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67.グレイパレスへの進路

イーグルの返答を受けたアリエルが、組織との交渉を終えて電話を置いた。

「よし。組織は『バーボン10年分のツケ』も承諾したぞ。連中はよほど急いでいるらしい。」

アリエルは磨き終えたグラスを棚に戻しながら、二人に視線を向けた。

「グレイパレスはここブラックボックスとは違い、夜霧と法の街だ。警察機構が厳しくシステムによって監視されている。トリトス、お前は慎重に行動しろ。」

トリトスは人間の姿のまま、深く頷いた。

「心得た。図書館という場所は、知識と魔術の集積所だ。警戒するに越したことはない。」

アリエルはカウンターの下から、分厚い地図と、小さな手のひらサイズのデバイスを取り出した。

「移動手段は決まった。組織が転送ゲート

(アーク・ゲート)を手配した。これを使えば、グレイパレス郊外の廃墟に一瞬で移動できる。」

イーグルは顔をしかめた。

「転送ゲートか。派手で大袈裟な真似をしやがる。トラブルの元だ。」

「文句を言うな、イーグル。移動費はタダだ。

それに、お前の武装車両ストリート・ローバーでは、国境の検問で手間がかかりすぎる。転送は今から30分後。組織のゲート担当者が外で待っている。」

アリエルは地図をイーグルに渡し、トリトスにはデバイスを手渡した。

「トリトス、このデバイスはグレイパレスの監視システムを一時的に欺くためのものだ。

それと、イーグル。お前の清掃員のユニフォームと偽造IDも既に用意してある。地下のバックヤードで着替えろ。」

「清掃員、ね……。まさか、俺が雑巾を絞る日が来るとはな。」

イーグルはそう悪態をつきながらも、地図と偽造IDを受け取り、ルビーの裏金で豪遊するはずだったバッグを担いでバックヤードへと向かった。

トリトスはデバイスを掌で温めた。

「アリエルよ、あの本は一体、何だ?」

アリエルは再びグラスを手に取り、磨き始めた。静かなJAZZが店内に響く。

「さあな。組織の連中は、『古き神の知識』だと言っていた。だが、本を開けば、世界が終わる可能性もあるらしい。」

アリエルはそう言って、深くため息をついた。

「もし、万が一にも本が開かれ、世界が終わりそうになったら、お前がそれを止めるんだ、トリトス。 それが、俺からの裏のツケだ。」

トリトスはアリエルの言葉に一瞬目を細め、静かに答えた。

「よかろう。魔王の血を持つ我にとって、世界が安寧であることが、何よりも重要な『ツケ』だ。」

トリトスはバックヤードへと向かい、イーグルの後を追った。

BAR『プラチナ』の扉が開き、イーグルとトリトスは夜が明ける前の冷たいスラムの空気に踏み出した。彼らの目的地、グレイパレスの図書館までは、わずか一瞬の距離だった。

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