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私立英証雌雄学園  作者: 甘味 桃
第3章:梅雨時に始まる行事
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『最終節:気づけば炭酸水が飲めるようになってた。』

驚いた。人はここまで変わる事ができるなんて。


瀬良が改心して爆発魔法をもっと人の役に立たせ、失わないための

方法を探す研究を始めるとは。


ハッキリ言って瀬良には才能が無かった。

爆発魔法は爆竹程度の威力しかないから火薬を使って

威力を増幅しなければならない。


絵を爆発させるのもボクがさりげなくヒントを出さないと習得は不可能だった。

本人もとうに気づいてる、自分の才能の限界に。

その現実を突きつけられる度に爆破行為による八つ当たり。


だから瀬良の手が届く所にボクの魔具を置いて、発表当日

テロ行為を誘発し香織先輩のまだ見ぬ能力を観察する筈が・・・。


「俺知らなかった。この魔法はこんな使い方ができるって」


後夜祭に参加せず、1人寮に帰ろうとしてる瀬良を呼び止め感想を聞いたら、

自分の魔法の新たな可能性と今までの行いがいかに愚かだったかと打ちのめされていた。


歴史的に魔力の家系が知力に劣ってしまえばもう終わり。

できる事はいかに自分の魔法と知力を組み合わせて、

失わないように試行錯誤するぐらいだ。


試行錯誤。工事用に使用していた爆発を

芸術に使える事を知り、瀬良は己の無知を恥じていた。


「時間が無い、これから俺は自分の魔法があらゆる事に

 併用できると証明してみせる」


うつむきながら瀬良は去った。

あーあ。今回の実験は失敗か。


鬼塚さんに香織先輩とシャーロットが密会してる写真を渡して、

修羅場にならないか期待したけどそれも叶わなかったし。


さて、次の実験考えなきゃ。







昼食を済ませ、楓と運動場に向かいながら鬼塚さんの事を話す。


「知りませんでした。鬼塚さんが同じ中学だったなんて」


まあ、中学は10クラスもあったから

知らない人の1人や2人いてもしょうが無いだろ。

しかもずっと世界を見て回ってたらしいし。


「でも流石は兄上です。人に新しい道を導くとは」


「いや、僕は別に・・・」


最悪だ。もう来やがった。

何で魔力全開にしてんだよ、誰かと戦ってんのか?


「あ、兄上。この魔力はあの人の」


「言ってなかったけど、あいつが転校してくる。

 細かい日程は僕も聞いてない」


「どうして言ってくれなかったのですか!」


「だって親睦会に集中して欲しかったから」


「お気遣い感謝します。運動場から魔力を感じるという事は」


「誰かと戦ってるな。まあ、大方予想は付くけど」


「奏さんですね。急ぎましょう」


「だな」


本当は遠くに逃げ出したかった。

あいつと顔を鉢合わせるとろくな事にならん。

運動場では皆決闘場に注目している。

誰が戦っているのかと見てみると案の定、

彼女と奏がバチバチにやり合ってる。


「あ、こっち見た」


「奏さんも気づきましたね」


決闘場の結界を解くと、彼女は獲物を見つけた

チーターの如く駆け寄ってくる。


風に靡く朱色の髪が懐かしい。

ここ最近はブロンドヘアーを見る機会が多いからね。

僕は突進に備えて下半身に力を入れ、準備を万全にする。


「香織様―!!」


その体は僕の身体を包み込むほど巨大。

顔がちょうど胸のあたりに来るから全力でガード。

だが武力B-とB+では単純な力勝負じゃ差が大きすぎるため、

僕はあっけなく抱きつかれる。


赫夜(かくや)、久しぶりだな。」


「お久しゅうございます。お元気そうで何より」


「赫夜さん、兄上が苦しそうなので」


「楓様―!」


楓も抱きつかれるが難なく防ぐ。


「ぼくは兄上の様にはいきませんよ」


さっすが武力A-。圧倒的体格差をモノともしない。


彼女の名前は安心院 赫夜(かくや)

安心院一族正当の分家の人間で僕の・・・じゃなくて。

楓の許嫁。


安心院一族次期党首は分家から嫁をもらう。

僕が3歳、楓が2歳の時には赫夜に会い、次に会ったのは

小学校の入学式。


そして・・・僕が忍の才能を失った事を知った途端、

モンスターペアレントより恐ろしいモンスターとなった。


本家の家に住み込み、僕の1日を徹底管理。

朝は自分で起きれるのに起こしに来る。

食事は僕に箸を持たせず赫夜が口に入れてくる。

修行じゃ服が破けただけで安全確認。

風呂も隅から隅まで洗われ、夜なんか寝るまで側にいるとか

逆に寝れないわ!!


1度でも拒否すると縛り付けて強行されるし苦手なんだよ。

悪気が無いだけ攻められないし。

小学校を卒業すると同時に任務で海外に行って解放されたと思ったが、

帰国したらしくこの前校長から彼女の転校の話を聞いた。


そして今に到る。


「相変わらずの本家愛だな」


「奏も大切な人だよ。一条の方々からもよくお世話になってるし」


「んで、この学園に来たのは父の指示?」


「違いますよ。私の意志です。香織様をお守りするのは

 分家の務めです」


「僕より楓を守ろうな。許嫁なんだし」


「そう・・・ですが、香織様も大切です。

 最初の許嫁ですから」


僕との婚約が破棄された当初、赫夜はそれでも僕と

結婚してくれると言ってくれた。

しかしこの話は一族繁栄の話であり、個人の意見を飲む訳にはいかない。


それを理解した赫夜は、ならば僕も楓も守れるぐらい強くなる事を決め、

一層修行に励むようになった。


「赫夜強くなっててさ、武力はB+まで上がったよな」


「うん。海外で修行しながら任務をこなしてたの」


「マジか。どんどん逆らえなくなってる」


「何をおっしゃいますか。存分に命令してください」


君ね、そう言いながらも昔止めろ言ったのに「香織様のためです」

とか言って強行してただろうが。


「赫夜さん、次はぼくと修行しませんか?」


「是非とも、あと楓様」


「イへヘヘヘ」


「楓様は将来私の旦那様になられる方です。

 ですから敬語は不要です」


160cmの楓の頬を引っ張る180cmの赫夜。

夫婦というより親子だろ。


は~あ。なーんで一族の中で僕と楓だけ背が低いのかね。


「おい聞いたかよ。あの人楓の許嫁らしいぞ」


「名家だと綺麗な人との結婚が確約されてるとか

 本当に羨ましい」


周りの人間がちらほらザワつき始める。

まあ、赫夜はスタイル良く、太陽の下照らされる朱色の髪は美しい。

瞳は髪以上に濃い赫色をしていて、戦闘時は炎の様に強みを増す。


ただ、1つ間違いがある。我が安心院一族は綺麗な人と

結婚が確約されてるのではない。


結婚する相手が綺麗な人だっただけだ。


「香織様、成長した私を見てください」


「了解なり」


楓と赫夜が決闘場に向かおうとしたら校内放送が入る。

内容はあまり気乗りしないモノだった。


「交流会ですか、でも7月後半なのにもう通達が来るんですね」


「メンバー決めとか調整諸々に時間が必要だからな。

 1ヶ月ぐらい前から準備するんだよ」


行事が終わって新たな行事へ。

暇な時期もあれば忙しい次期もある。


今年も夏が始まろうとしている。


・・・まだ全然梅雨だけど。





次章へ続く。



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