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28.決戦前夜

アリエルはBARの奥にある隠し扉を開けた。

その先は、彼の過去の顔を知る者だけが入ることを許された、秘密の訓練室だ。壁には様々な種類の銃器が整然と並び、中央にはサンドバッグが吊るされている。

彼は、その中から愛用していた拳銃「ナイトフォーク」を取り出した。ずっしりと重いその感触は、アリエルの心を落ち着かせた。

「久しぶりだな、相棒」

彼はそう呟くと、銃を構え鏡に映る自分自身を見つめた。

かつての彼は、ただの殺し屋だった。冷酷で、感情を持たず、ただ命令に従って標的を始末する。

だが、今は違う。彼の瞳の奥には、ミアの笑顔を守るという、揺るぎない決意の光が宿っていた。

訓練室で、アリエルは黙々と身体を動かし始めた。反射的な動き、精密な射撃、そして、格闘技の技。どれも、長年のブランクを感じさせない、研ぎ澄まされた動きだった。

その日の夜、アリエルは一睡もせずに過ごした。彼の心は、明日訪れるであろう戦いに向けて、静かに燃え盛っていた。

夜が明け、ブラックボックスの街が動き出す頃、アリエルはすでにゼウス・ミルストンの邸宅の前にいた。ローズがハッキングした情報によれば、ミルストンは毎朝、護衛をつけずに邸宅の中庭で体操をするという。それは、ミルストンが唯一、無防備になる時間だった。

アリエルは邸宅の裏手に回り、壁をよじ登る。彼の動きは、まるで影のように静かで、素早かった。庭園に忍び込むと、そこには案の定、一人で体操をするミルストンの姿があった。

「ゼウス・ミルストン、俺の顔に心当たりはないか?」

アリエルの声に、ミルストンはゆっくりと振り返った。その顔には、驚きや恐怖は一切なく、ただ冷たい嘲笑が浮かんでいた。

「……何の用だね?」

ミルストンの言葉に、アリエルの胸に怒りがこみ上げる。

「……、テメェの胸に聞いてみな。」

アリエルはそう言うと、拳銃をミルストンに向けた。だが、ミルストンは全く動じない。

「ふむ…、私を殺したところで何の解決にもならない。私の組織は、君の想像をはるかに超える規模だ。君は、ただの蟻に過ぎない」

ミルストンの言葉に、アリエルは何も言えなかった。しかし、その時、アリエルの背後から、複数の銃口が向けられていることに気づいた。ミルストンは、アリエルの動きを全て見抜いていたのだ。

「残念だったな、君の行動は、すべてお見通しだった」

ミルストンの言葉に、アリエルは静かに銃を下ろした。だが、彼の瞳には、諦めの色はなかった。

「……そうか。だが、俺は、お前を捕まえに来たんじゃない。お前が隠し持っている、この街の闇を暴きに来たんだ」

アリエルはそう言うと、手にした銃を床に叩きつけた。その衝撃で、拳銃から煙が立ち上る。それは、アリエルが事前に仕込んでおいた、煙幕弾だった。

あたりが白い煙に包まれる中、アリエルの姿は、ミルストンの視界から一瞬にして消えた。

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