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256.【鉄の洗礼と牙の報復】

「始めろ!」

グラティカルの咆哮が、決闘の火蓋を切った。

2.5メートルの巨躯を持つダインが、爆風を伴う踏み込みで肉薄する。だが、その直前。ダインは足元に転がしていた「ショートソード」と「小さな丸盾」を、イーグルの足元へ無造作に放り投げた。

「人族よ、これを使え。我ら戦士の誇りに免じて、丸腰の者を叩く無礼は犯さん」

ダインの余裕は、圧倒的な実力の裏返しだ。イーグルはハットの鍔を指で弾き、地面に突き刺さった短剣を左手で、丸盾を右腕に素早く装着した。

(……剣と盾か。プロの仕事道具にしちゃあ、随分と古風だが……使い道はあるぜ)

ドォォォン!

ダインの巨大な拳が、イーグルの頭上から振り下ろされる。イーグルは丸盾を斜めに傾け、衝撃を「受ける」のではなく「逃がす」ように受け流した。金属音が響き、火花が散る。体格差を物理法則で補う、無駄のない防御だ。

「……避けてばかりか!」

ダインが追撃の回し蹴りを放つ。イーグルはそれを屈んでかわすと、懐に飛び込み、左手のショートソードをダインの太腿に突き立てた。

「無駄だと言ったはずだ!」

ダインの傷口から紫の魔力が溢れ、肉を繋ぎ合わせる。だが、イーグルの狙いは「斬撃」そのものではなかった。

(……今だ)

イーグルは短剣を突き立てたまま、右手の丸盾の陰に隠していた「ステッキ型スタンガン」を、ダインの傷口に直接叩き込んだ。

「バヂィィィィッ!!!」

「グアァァッ……!?」

治癒魔法が肉体を修復しようとする瞬間、その「活性化している細胞」へ数万ボルトの超高圧電流が駆け巡る。修復の魔力が導体となり、電撃はダインの神経系を奥深くまで焼き尽くした。不沈の巨体が、激しく痙攣し膝をつく。

ダインが体勢を立て直そうとした瞬間、イーグルは既に距離を取っていた。背負ったアサルトライフルを流れるような動作で展開し、銃口をダインの足元へ向ける。

ダダダン!

放たれた弾丸はダインの足を狙うのではなく、彼が踏み込もうとした石畳を正確に砕き、砂煙を上げた。視界が遮られた一瞬、イーグルは腰のリボルバーを抜き放ち、ダインの喉元に冷たい銃口を突きつけた。

「……治癒が追いつく前に、脳味噌をハジキ出す。依頼であれば確実に殺す。」

イーグルの冷徹な声が、静まり返った広場に響く。

ダインの喉元に突きつけられた銃口、そして左手の短剣。イーグルはダインから与えられた「剣と盾」を、自分の現代兵器を隠すための「デコイ」と「電撃の導入路」として完璧に利用してみせたのだ。

数秒の沈黙の後、ダインはゆっくりと両手を挙げ、不敵に笑った。

「……負けた。与えた武器すらも、己の戦術に組み込むか。人族のイーグル、貴殿の『知恵』は牙よりも鋭い」

イーグルは武器を収め、ハットの鍔を直した。

「言ったはずだ。あんたみたいな化け物と真っ向から殴り合うほど、俺はおめでたくない。……さて、ラビットマンの集落へ案内してもらおうか」

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