3-2 シアワセの翼
家に着くいつも通り二人が居た。
「遅かったわね、夕ご飯できてるわよ」
笑う母親に恐怖を覚え出したのいつ頃だろうか。
「盛り上がっちゃって。 ありがとう」
僕も笑みを浮かべ返すと食卓に着いた。
繕った表情をするたびに穴ぼこだらけの心臓に隙間風が吹き込む。
暖かい室内なのにココロが寒くて仕方なかった。
今日は肉じゃがのようだ。
僕がここにいるのは「ご飯が美味しい」という理由だけと言っても過言じゃない。
そっかと言う母親が不思議そうにこちら側を見た。
「何かいいことあったの?」
まあね、と興味なさげに返事をする。
この人たちのことだ、こんな変化気づかないだろう。
夕飯を食べ終わり、部屋着に着替える。
寒いのと首を見えづらくするためにパーカーのフードを被った。
LIMEを立ち上げると陸人さんからメッセージが届いている。
明日は休みだし少しだけ夜更かしをしよう。
彼とのやり取りは楽しかった。
通話繋いでおしゃべりをすれば愛を囁かれて身体がじんわりと熱を持つ。
少しミュートにされるだけで言い表せない程の寂しさが胸に広がった。
「おやすみなさい、愛してるよ」
「おやすみなさい、いい夢を」
きっと彼も笑顔なのだろう。
心が過去最高にぽかぽかしている。
今夜はよく眠れそうだ。
目を覚ます。
今度は見慣れた寝室だ。
時計を見れば午前5時半を少し巻き戻した辺り。
即、彼とのLIMEをチェックする。
顔のにやけが止まらない。
本当に付き合えてるんだ、番同士なんだと首の跡を指でなぞりながら確認した。
現在の彼から通知が来る。
「おはよう、夢じゃないんだね。 少し不安だった」
「もちろん! 僕もしっかり確認しましたよ」
この瞬間から生まれ変わった。
背中に羽が生えたみたいに身体が軽くて、幸せのエネルギーでどこまでも舞い上がりそうな体質に