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第五章:霊・即・吊

霊ロラ教においては、非確定霊能者とは何よりも先に処刑するべき対象となる。

純灰よりも先、黒判定を受けた者よりも先に、である。この章では、それは何故かを説明していこう。


大前提として、処刑回数は限られているという点がある。

狩人の護衛成功が重なるという幸運を除けば、標準編成(ダミー込み16人)における処刑回数は最大7回となる。

さて、ここで考えてみよう。占2霊2、いわゆる2-2の場合、灰を処刑できるのは何回だろうか。

占い師を決め打つか占い師が襲撃されるかという展開の場合、能力者で三回使用されるのが通常であろうから、灰に使用できる処刑回数は4である。

この前提において、2-2の場合は、灰11人に対する4回の処刑で2匹の人狼を処刑する必要が生じてくる。


さて、この2-2での2日目を想定してほしい。

占い師2人が別々の対象を白としてCOしている。

その暫定白を処刑対象から外すとしても、灰は9人。

この9人から、狼を当てられる可能性は単純計算で2/9。暫定白が狼なら、1/9でさえある。

4回しかない灰処刑枠を、2/9の段階で使用することの是非を考えてみてほしい。

なるほど、よほど狼と信じられるのならば、灰に処刑手数を使用するのもいいだろう。

が、僅か1日程度の情報量で狼を見抜けるほどの熟練者は、そう多くない。

本稿をご覧の諸兄のなかで、初日に灰から人狼を吊れる自信のある方はどれだけいるだろうか?


さて、ここで重要なのは、人狼を殺すには処刑を以ってするしかないという点だ。

処刑回数というのは、それほどに貴重なものであり、漫然となんとなくで灰に使用していいものではないということをご理解いただきたい。


では、いまいちど諸兄に訊ねたい。

4日目に灰狼を吊れる自信のある方はどれだけいるだろうか?


おそらく、初日よりは増えているのではないかと思う。


初手霊ロラという戦術の目的は、まさにそれである。


すなわち、2日間を霊ロラに費やすことによる情報量の増加。および、それによる、灰処刑の精度向上である。

灰に使用できる処刑回数が同じならば、精度が高いほうが人狼を捉えられる可能性が上がるのは道理だろう。


まず、たとえば統一占を採用した場合、純粋に灰という母数が減るために処刑精度(灰処刑での狼的中率)が上がる。

2日間のどちらも判定が割れた場合はともかくだが、その場合はまた、それはそれで情報量が増えることは言うまでもない。


無論、占結果以外にも情報は多い。

その最たるものが、襲撃先だろう。

占い師が襲撃される場合もあるが、でなければ、2-2ならば灰が襲撃されるケースも多い。

そして灰襲撃は、灰処刑の母数を減らすので、狼を処刑する可能性が純粋に上がっていくのである。


では占い師襲撃の場合はどうかといえば、こちらも同様である。

占い師が襲撃された場合、多くは、その対抗占い師を処刑することになる。

これが何を意味するかといえば、人狼が襲撃すべきところは灰だけになるということだ。

ゆえに、これも灰襲撃により、灰の母数を減らす=灰処刑時の精度向上に繋がるものである。


無論、占結果と襲撃先以外にも情報は増加する。言動などがそうだ。

或いは、占結果と襲撃先次第では、無駄な処刑を避けられるという可能性さえある。


それがたとえば、パンダ判定(異なる占い師から白と黒の異なる判定を受けること)の灰よりも先に霊能者を処刑する場合である。

初日にパンダ判定が生じるケースの大半は、狂人が騙る占い師が、人狼に自分の居場所を伝えんとして宣言する黒判定である。

そして、多くの村側は、とりあえず黒判定ということで無辜の村人を殺し、そして真占い師が襲撃されて途方にくれる道を辿るのである。


これが幾度となく繰り返されてきた、愚劣極まるパターンである。

これまで、その悲劇を回避するのは、狩人の力量如何にかかっていた。

が、それではダメなのだ。

個人の力量――推理力、考察力、説得力――に依存する戦い方では、コンスタントな勝率は得られない。

ここで求めるべきは、平均的な勝率。どこの誰が何の役職であっても、平均的に勝てる戦術ということになる。


考察派の諸兄に訊ねたい。

初回占で黒判定が出たからといって、それを吊って判定をみるという。

それの一体どこが推理なのか、考察なのか。ただの思考停止ではないのだろうか。

吊ったあとの霊判定がある保証がどこにある?

あるいは、吊ったあと、真とされる占い師が生きている保証がどこにある?


そんなものは、どこにもないのである。


が、霊ロラは違う。

初手から霊ロラをすることでの、本質的な意味での無駄手は存在しない。

何故なら、ローラーという戦術それ自体が、一定の損を見込んだ上で確実に狼側を減らすというものであるからだ。

そして、霊ロラ後の灰処刑は、霊ロラ前の灰処刑よりも、人狼を処刑する率が高い。

その事実は、単純であるがゆえに、初手霊ロラの動かせない利点として残るのだ。


極端だが珍しくもない例をあげよう。

初手、パンダ判定。村はパンダを処刑する。翌日、白判定占い師が襲撃されている。

この場合、パンダ処刑はまったくの無駄手であることは、言うまでもないことだ。

狂人の黒判定特攻を信じて無辜の村人を殺し、挙句、真占い師まで亡くしている。最悪の滑り出しといってもいい。

が、初手をパンダに先んじて霊ロラするならば、このような愚行は回避できる。

白判定占い師が襲撃された時点で、パンダ判定先の処刑優先度は大いに落ちるからだ。

あるいは以降も疑いが残るとしても、パンダ判定=思考停止で処刑するよりは、精度が上がるだろうことは間違いない。


すなわち、初手即霊ロラの2日間で何が得られるか?

そう訊ねられれば、自信を持って答えよう。得られるものは、真実と勝利だと。

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