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青い海のナギ  作者: 村松希美


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25/31

24 さよなら




 その夜、浜辺には涼やかな風が吹いていた。


 家の窓から見える月明かりが、海面に銀色の道を描いている。

 青は自分の胸の奥が、重く沈んでいくのを感じながら、玄関をそっと抜け出した。



 ばっちゃんは台所からそっと聞いていた。


「いいから来るんだ」

 振り返りもせず、青は短く言った。


「でも、まだ私、ここにいたい。青の母様(カカさま)も戻ってきていないし……」

 ナギの声は、どこかためらいがちで、波の音に混じって揺れた。


「ナギがいたら……俺が辛くなるんだ」

 青は、苦しそうにそれだけ告げた。


「どういうこと? 分からない」


「分からなくていい。とにかく、今日は海に帰るんだ」


 それ以上、言葉を交わすことはできなかった。


 青はナギの手をぎゅっと握り、防波堤までスタスタと歩いていく。


 月明かりの下、二人の影が長く伸びて、寄り添うように揺れていた。



 防波堤の上には、満月が煌々(こうこう)と輝いていた。海は凪いでいて、鏡のように静かだ。


 ナギが海に飛び込もうと一歩踏み出したその瞬間——

 青は、なぜだか自分でもよく分からなかったが、思わずナギを引き寄せ、強く抱きしめた。


 ナギは驚いて顔を上げ、青の頬を見た。そこには、月の光に照らされながら、一筋の涙が静かに流れていた。


「……青」

 その名前を、ナギは小さく、でもはっきりと呼んだ。


 しばらく抱き合ったまま、二人は動かなかった。

 やがてナギは、青の腕から離れる瞬間を自分から待った。


「私も……また青に会いたい。きっとまた——」

 それだけ言って、ナギは海へと身を躍らせた。


 Tシャツはそのままだが、波に触れるとすぐに足は尾ひれへと変わり、青く輝く鱗が月光を反射した。


 青は何か言葉をかけようとしたが、その瞬間、喉が詰まり、声にならなかった。

 もし口を開けば、大声で泣いてしまいそうだったから。


 ナギは何度も振り返りながら泳ぎ、やがて夜の海の彼方へと、銀色の水しぶきを残して消えていった。



「ナギ……俺たち、もう会うことはないんだよ……」

 青は満月の海を見つめながら、誰にも聞こえない声でそうつぶやいた。



 波の音が、遠くからやさしく、しかし冷たく耳に届いた。


読んでいただき、ありがとうございます。


20章から23章まではほぼAIです。


この章はほぼAIなしです。


青い海のナギのイメージソングを


suno (AI音楽アプリ) に村松希美で公開しています。初めの方にあります。


よろしくお願いいたします。

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