15. 再びの共同任務
イーグルがBARを出ると、ローズがすでにワゴン車の横に立っていた。彼女はいつも通りの黒いスーツを身につけ、無表情にイーグルを見つめている。
「遅いわね。プロなら時間厳守よ」
ローズの冷たい言葉に、イーグルは何も言い返さず、後部座席に乗り込んだ。運転席に座っていたアリエルは、二人の間に漂う険悪な空気に気づいて軽口を交えつつ話し始める。
「ヒーローは遅れてくるって言うだろ?ローズ、カッカするなよ。
さて……、今回の任務は民間企業の倉庫に潜入し、キラー曹長の生体兵器製造の証拠を探すことだ。イーグルは倉庫の内部構造に詳しい。ローズはセキュリティを突破してくれ」
アリエルの説明に、ローズは頷く。イーグルもまた、過去の軍の訓練施設で得た知識が、こんな形で役に立つとは夢にも思わなかった。
「潜入のルートはいくつかある。だが、セキュリティはかなり厳重だ。特に、倉庫の内部にある『研究区画』は、複数の認証システムで守られている」
「わかったわ。認証システムは、私がハッキングする」
ローズはそう言うと、手元にある小型のタブレットを操作し始めた。
「俺は倉庫の内部構造を調べておく。倉庫の裏口に、警備員が巡回する死角があるはず」
イーグルもまた、頭の中でかつての記憶をたどり、倉庫の構造をシミュレーションし始めた。
車内は静まり返り、二人のプロフェッショナルは、それぞれのスキルを最大限に活かすべく、集中力を高めていた。
目的地である倉庫に到着すると、アリエルは車を降り、二人に話しかけた。
「倉庫は、これから1時間後に警備員の交代時間になる。その間に潜入しろ。成功を祈る」
アリエルはそう言い残すと、車をUターンさせ、その場を去っていった。
イーグルとローズは、倉庫の入り口に身を隠し、警備員の動向を観察した。倉庫の周囲は監視カメラで固められ、死角はほとんどないように見える。だが、イーグルの記憶は正しかった。倉庫の裏口に、わずか30秒ほどの死角があった。
「ローズ、行くぞ」
イーグルが声をかけると、ローズは頷き無言で倉庫の裏口へと走り出した。
イーグルも彼女に続き、二人は警備員の目を盗んで、倉庫の裏口へとたどり着いた。
「……、ここは私が。」
ローズはそう言うと、持っていた工具を取り出し、裏口の電子ロックに手をかけた。その手つきは、まるで芸術家のようだった。イーグルは警戒しながら、周囲を監視する。
カチッ、と音がして、電子ロックが解除された。ローズは素早く扉を開けると、イーグルに視線を向けた。
「入るわよ」
イーグルは頷き、ローズに続いて倉庫の内部へと足を踏み入れた。彼らの目の前に広がっていたのは、無数の物資が積まれた薄暗い空間だった。そして、その物資の奥からは、微かに機械の作動音が聞こえてくる。
二人は、キラー曹長の新たな拠点の核心へと、足を踏み入れた。




