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Fly*Flying*MoonLight  作者: あかし瑞穂
MoonLight*Short*Story
62/88

和也SideのStory~魔女と出会った夜1

 ……いつも逃げるように隠れていた、ヨットの中。


 あの場所にいたくなくて。どこかに行きたくて。


 ……その日も、いつもと同じはずだった。


***


 眠っていた俺は、激しい揺れに目を覚ました。いつの間にか、ヨットは沖合いに流されていた。

 嵐のような風に……ヨットは転覆し、俺は海に投げ出された。船底にしがみついたけれど……力尽きて、海に呑みこまれた時


 ――誰かが、俺の身体を引っ張り上げた。


『大丈夫!?』

 ……聞いた事のない、女性の声。咳き込む俺の身体を、ぎゅっと抱きしめる柔らかい腕。


 顔を上げると――そこには


 長い黒髪を風になびかせて……心配そうに俺を覗きこむ、魔女の姿、があった。


***


「……夢か」

 ふう、とため息をつき、俺はベッドから身を起こした。この暗さだと、まだ夜明け前だろう。

(どちらにせよ、ぐっすりとは眠れないしな……)


 俺は、首元の鎖を引き出した。……鎖の先についている、メダルを握り締める。


『大事に持っていて。……きっと、また、会えるから』


 その言葉を信じて……ずっと待っている。目の前で消えた『彼女』、を。

(もう二十年以上前になるのか……)

 誰に言っても、笑われるのだろうな。新進気鋭のやり手社長と持ちあげられている俺が……幼い頃の約束を、忘れられずにいるなんて。


 でも……きっと。


 これからも、俺は、待ち続けるのだろう。


 あの時の約束が――果たされる、その時まで。

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