表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/157

137.【地下の掃除:無音の断罪】

地下ダンジョンの入り口は、エルフの里の地下深くへと続く、湿った闇に包まれていた。

イーグルはバックパックから消音器サイレンサー付きの拳銃を抜き出し、暗視ゴーグルを装着する。視界は瞬時に、無機質な緑色の濃淡へと切り替わった。

「さて、害獣駆除を始めようか」

彼は足音を完全に消し、闇に溶け込む。

通路の曲がり角、松明の明かりを頼りに談笑していた二人の私兵は、自分たちの死を悟る暇さえなかった。

――プスッ、プスッ。

空気を切り裂く小さな排気音。二人の眉間に、正確に鉛の塊が撃ち込まれる。崩れ落ちる死体が床に当たる前に、イーグルはその背中を支えて音もなく横たえた。

イーグルは前進しながら、バックパックから極細のワイヤーと、掌に収まるサイズの指向性爆薬を取り出した。

「追っ手の足を止めるのは、基本中の基本だ」

彼は曲がり角の死角や、天井の梁に巧妙にトラップを仕掛けていく。ただ殺すためではない。パニックを引き起こし、敵の指揮系統を物理的に分断するための布石だ。

闇の中から時折響く、乾いた銃声。

「何だ!? どこから攻撃された!?」

「ひっ、あ、アイツ、目が見えてるのか!?」

パニックに陥り、手当たり次第に魔法を放つ私兵たちを、イーグルは冷徹に捕捉し、一人ずつ確実に「掃除」していった。

だが、中層階に差し掛かった時、イーグルの【不運の予兆】が激しく火花を散らした。

「――ッ!」

直感に従い、即座に横へ跳ぶ。その刹那、彼がいた場所を不可視の衝撃波が通り抜け、石壁を粉砕した。

闇の奥から現れたのは、他の私兵とは明らかに雰囲気が違う、銀の甲冑を纏った男だ。

「……無詠唱か」

イーグルが低く呟く。魔法使いの弱点は詠唱の隙にある。だが、目の前の男は、予備動作なしに高密度の衝撃魔法を放ってみせた。

「鼠が紛れ込んだと聞いたが……魔法を使わぬ異端か。その程度の小細工、私の前では無意味だ」

男が再び手をかざす。イーグルは遮蔽物に飛び込んだが、続く無詠唱の連撃――鋭い氷の礫が、彼の左肩を深く切り裂いた。

「くっ……」

血が流れ、左腕に鋭い痛みが走る。この世界の「常識」である詠唱時間を計算に入れていたイーグルにとって、無詠唱魔法は銃の速射に近い脅威だった。暗視ゴーグルの視界も、男が放つ強い魔光によって乱され始める。

「逃げるか? それとも、その鉄の玩具で私の首を狙ってみるか?」

男が冷笑を浮かべ、次の魔法を練る。

イーグルは壁に背を預け、荒い呼吸を整えた。左肩の傷は深いが、骨は無事だ。彼は不敵に口角を上げる。

「……いいぜ。魔法に『待ち時間』がないってんなら……こっちも、少しばかり戦い方のギアを上げるだけだ」

イーグルはバックパックのサイドポケットから、対魔法使い用の【特殊閃光音響弾スタングレネード】を手に取った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ