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258. 【飢えた狩人と三つの選択肢】

イーグルは、項に押し当てられた短剣の冷たさを無視し、悠然とハットの鍔を直した。その瞳は、眼前のパープルラビットマンを真っ向から射抜いている。

「……お前たちが生き残る道は三つだ」

イーグルの低い声が、静まり返った集落に響く。痩せこけたラビットマンたちの長い耳が、一斉に彼の方を向いた。

「1. この地を捨て、三部族合同で他の地へ移住する。……もっとも、外の世界が温かく迎えてくれる保証はないがな。

 2. 毒霧をなんとかして、農作物が育つ環境に変える。……『赤き輝石』を何とかしなきゃならんがな。

 3. 何かを対価として外部から収入を得て、食料を買い付ける。……あんたらには、そのための『技術』があるはずだ」

イーグルは、バックパックに忍ばせた彼ら独自のクロスボウを指差した。

「さて、どうする? 俺と争ってもお前たちの腹は膨らまない。言葉が通じるなら、武ではなく『知』で示せ。それがプロの清算のやり方だ」

沈黙が流れる。背後の黒いラビットマンたちの殺気が、困惑へと変わるのが手に取るように分かった。

パープルラビットマンは細い指先で自らの顎を撫で、やがて自嘲気味に口角を上げた。

「……面白い。人族。お前の言うことは理に適っている。だが、我らには『3』を選ぶための繋がりもなく、『2』を成し遂げるための力も足りない。封印の深層には、輝石の狂気に当てられたかつての同胞たちが巣食っているのだ」

彼は一歩踏み出し、イーグルの胸元を凝視した。

「……お前がその『2』と『3』を繋ぐ架け橋になるというのなら、我らラビットマンの誇りにかけて、最下層の封印の間まで、影となって道を切り拓こう。……ただし、失敗すれば、お前の肉すらも我らの糧となる。その覚悟はあるか?」

イーグルは不敵に笑い、コートの内ポケットからバーボンのスキットルを取り出した。

「……いいぜ。俺の戦友アリエルは、この世のあらゆる『価値』を清算するのが専門でね。……案内を頼むぜ、紫の狩人」

不沈の獅子ダイン、そして影を操るパープルラビットマン。

かつて争い、奪い合っていた異種の強者たちが、一人の「人族の仕事人」の言葉によって、呪われた最下層へと足並みを揃え始めた。



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