『第4節:世のリア充はどうやって出会ったのだろう』
へー、あの3人が組むんだ。香織先輩も良い事言いますな。
誰かを中心にではなく、各々の個性を活かした発表をしそうだね。
「今回の実験は人形じゃ難しいし、 問題児に罪を被ってもらお」
ええと、問題児リストでちょうど良いのは。
瀬良 欄三。
魔力クラス2年。
武力D 知力C+ 魔力C。
元々は爆発魔法の使い手として勢力があった一族。
だが魔力より知力による爆発技術が革新していき、
徐々に廃れていく中、今は工事事業を生業とした中小企業で生計を立てている。
瀬良家三男として生まれた彼は爆発魔法で危険行為を繰り返し、
追い出されるようにこの学園に入学。
しかし入学後も危険な爆発魔法を安全を確保せず行い、
怪我人が出ていないものの学園側も困っている。
「この人を上手く使って実験といきますか」
先ずは実験道具がちゃんと使えるかの確認。
瀬良は現在運動場で元気に研究をしてる模様。
早速行ってみよう!
魔力クラス専用の運動場では、みんな魔方陣を描いては詠唱を唱えたり、
怪しげな材料を鍋で煮込みながら
変な笑いをしてるから普通の人が見たら軽くトラウマになっちゃうね。
「おいお前、いい加減にしろ!
こっちの研究成果が吹き飛ぶだろ」
あらら、お目当ての人は早速揉めてるご様子。
「・・・あ?そうか、お前、死にたいのか。
なら見せて。お前の顔が、吹き飛ぶところを」
むむむ、思ったより短期だな。
短気は損気なのに。
「は、何言ってんだよ。だ、誰か!」
このままじゃ死人が出てしまう、止めねば。
「せーんぱい。ちょっと良いですか?」
「え、だ、誰。俺に用?」
「はい!瀬良先輩の爆発魔法前から凄いと思ってたんです」
「そう、そうなん、だ。へへ、へへへ可愛い」
根暗。きっと抱え込みやすい正確をしてる、だから物を爆発させて
溜まったモノを発散させてるのかな。
「もしかして、お話中でした?」
「いいよこんな奴。それより、き、君と話したい」
「先輩はそれで良いですか?」
「良いけど、君が心配だよ。彼は危険人物だ」
「なんだと!!」
「落ち着いてください。さ、向こうで話を聞かせてください」
「そうだね、行こう」
うわ~肩に手回してきた。きっと女子ともまともに話した事無い人生だったんだ。
「な、何を聞きたいの?」
「瀬良先輩はご自身の魔法をどのように使ってるんですか?」
「主には破壊。ストレスが溜まったら適当な物を
爆破させると、た、楽しい」
悪質且つ陰湿。まあ、実力無い魔力系の人なんて基本陰で
コソコソしてる人ばっかだししょうがないか。
例外もあるけど。
「もっと素敵な事に使いましょうよ」
「使ってるよ。ストレスを発散するなんて充実した使い方だ」
自己中心的。周りが見えてなくて考え方が偏ってる。
「他にもありますよ。例えば、花火を作るとか」
「嫌だよ、花火なんて雄と雌を発情させる起爆剤だ」
「そ、そうですかね」
「でもどうしてそんな事言うの?」
「公募行事が親睦会に決まったのはご存じですよね」
「一応ね、俺には関係無いけど」
「ありますよ!瀬良先輩の爆発魔法を使えば優勝間違いなしです」
「優勝・・・。別に外出権なんて興味ないし、参加したくない」
「もし優勝できたら女の子にモテモテになる・・・。
と、言っても興味沸きません?」
「ほ、本当!?どうしてさ」
「勿論、それを説明するにはある人の協力が不可欠です」
「ある人?」
ボクは瀬良先輩を彼女元へ連れて行く。
その人は事情を抱えていて親睦会で結果を出さなければならない。
しかし、彼女の力と瀬良先輩の魔法を組み合わせれば良い作品が生まれる。
中央広場にその人を呼び出しお互いを紹介する。
「こちら魔力クラス2年、瀬良 欄三先輩。
爆発魔法が得意なんだ」
「はは、じ・・・」
「こちらは知力クラス1年、鬼塚 遙さん。
絵師さんです」
「はじめまして・・・ところで貴方は?」
「ボクは1年の夏目 世界。しがない魔法使い」
「しがない魔法使いさんがどうして私が絵師だと知ってるの」
「普段は漫画とか読まないけど偶然ネットで
心に響いた絵を見つけてね」
「魔力クラスのくせにネットなんて見るのかよ。
あんなの俺たち神秘の領域に達しない下等生物の醜い産物だ」
「今時普通ですよ。必ずしも神秘が文明を凌駕する
訳ではありませんし、逆もまた然りです」
「あのさ、要件を速く教えて。私は忙しいの」
「もっとコミュ障のイメージだったけど普通に話せるんだ」
「お、女の子なら大丈夫」
「美女2人。両手に花」
瀬良先輩が妄想に入る前にさっさと本題に入らないと。
「鬼塚さんには瀬良先輩と組んで親睦会に参加して欲しいの」
「この人と?」
「俺と組むって、つまり好き、好きにして良い」
「はいはい、話は最後まで聞いてください。ボクの目的はこうです」
実際に調べて鬼塚の絵は綺麗。風景の表現や人物の表情がきめ細かい。
青春を、友情を、季節を、故郷を感じさせ様々な感情がこみ上げてくる。
彼女が描いた絵と瀬良先輩の爆発魔法を融合させる。
派手に美しく花火のように散らせる事ができれば知力と魔力の結晶が生まれる。
「・・・というのを考えてまして」
「私の絵をそんな幻想的に表現できたら確かに優勝できるかも。
やってみたい!」
「・・・お、俺は嫌だ」
「瀬良先輩、もしかして実家みたいに知力と魔力が
一緒になるのが嫌なんですか?」
「そうだ。お、俺の祖先はカス同然、それ以下と言っても良い。
自分たちの魔法を成長させる事ができず文明に頼った」
「事実ですね。世の中にはそうやって失われた魔法は
少なくありません」
「俺が知力に逃げる前に生まれていれば、
この魔法だけで食っていけるようにできた」
もしかしたらそうかもしれない。しかし、その仮定は無意味。
既に瀬良一族は知力と共にある事を選んだ。
だから魔法使いとしての道は絶たれてしまってる。
今更瀬良先輩がどうこう言っても変える事のできない事実。
だから、これからやれる事は自分の祖先が生みだした魔法を失わせない様に努める。
それしかない。
「では聞きます。瀬良先輩が女の子からモテモテになれる。
それでも今と同じ事を言えますか?」
「ほ、保証が無い。実際に優勝できたとしても
喝采を浴びるのはそいつだけ」
「保証はありません。でも根拠はあります」
「言ってみろ」
「鬼塚さんの素晴らしい絵を花火するのは瀬良先輩です。
瀬良先輩だけなんです」
「・・・他にも爆発魔法使える奴はいるぞ」
「はい、ですが絵を花火にできる人はいません」
「あ!?」
ぶっちゃけ実力ある人はやらないだけなんだけどね。
そもそもいつの時代も魔力系の人に対する偏見は強い。
優秀な魔力を持っていても、知力系武力系の人たちから
数による弾圧を受けてきた。
出る杭は打たれる。
そんな事から自身に魔法を世に発信する人は少ないし、
安心院みたいに世間から認められている例は極めて稀。
「世の中の絵師さんは瀬良先輩に依頼してきます。
今は美人の絵師さんも多いですし」
「俺にすがりつく女がわんさかと現れる」
さっきから言い回しが気持ち悪い。
ここまで拗らせられるのは一周回って凄い。
「わかった。協力してやる」
「ありがとうございます」
「あと1人の武力クラスの人はどうするの」
「花火の中で舞う役を担当してもらう。
ボクが探しておくよ」
材料はあと1つ。
実行犯、素材、あとは・・・。




