PM5:30 おばあちゃんの家
「……名前……って……」
それ……って……
ふふっとおばあちゃんが笑う。
「……男の子と女の子ね。産着は私が縫ってあげるから」
え……
え……
「ええええええええええええっ!!」
思わず大声で叫んだ。
「あ、あの、おばあちゃ……っ」
私ははっと気がついた。
(さ、最近身体がだるいの……って……)
……あの満月の夜。ムーン・スター・ローズの前で……あの日、から……?
「赤ちゃん!?」
そう言うのと同時に、大きな手が身体にまわされた。
ぎゅうううっと和也さんに抱きしめられた。
「楓……っ!」
「か、和也さんっ!?」
和也さんが、私を抱きあげてくるくる回った。
「楓っ……」
身体をそっと下ろされて、またぎゅっと抱きしめられた。
「和也……さん」
「……俺に……」
ぽつり、と和也さんが言った。少し声が震えてる……?
「家族が……増えるんだな……」
……あ。
和也さんも……小さい頃に両親と……。
「……お前と……俺で……」
「……」
「俺達の両親が……できなかった分も」
「……」
「……愛してやるんだ」
和也さん……。
私も、和也さんをぎゅっと抱きしめた。
がばっと和也さんが身体を離した。
「で、楓っ! どこも体調悪いところはないのかっ!?」
「う、うん……」
「すみません、何か羽織るものを……」
和也さんがおばあちゃんに頼んだ。
「はいはい」
おばあちゃんが隣の部屋に行った。
「あ、あの……」
「旅行、切り上げて帰るぞ。帰ったら、すぐに病院行って……」
空港から病院に直行しそうな勢い……。
「あーっ、でもこっちで病院行った方がいいのかっ……!?」
し、真剣に悩んでる……。
「和也さん……」
おばあちゃんが、暖かそうな毛布を持って来てくれた。ばふっと和也さんに毛布でくるまれた。
「とにかく、身体冷やすな。じっとしてろ」
「そ、そんな病人扱いしなく……ても」
じろり、と睨まれて、続きの言葉が出なくなった。
「しかも、双子、なんだろ? 安静にしないとっ……」
堪え切れなくなったように、おばあちゃんが吹き出した。
「まだ、本当に初期の初期、よ? 今は双子だからって特別扱いしなくても大丈夫」
「は……あ……」
そう言いながらも、和也さんの瞳から心配の色が消えない。
「おばあちゃんが大丈夫って言ったら、大丈夫よ? だって、おばあちゃんの未来予知はよく当たるもの」
お腹に右手をあてる。まだ、鼓動は判らなくても、気配、を感じる。
小さくて、新しい、きらきら輝く命。
……そう、満月に煌めく、ムーン・スター・ローズのように。
まだ、うろうろしながら、ぶつぶつ言ってる和也さんを見て、思わずくすっと笑った。心配性ね、あなたたちのお父さんは。
……そう、お腹の子どもたちに話しかけた。




