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216. 【ブラッドアイ族の能力】

アステリアの活気ある土産屋で、マールとジェシカが選ぶ木彫りの細工を眺めていたトリトスの耳元で、通信機が微かな電子音を立てた。

「トリトス。マールとジェシカと一緒に、街外れの丘にあるあばら屋に来て。……あんたの力が必要よ」

ローズの切迫した、それでいて確信に満ちた声。トリトスは表情一つ変えず、店員に金貨を差し出した。

「マール、ジェシカ。買い物は中断だ。ローズが面白い『獲物』を見つけたらしい」

「えっ、ローズ様が……? わかりました、すぐ行きましょう!」

三人が丘の上のあばら屋に到着すると、そこには端末を操作しながら、病床の女性の腕輪を凝視するローズの姿があった。

「遅いわよ。この腕輪、ただの呪具じゃない。ここから数キロ圏内にある『親機』と魔力をリンクさせて、着用者の生命力を転送してる。……私の技術プログラムじゃ、この魔力の接続先を暴くのにあと1時間はかかるわ」

ローズはトリトスを振り返り、その赤い瞳を真っ直ぐに見つめた。

「あんたなら、この汚い魔力の『糸』を直接掴めるでしょ?」

「……。なるほどな、因果を辿れということか。だが、幸いここにはブラッドアイが2人もいる。マール、ジェシカ。貴殿らにやってもらおうか」

「皆さんのお力になれるならやりましょう!」

マールは母親の腕輪を、魔力を込めた瞳で視縛しばくした。

すると腕輪から細い黒い糸が伸び始め、その糸は一時ジェシカの頭に刺さるように繋がった後、街の深淵へと伸びていく。

「……。腕輪を渡した方を見つけました。港の倉庫にいますね……。ピンク色の髪に黒い瞳……。名前は……ユリオン。魔法使いだと思います」

「2人共ありがとう。助かったわ。トリトス、行くわよ。……マール、ジェシカ。あなたたちはここで親子を守って。ヴァレスに連絡してここに来るように伝えておくから」

ローズは素早く端末を叩き、港の地図を上書き(アップデート)した。一方、トリトスは口角をわずかに上げ、この状況を楽しんでいるかのような不敵な笑みを浮かべる。

「クハハ……、我に指図する人間は貴様らだけだ。だからこそ孤独を感じずに済む」

元魔王の気配を微かに漏らし、トリトスはローズと共に影のように部屋を後にした。夕闇が迫るアステリアの港。そこでは、他人の生命を啜る「ユリオン」という名の怪物が、獲物が罠にかかるのを待ち構えていた。

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