『第6節:24時間続けて何かをするとしたら私はジグソーパズルがやりたい』
今回は人形でなくて実在する人物でないといけない。
瀬良は上手く誘えたけど次も上手くいくかな。
「伝統芸研究会」
学園には各研究会専用の施設があり、
研究成果が優れているところは予算も設備も充実している。
伝統芸研究会は学園設立時から存在している、
先人たちの偉業によりいくつもある研究会の中でも上位の施設を有している。
ダンス研究会と迷ったけど、鬼塚さんの絵と組み合わせるなら伝統芸の方が合ってる。
1階はホールかな。
いろんな賞状やらトロフィーにメダルが飾ってある棚がたくさん並んでる。
流石は設立当時からある研究会。
その栄光の数もおそらく随一と言える。
研究員らしき人がいる、聞いてみよ。
「あの~、こちらに舞踏専攻の方はいますか?」
「いるけど、余興の依頼?」
「親睦会の発表のメンバー探しです。
武力クラスの人でお願いしたいのですが」
「わかった、案内するよ」
「ありがとうございます」
地図を見た限り、2棟に分かれているこの施設は
1つは実演練習をするための棟。
1つは資料が収納されている棟。
「学年は?」
「1年です」
「学園生活は慣れたかい」
「研究に没頭してます。
ここは普段はどのように研究してるんですか」
「研究会なんて一括りになってるけど、好きな者同士で
チームを作って自由に研究してるんだ。」
「じゃあ、他の人が何をしてるかは知らないんですね」
「仲が良い奴とは会話してたら話題になるけど、全員の
研究状況を知ってるのは代表ぐらいかな」
「これだけ大きいとまとめるのは大変そうですね」
「君はどこの研究会に所属してるの」
「入ってませんよ。自分の研究で手一杯なもんで」
「もったいない、可愛いんだから所属すれば
彼氏とかできるのに」
「恋人だけが全てじゃないですよ~」
「気になる人もいないの?」
「友達すらいないので気になる人なんて」
「・・・へー」
4階の1番奥の部屋。
端から端までびっしりと部屋が用意されてるなんて凄い。
「ここだよ」
部屋の中から煙草の臭いがするけど、まさか。
「失礼しま~す」
扉をそこは開けると薄暗く、煙が充満した部屋だった。
う・・・やっぱ煙草吸ってる。
中にいるのは3人、全員が煙草を咥えてる。
金髪、赤髪、パンチパーマ。
本当にいるのかな、不良博物館じゃないの。
「先輩。なんか舞踏専攻の人に用があるってこの子が」
「ふ~ん。何で」
真ん中にいる金髪の人が反応する。
仮に引き受けてくれたとしても鬼塚さんが嫌がりそう。
とにかく話だけども聞いてもらわないと。
「はじめまして、魔力クラス1年 夏目 世界です。
親睦会のメンバーに参加してもらいたくて」
「親睦会?あー、今年の公募か」
「お願いできますか?」
「・・・お前次第だね」
「どういう意味ですか」
ボクを案内してくれた人が突然扉を閉め、鍵を掛けた。
これは飛んで火に入る夏の虫パターンかな。
「俺たちを楽しませてくれたら頼みを聞いてやる」
ボクを取り囲み、逃げ道を塞いでくる。
なるほど、絵に描いたような屑だ。
嫌な事を思い出す。
「・・・相手すればいいんですね。わかりました!」
「物わかりが良いじゃねーか。」
文字通り相手してあげますよ。
あんたら全員まとめて。
「タッタラタッタッタッ~♪」
「か、影から槍が。」
「影槍 裏世界。」
「1年が勝てると思ってんのか!」
四方を囲まれ同時に攻撃を仕掛けてくる。
流石は同じチームだけあって連携がしっかり取れている。
1人1人が異なる舞ながらもそれが1つになる美しさ。
屑なりに実力はある。故にもったいない。
「オラオラどうした、防戦一方じゃねーか!」
ちゃんと反撃はしてるよ!
けれどこの人たちはボクの攻撃も演目の1つに加えて受け流される。
おそらく4人揃う事が条件の連携技。
なら、話は早い。
「形影変化 模影。」
「槍の形が変わっ・・・」
他にも方法はあるけど、この技気に入ってるんだもん♪
「どういう事だよ、俺たちが増えてる」
「ちょっと待て、どいつが本物だ」
模影。
相手の姿形を模し、人格、身体能力、文字通り同一人物を作り出す。
誰が本物かわからなければ連携は取れず、下手に攻撃もできない。
だけど、ボクは思う存分攻撃できる。
「さて、ここからはボクの時間」
裏世界は模影に使ってるから他の武器を・・・。
いやいや、せっかくだしこの人たちの対応を観察・・・。
ん~微妙。じゃあ、どうしよう・・・。
「めんどくさ!影縛で縛っちゃお」
秒で先輩方を縛り上げ、直接交渉に入る。
未成年喫煙に暴行、改善すべきところは多いけど、
さっきの動きは一朝一夕では不可能。
「そこの金髪の貴方、実力は合格点です。
親睦会で存分に発揮してください」
「ざけんな離せ!何が親睦会だ」
おやおや、他の方々も騒ぎ出し始めた。
自分たちの立場が理解できてないのかな。
「命と引き換えになら従ってくれますよね」
「はん。確かにお前は強いが言うこと聞かなきゃ
殺すってのか?」
「やってみろよ。いかなる理由でも殺人は重罪。
人殺しはいくら学園長でも許さねーよ」
やはり不良というのは馬鹿なんだ。
殺す以外にも脅迫する術は幾らでもあるのに。
「ダメですか・・・じゃあ、こうするしかありませんね」
最近開発したばかりの魔具生物。
強制させるのにもってこいの性能を持つこいつを使って。
「ジャジャーン!強制イモムシ(適当)」
「まさかだけど、それって寄生虫か何か?」
察しが良いですね、見た目普通の案内人先輩。
いや~どこにでもいる学生って見た目をしときながらも、
中身が屑とは人というのはわからないもんですね。
でもおかげで、心置きなく行使できます。
「この子を飲み込んでもらって、ボクの言う事を
聞いて貰えないと大変な目にあっちゃいますよ」
「死ぬ以上に大変なのか?」
「ですです。いっそ死んだ方が楽なほどに」
「どんなだよ」
「皆さんが寝る度に色んな死を経験する夢を見せます。
まともに寝られず頭がおかしくなっちゃいますね」
「は!?」
わー声揃えてナイスな反応をしてくださる。
睡眠を奪われるなんてとんだ拷問だもんね。
「待てよ、流石に非道すぎるだろ」
・・・は?
「皆さんは今まで多くの生徒を傷つけてますよね。
それで、いざ自分が傷つけられるとなると
非道だなんて反論するのはどういう事ですか」
「お、俺たちは金を巻き上げたり少し女に乱暴した。
けどその代わり、そいつらの頼みは聞いてやってんだ」
「みたいですね、問題児のリストに皆さんの名前は無い。
利害の一致という事で100%悪い訳ではないようだ」
「何でも頼みを聞く、さっきのは本当に悪かった。
だからその虫だけは止めてくれ」
「じゃあ、お言葉に甘えて言う事聞いて貰いますよ」
実行犯、素材、使い捨て駒。材料は揃った。
後は実験が成立するのを祈るのみ。




