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121.【解析と記録:プラチナの図鑑】

森での初陣を終え、BAR【プラチナ】に帰還した一行は、心地よい疲労感の中で新たに得た「力」の検証を開始した。各自が自身の内面に意識を向け、この世界のシステムが弾き出した「現在の自分」を共有していく。

解析記録ステータスの確認

各自の網膜に浮かび上がるデータは、過酷な実戦による着実な成長と、それぞれの歪な才覚を浮き彫りにしていた。


■アリエル

種族:人間 / 年齢:25歳 / LV8

HP:150 / MP:10

パワー:30 / スピード:10 / 運:20

固有スキル:【火力調整】【魔力食(初級)】【相場眼】


■イーグル・メタルバレット

種族:人間 / 年齢:21歳 / LV10

HP:110 / MP:8

パワー:8 / スピード:20 / 運:1

固有スキル:【精密射撃】【鑑定】【採取】【環境適応】【魔力食(初級)】【死線歩行】【武器鑑定・初級】


■ローズ

種族:人間 / 年齢:22歳 / LV7

HP:90 / MP:25

パワー:4 / スピード:7 / 運:17

固有スキル:【鑑定・簡易】【魔力食(初級)】【情報侵食】【広域傍受】


■トリトス

種族:高位魔族(制限中) / 年齢:約1,200歳 / LV11

HP:180 / MP:70

パワー:8 / スピード:7 / 運:9

固有スキル:【魔王の残滓】【鑑定】【採取】【魔力分解・広域】【魔力食(初級)】【魔導言語解読】


■ヴァレス・バレンタイン

種族:高位魔族(制限中) / 年齢:118歳 / LV10

HP:90 / MP:18

パワー:10 / スピード:9 / 運:12

固有スキル:【魔性の守護】【魔糸操作】【鑑定】【採取】【魔力食(初級)】【自己研鑽】


■アリス・アストラル

種族:オーガ変異種 / 年齢:17歳 / LV7

HP:80 / MP:220

パワー:4 / スピード:6 / 運:22

固有スキル:【情報収集】【整理整頓】【隠密魔法】【解析魔法】【魔力食(初級)】【初級魔法(火)(水)(雷)(風)(土)】


「……相変わらず俺の運が『1』なのは納得いかねぇが、【武器鑑定】のおかげで他人の装備の出所まで透けて見えるようになったのは収穫だな」

イーグルが愛銃を撫でながら、カウンターに置かれた他人の得物を値踏みするように目を細める。

「アリスさんのMP、凄まじいですわね。栄養失調のままでこれほどとは……。レベルを上げれば、この店の最大の魔導砲アタッカーになるのではなくて?」

ヴァレスの言葉に、アリスは照れくさそうに水色のポニーテールを揺らし、耳のピアスをチリリと鳴らした。


■アナログの図鑑:ローズの筆致

そんな中、トリトスがカウンターに、パークから教わった薬草の拙いスケッチを広げた。

「……ふむ。スキルは便利だが、頼りすぎれば感覚が鈍る。我ら独自の知見を『図鑑』としてアナログに残し、血肉とすべきだ。……ローズ、お前に頼みたい」

「えっ、私? 電子データで管理したほうが早いじゃない」

ローズが首を傾げると、トリトスは彼女の端末の隅に描かれた「緻密なメカの落書き」を指差した。

「お前は意外に器用で、観察眼が鋭い。お前のスケッチと我らの解説を合わせれば、システムすら超える生きた教本になる」

「……ま、いいわ。その代わり、紙とペンは一番いいやつを用意してよね」

ローズは苦笑しながらも、どこか楽しげにスケッチブックを広げた。彼女の繊細な筆運びによって、採取された薬草がまるで生きているかのように誌面に再現されていく。


■アリスへの極秘依頼

図鑑の作成と並行して、ローズは隣に座るアリスに視線を向けた。

「アリス、情報屋としてのあなたに『仕事』を頼みたいの」

「なんスか……じゃなくて、何でしょうか、ローズ様?」

「この街のどこかに、腕利きの『メカニック』が隠れているはずよ。ギルドに囲われていない、へそ曲がりだけど腕は超一流……そんな奴を探して。私の知識を形にする場所が必要なの」

アリスは少し考え込み、「心当たりはあるッス」と力強く頷いた。

「報酬はどうするッスか?……、じゃなくてどうしますか? 私、今はまだお金より……」

「分かってるわ。もし見つけ出せたら、あなたにぴったりの『武器』を誂えてあげる。魔法使いが攻めに使える、特注の魔導兵装をね」

アリスのオレンジ色の瞳が期待に輝いた。


■リザードマンの来客

数日後。

カランカラン! と、弾むようなドアベルの音が響く。

「ハハハ! ここだ、皆! 最高の店だと言っただろう!」

入ってきたのは、約束通り仲間を引き連れたパークだった。彼らは大きな樽を抱え、カウンターにドカリと置く。

「イーグル殿! これは宣伝のお礼だ。我らリザードマンの里の秘蔵酒『沼大蛇の涙』を振る舞わせてくれ!」

パークたちが持ってきた酒は、独特の青い輝きを放ち、野性味溢れる香りが店内に広がった。

アリエルが手際よくグラスを用意し、それを注ぐ。

「リザードマンの酒か……。面白い、うちのラインナップに加えさせてもらうぜ」

リザードマンたちはアリエルの料理に舌鼓を打ち、ヴァレスの完璧な給仕に恐縮しながらも、BAR【プラチナ】の虜になっていった。

「おい、この店……スラムにあるなんて信じられないぜ」

「何でも屋もやってるんだって? 次の依頼、ここで相談させてくれよ」

店は活気に溢れ、アリスも不慣れな手つきで、しかし確実にウェイトレスとしての役目を果たし始めていた。

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