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223. 【清算の刻】

ローズの手から放たれた青白い光――「マナランス」は、空気を切り裂く鋭い音と共に、最短距離を駆け抜けた。

「あ、あああ……ッ!」

空間に固定され、回避の術を持たないユリオンは、迫りくる死の予感に目を剥く。しかし、ローズが放った槍の矛先は、ユリオンの心臓でも眉間でもなかった。

――パキィィィィン!!

硬質な衝撃音が倉庫内に響き渡る。

槍の先端は、ユリオンの細い手首に食い込んでいた「呪いの腕輪」の接合部を、狂いなき精度で射抜いた。ローズの「参謀」としての計算能力と、トリトスの「指導」による魔力が、物理法則を超えた精密な貫通を生んだのだ。

一瞬の静寂の後、腕輪に刻まれた禍々しい紋様が、眩い閃光と共に砕け散った。

「が、はっ……あ、あぁ……」

暴走の根源を断たれた瞬間、肉肉しく突き出していた「呪いの腕」が泥のように崩れ落ち、逆流していた生命力が霧散していく。ユリオンの体は急速に元の大きさに戻り、どす黒かった髪もピンク色へと戻っていく――だが、その代償はあまりにも残酷だった。

ユリオンの肌からは瑞々しさが失われ、深い皺が刻まれていく。艷やかだった髪はパサつき、まるで数十年という時間を一気に駆け抜けたかのように、彼女の肉体は枯れ果てた老女のような姿へと変貌した。

「わたくしの……わたくしの美貌が……力が……」

掠れた声で呟きながら、ユリオンはその場に力なく崩れ落ちた。他者の生命力を奪い、あまつさえそれを自らに流し込んだ報い。生命の「ツケ」は、一秒の猶予もなく彼女の肉体を蝕んだのだ。

「自業自得ね。あなたが奪った時間は、もう誰にも返せないけれど……少なくとも、これ以上誰かの未来を喰らうことはできないわ」

ローズは手元で消えゆくマナの残光を見つめながら、冷淡に言い放った。

「さて、トリトス。お掃除は終わったわ。……回収するもの(財や情報)をまとめましょうか。ヴァレスたちを待たせるのも失礼だわ」

「うむ。理に適った一撃だったぞ、ローズ。……清算の刻は、いつだって静かなものだ」

二人は、もはや立ち上がる力もないユリオンを前に立ち塞がった。

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