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122.【鉄鋼の狐と月見の秘薬】

リザードマンたちが持ち込んだ賑やかな夜が明け、BAR【プラチナ】には新しい「課題」が並んでいた。


■図鑑と新メニュー:至高のバフ・ラインナップ

ローズが仕上げた薬草図鑑の第一頁。そこにはパークと共に採取した『銀の露草』と『月見草』が、緻密な筆致で描かれている。アリエルはその図鑑を調理場に置き、自身の【火力調整】と【相場眼】を駆使して、素材の価値を最大限に引き出した新メニューを完成させた。


1. 料理:【月見の魔導コンソメ】

「特定条件下の加熱」で変質する成分を抽出した琥珀色のスープ。

効果: 30分間、全魔法攻撃力を15%上昇。微弱な自然回復付与。


2. カクテル:【銀の月光ムーンライト・ジン

『銀の露草』の魔力をアルコールに溶かし込んだ、青白く輝くロングカクテル。

効果: MPの最大値を一時的に20%増加させ、精神集中力を高める。


3. カクテル:【沼大蛇の目覚め】

リザードマンの秘蔵酒『沼大蛇の涙』をベースに、刺激の強い野草を配合したショット。

効果: 10分間、物理攻撃力とスピードを劇的に上げるが、終了後に軽い疲労感を伴う。

「……美味い。体の芯が熱くなるッス!」

味見をしたアリスの瞳が、さらに鮮やかに輝く。アリエルは満足げに、図鑑に「成功」の文字を書き加えた。


■メカニックの捜索:錆びた聖域

腹を満たしたところで、一行はアリスの案内でスラムのさらに深部――通称「鉄屑の墓場」へと向かった。メンバーはイーグル、ローズ、そして案内役のアリスだ。

「……あそこッスよ。腕は確かだけど、性格がひねくれすぎてて、まともな客は一人もいないッス」

アリスが指差したのは、巨大な排水管を改造し、複雑な配線が剥き出しになった不気味な工房だった。

イーグルが【黒曜】を肩に担ぎ、鉄の扉を乱暴に叩こうとした瞬間――。

「――うるさいねぇ。そんな風に叩かなくても、来客用のセンサーは生きてるよ」

扉が音もなく開き、中から不機嫌そうな男が姿を現した。大きなキツネの耳を震わせ、油に汚れた二本の尻尾をしなやかに振るう。キツネの獣人、フェネカだ。ゴーグルを額に上げ、鋭い琥珀色の瞳で一行を値踏みする。

「……アリスか。アンタ、また厄介そうな連中を連れてきたね」

フェネカは鼻を鳴らし、イーグルの持つ【黒曜】を一瞥した。

「……ほう。その銃、面白い組み方をしてるじゃないか。誰が調整したんだい? ま、少し詰めが甘いけどね」

「……言ったわね、キツネさん」

ローズがタブレットを片手にフェネカの前に歩み出る。

「その旧世代の配線、私なら指一本動かさずに最適化できるけど……私の知識とあなたの腕、どっちが『詰めが甘い』か試してみる?」

ローズの不敵な微笑みに、フェネカの耳がピンと立った。

「……面白い。ハッキングの女に、運のなさそうな狙撃手、それとオーガの落ちこぼれか。いいよ、中に入りな。面白い『素材』なら、見せてやる」

BAR【プラチナ】の「技術提携」が、スラムの片隅で、火花を散らしながら始まった。


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