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バースたちの恋愛日記  作者: 三月 璃夢
第一章 運命はネットの中に
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2-2 ゆずさん

パラパラと英語の参考書をめくる。

ああ、面白くない。

英語なんてなくて生きてけるだろ、ここ日本だし。

隣の席……前回とは違う女の子だ。

ネックレスからしてΩだろうか。

確かに瞳もローズレッドで髪は明るい茶色だ。

Ω然とした彼女は横の別の女子と話している。

その人は黒髪黒眼で烏のように黒々としていて見惚れそうだ。

仲よさそうなとこから2人は番なのだろうか。

首を愛おしげに触り、Ωの子も満更じゃなさそうに見える。

確か、ネックレスにはICタグが入っていていつでも位置が確認できるらしい。

監視されて嬉しいのかな?

私には理解できない。

ケータイから着信音が鳴った。

通知を確認するとゆずさんからのラインだった。

ファンクラブでライン交換会をしたのだ。

それによると彼の名前は「夜空」らしい。

綺麗な名前だ。

黒髪の彼によく似合う。

そして率直に言おう。

私は彼のことが気になって仕方ない。

α同士で番になれないから結婚はできないし世間の目が気になる。

もし、彼がΩで会えたならその直後に番にしてしまいたい。

それほど彼が欲しい。

その美しいアメシストの輝きを独占したい。

少し高めの声で「陸人さん」って呼んでもらえたらそれ以上嬉しいことはない。

我ながら少し引いている。

好きすぎるだろ、相手はαのしかも同性って……勝ち目ない。

ため息が漏れた。

ちなみに連絡の内容は「配信するので来てくださいね!」だった。

可愛いやつ……わざわざ教えてくれるなんて気にかけられるとか自惚れそうだ。

「わかりました、行きますね。 告知ありがとうございます」

簡潔に返した。

悟られないために。

このことを隠さないと。

心に決めた。

α同士なんて叶うわけないんだから。

誰がいいかな。

教室を見回すとΩの匂いが鼻をかすめた。

目を向けると柔らかそうな銀髪と深い一対のエメラルドを持つ男の子がいた。

可愛いけどゆずさんには及ばない。

ずいぶんと色素が薄いんだな。

月並みの感想を抱いきながら教室を後にする。

家に着きスマホを開くとちょうどゆずさんの配信が始まっていた。

「こんにちはー」

コメントを打つ。

明るい声で返事が来る。

このやりとりが永遠に続きますように。

神さまなんて信じてないけど小さな願いを叶えてください

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