財閥ご令嬢。
しかし、いつもの軍服ではなく、タイトなスーツに普段は掛けないメガネ姿。
「教師ごっこか」
「香織様、あの方はレーン財閥のご令嬢ですか?」
転校したばかりの赫夜は目の前に大物がいる事に驚く。
アメリカ生まれの彼女が何故ここにいるのか。
赫夜は自らを高めるため、海外でも更に辺境の地へ
任務に行くよう志願したらしい。
なら、先輩が日本に留学したというニュースを
知らなくてもしょうがない。
・・・アニメばっか見てた僕も知らなかったけど。
「そうだ。まあ、自由な校風の英証が
あの人には合ってるらしい」
「アメリカの方が自由なのでは」
確かにアメリカは自由の国。
実力があれば誰であろうとのし上がれる。
だが例外もある。
三大ステータスA+。
その強大過ぎる能力は正に未知数。
更に知力がA+ともなれば人類の文明に
大きな利益をもたらす可能性が高い。
故に国はその者を管理したい。
故にその者に自由は無い。
だから先輩は生徒の自立を尊重するこの学園にやって来た。
「ってな訳」
「彩華様や黒榎様から聞いた通り、素晴らしい学園ですね」
父も母もよく学生時代の思い出を話す事が多かった。
1つの心残りがあるとすれば父は魔力をA+に
できなかった事らしい。
「例年通り、1週間かけて行われる交流会で
最終日は総合団体戦。その他はクラス別個人戦及び団体戦です」
「では、私は香織様と一緒に出れるのは
最終日だけなのですか?」
「いや、そもそも僕がレギュラーになれるか怪しいな」
魔力クラスの赫夜と武力クラスの僕とじゃ、
一緒に出場できる競技は最終日のみ。
海外任務を終えて赫夜は魔力がA-まで上がっていた。
レギュラーになれるかは競技によるから
何とも言えんが、赫夜なら心配無いだろ。
僕は心配以前にここにいるのもおこがましい。
「では今年のクラス別競技を発表します。
分かれてください」
先輩の指示と共に生徒は動き出す。
楓と赫夜は魔力クラス、僕と奏は武力クラス。
毎年新入生やステータスが上がった者が加わるため、
自己紹介から始まる。
しかし武力クラスにA-以上の新入生は居らず、
2年が1人加わっただけで昨年と顔ぶれがあまり変わらない。
「じゃあ、自己紹介始めるか。俺は一条 奏。
武力Aの侍専攻、よろしく」
パチパチと短めの拍手を済ませ、手早く自己紹介が進む。
「俺の番な!高山 裕真。武力A-で得意なのは
トラップ仕掛け。罠にかかった奴の顔見るのが3度の飯より好きなんだ!」
人懐っこく明るい笑顔をしている彼の腕はマジモン。
直接戦闘が不得意にも関わらず、
お得意の罠で敵を陥れ個人で好成績を収めた。
団体戦ともなれば最高のサポーターと化す。
「・・・俺は柊 直木。武力A-、空手専攻だ」
ひゅ~睨んでる睨んでる。相変わらず僕が嫌いの様だ。
武力B-の落ちこぼれが我が物顔でエリートが揃う
説明会にいる事が気にくわないのは・・・まあ、わかる。
「初めまして!今年武力A-になった清水 重虎っす。
あらゆる乗り物を乗りこなすのが得意っす!」
明るいキャラpart2。去年は騎乗系の競技無かったから見ない顔だ。
あらゆるってのは文字通り軍事兵器すら乗りこなせるのかな。
これでA-以上の自己紹介は終わった。
残りは僕だけ、3人の視線が集まる。
まあ、奏に半ば・・・否。
強引に参加させられたが、参加したからには
自己紹介せねば。
「で、あの人はいつ復学するんだよ」
僕が嫌いな柊は休学中の3年の話題を切り出す。
3年で唯一のA-以上の実力を持ち、そのステータスはA+。
現在は休学中。
「待てよ、香織の自己紹介がまだだろ」
「そもそも何で雑魚がここにいんだよ」
「雑魚はどっちかね~、去年はかおみんのおかげで
勝てたのにさ。そのうえ直木は途中タイア」
高山は他者を~みんと呼ぶ。
呼ぶ人とそうでない人がいるが、基準は謎。
後、僕のおかげで勝てたは言い過ぎ。
「安心院ってあの安心院っすよね。香織は弱いんっすか?」
新メンバーの清水とやらは既に僕が安心院 香織だと
知っているし、自己紹介は不要じゃないか。
「僕の事は置いといて本題に入った方が良いんじゃないか」
「わかった。えーっと、団体戦は武器選争」
「・・・」
全員が固まる。聞き慣れない言葉だが字を読めばなんとなく
予想が付く。
「舞台は森。各地に散らばった武器を拾って戦う。
途中で武器を変えるのは有り。但し武器を持たねば
攻撃も防御もしてはならない。指定外の物でも、
森にあるのなら武器と使用して良い」
「俺の得意分野だ!」
高山は大声で喜ぶ。全く触れた事の無い道具でも自在に操り、
トラップに利用する彼はこの競技に打って付けだろう。
「武器には腕に武装するやつや、乗り物もあるから
直木と重虎も武器が合えば戦えるな」
「頑張るっす!このメンバーで優勝目指すぞー!」
あー、肝心な事をわかってない。
団体戦のメンバーを決める際の条件を。
清水のために代表者の奏が説明する。
「ダメなんだ重虎。団体戦には条件があって」
団体戦。
知力クラスを除き、ステータスに点数を設ける。
A:40 A-:20 B+:10 B:8 B-:6
C+:5 C:4 C-:3
D+:2 D:1 D-以下0点。
点数が100点未満になるようにメンバーを選ぶ。
競技によっては少数精鋭で済む事もあれば、
人数が必要な事もあるから決めるのがなかなかしんどい。
でも結局はAのやつらが優先して選ばれるんだけどね。
「何がダメなんっすか?」
足し算をしろよ。Aが1人とA-が3人じゃ
ちょうど100点でアウトだろうが。
「武器なら何でも罠に使う裕真は決まりで良いとして、
俺や直木と重虎は武器を選ぶだろ」
「なるほど!合う武器がなければやべーって事っすか」
「俺は出るぞ、どんな武器でも問題ない」
柊は出ると言い張るが奏は心配の表情を見せる。
「いくら直木でもいきなり慣れない武器で戦うのは付け焼き刃だろ」
「だからなんだ。俺が負けるって言いたいのか」
「良いじゃん。腕に武装する武器見つければ大丈夫な話なんだし」
「テメェが仕切るな。今年は出番な・・・」
僕の目の前に座っていた柊は姿を消し、代わりに
髪だけでなく拳まで赤く染まった少女がいる。
「へー、人ってあんな綺麗に壁にめり込むんだ」
頭隠して尻隠さずが誰よりも似合う状態となった
柊の事はとりあえず置いといて、怒気を抑えきれてない
赫夜をなんとかせねば。




