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40.劇薬の調合:製薬会社で即日解雇

イーグルは、ダレスを処分したトリトスの行動に頭を抱えつつも、彼のスキルセットから最も危険性の低い(と信じた)次の転職先を見つけました。

「いいか、トリトス。今回は『製薬会社シルバーウェル』だ。

お前の『錬金術』と『魔法薬の調合』を、新薬開発の研究員として売り込んだ。

頼むから、今回は人間を分解するような『分別』はするなよ!」

トリトスは「了解した。今回は毒を撒く側、ではなく、薬を創る側だと心得ている」

と角を揺らして答えました。

トリトスは「シルバーウェル」社の非公開研究部門に採用された。

彼は与えられた課題、「人間の疲労を瞬時に回復させる新素材の開発」に驚異的なスピードで着手した。

トリトスの異世界の知識と錬金術は、この世界の科学者が何十年もかけても到達できない領域だった。彼は古代文字で書かれた自身の文献を基に、瞬く間に試作品を完成させた。

「できたぞ。これこそが、配下(従業員)の士気を一瞬で最大化させる、究極の『活力の秘薬』だ!」

トリトスは試作品の小瓶を軽く振る。

液体は七色に輝き、僅かに硫黄のような香りが漂っていた。

その直後、研究室の責任者である博士が、トリトスの研究成果を検査するためにやって来た。

「ほう、これが君の作ったサンプルか。素晴らしい輝きだ。では、私がまず毒性検査を...」

トリトスは自ら一気にそれを飲み干した。

「問題ない!我の体内に、至高のエネルギーが満ち溢れていく! これで三日三晩、寝ずに仕事ができるぞ!」

トリトスの体からは紫色のオーラが立ち上り、目が緑色に激しく光った。

博士は目を丸くし、おそるおそるその小瓶に指を浸し、ほんの少量だけ舌に乗せました。

ブワッ!

……バタッ!

博士の顔面は瞬間的に青ざめ、口から泡を吹き出し、その場に倒れ込みました。

トリトスは、床で痙攣している博士を覗き込み、首を傾げました。

「む? 効きすぎたか。これでは『活力の秘薬』というより、『即死の劇薬』だな。

魔王の肉体には適量なのだが…」

製薬会社は、「人体の耐久性を完全に無視した、あまりにも高純度の劇物」を開発したとして、トリトスを即刻解雇。

研究成果は極秘裏に封印されました。

その夜、BARプラチナ。

「…クビか」

イーグルは、テーブルに並べられた七色の液体の小瓶の山を見つめながら、深いため息をつきました。

「イーグルよ、我が作った薬は最高の効果を発揮した。彼らの耐久度が低かったのが問題だ」

「問題だろが! お前の薬は、この世界の人間を一瞬で過労死させるレベルの劇物だ!

ホワイトな職場って言ったろ! 人の命を救う薬を作る会社で、毒を作ってどうすんだ!」

トリトスは、まるで自分が被害者であるかのように主張しました。

「しかし、我は『疲労を回復させる』という目的に忠実だった。結果は出ている」

「結果じゃねぇ、効きすぎなんだよ!

もうわかった。お前のスキルは、人間相手にはパワーが強すぎる。

次はもっとフィジカルじゃない、精神的なスキルを活かすホワイトな職場だ」

イーグルは、トリトスの履歴書に書かれた最後のスキルを見つめ、新しい戦略を練り始めました。

「よし、次は『交渉術』だ。これなら、少なくとも死人は出ないだろ…多分な」

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