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138.【地下の攻防:閃光と肉弾の衝突】

「その玩具で何ができる?」

男が再び無詠唱の魔法を放とうとした、その瞬間――

――カチャッ、ヒューン、ドッパァアアアアン!!

ピンを引き、投擲。炸裂音と共にダンジョン全体が真昼のような閃光に包まれ、強烈な爆音と高周波が狭い通路に反響した。

「ぐ、がああああああッ!?」

男は両手で頭を抱え、その場で膝から崩れ落ちた。視覚と聴覚、そして平衡感覚を司る三半規管が完全に麻痺したのだ。無詠唱魔法の肝である「魔力の精密制御」を奪うには十分だった。

イーグルは閃光が収まる直前、ゴーグルを外し、音もなく男へと肉薄した。

「魔法が使えなきゃ、ただの的だ」

男が体勢を立て直す間も与えず、イーグルは右腕に仕込んだ魔力強化合金ブレードを展開し、甲冑の隙間を的確に突いた。

――ボスッ、ガキッ!

喉元への打撃、脇腹への刺突。人間の急所を知り尽くしたイーグルの猛攻は、魔法に頼り切っていた男にとって、まさに悪夢だった。男は必死に手を振るが、麻痺した感覚では術式すら結べない。

「貴様ぁッ……! 魔法も使えぬ分際で……!」

男が怒りに顔を歪め、それでも尚、手を震わせる。

「諦めが悪いな」

イーグルは男の手を掴み、逆関節に捻じ曲げた。骨が砕ける嫌な音が響き渡る。イーグルは男を即座に絞め落とし、意識を奪った。

だが、スタングレネードの爆音は、静まり返ったダンジョンに響き渡っていた。

「何だ、今の音は!? 中層で爆発だ!」

「侵入者だ! 殺せ、逃がすな!」

暗闇の奥から、複数の足音と、剣を鳴らす金属音が押し寄せてくる。

イーグルがゴーグルを装着し直して闇を覗くと、クロスボウを構えた十数人のギルド兵たちがなだれ込んでくるのが見えた。

「……これ以上ここでやり合うのは、割りに合わねぇな」

イーグルは左肩の傷を抑えながら、素早く身を翻した。彼は来た道を全力で逆走し、先ほど設置した「ある地点」へと敵を誘導する。

背後からクロスボウの矢が飛来し、石壁に当たって火花を散らす。

「逃がすか! 追い詰めろ!」

敵の怒号を背に、イーグルは迷わず闇の中を駆け抜ける。

その先にあるのは、彼が潜入時に「保険」として仕掛けておいた、無慈悲な殺戮エリアだ。

「……来いよ。お前らが信じている剣と弓の時代を、ここで終わらせてやる」

曲がり角を抜け、イーグルは自ら仕掛けたトラップ・ワイヤーの僅かな反射を視認した。


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