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74.逃走開始:禁断の書庫からの離脱

「回収完了だ!脱出するぞ!」

トリトスは宙に浮かべたままの『星渡の古書』を、自身の魔力の結界で厳重に包み込み、そのまま抱え込んだ。

その本は、トリトスの高位な魔力をもってしても、触れているだけで精神に干渉してくるような、不吉な重さを持っていた。

イーグルは、ワイヤーガンで壁に拘束された魔術師を一瞥した。

「チッ、生かしておくのは寝覚めが悪いが、手間が増えるのは御免だ。」

イーグルは魔術師から奪った古びた鍵を、鉄扉の鍵穴に深く差し込んだ。

ガシャン!

鍵を回すと同時に、認証パネルの青い光が消え、扉のロック機構が再び作動する重厚な音が響いた。

これで、扉は内側から完全に施錠された。

「よし、施錠完了。トウキ、行くぞ!」

イーグルはライフルを携行しやすいようにコートの下に収め、清掃員ワゴンを蹴り飛ばして通路へと走り出した。

トリトスは魔力を解放した姿のまま、宙に本を浮かせながらイーグルの後を追う。

彼の身体から発せられる紫色の魔力が、図書館の抑制的な結界に常に抵抗し、警報が鳴らないギリギリのラインでバランスを取っていた。

「油断するな、イーグル。扉のロックが作動したことで、奴らがすぐに異変に気づくだろう。この廊下全体に、今、魔力の渦が発生し始めている!」

「知るか!俺の役目は本を運び出すことだ!」

二人が清掃員控室があった地下1階のエレベーターホールにたどり着いたとき、通路の奥から複数の足音が聞こえてきた。

タッタッタッ……!

「見つけたぞ!侵入者だ!魔術師の姿をしている!」

どうやら、ローブの魔術師の仲間たちが、異変に気づいて駆けつけてきたらしい。

イーグルは咄嗟にエレベーターのボタンを叩いた。しかし、扉が開く前に、通路の角から三人組のローブの魔術師が姿を現した。

彼らの手には、発光する杖が握られていた。

「そこを動くな、魔族め!その本を渡せ!」

魔術師の一人が杖を振り上げ、トリトスに向かって光のくさびを放った。

ヒュン!

トリトスは本を抱え直しながら、その一撃を最小限の魔力障壁で受け止めた。

「イーグル!我はここで奴らを足止めする!貴様は先に脱出し、転送ゲートまで急げ!本を組織に届けるのが最優先だ!」

「冗談じゃねぇ!一人でこんな面倒な連中と戦えってか!」

「貴様の鉛玉は奴らには効きが悪い!早く行け!我もすぐに追いつく!」

トリトスはそう叫ぶと、手に持っていた監視欺瞞デバイスを、エレベーターの制御盤に叩きつけた。

デバイスはショートし、エレベーターは上階へ向かって緊急上昇を始めた。

「チッ!」

イーグルは迷うことなく、開いたエレベーターに飛び乗った。

彼の視線は、背後で魔術師たちと対峙するトリトスの紫色の姿に釘付けになった。

「必ず後から追いつけよ、トウキ!」

エレベーターの扉が閉まり、イーグルは一人、図書館の最上階を目指して上昇した。

彼の耳には、トリトスの魔力炸裂音と、魔術師たちの叫び声が、微かに響いていた。

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