貴女転生者なのでしょう? と言われましても。転生者が何なのか見当もつきませんわ?
私にはキルヒランド領の姫だと言う自覚があります。
なぜなら、父は領主で、母は元皇女なのですから。領主というのは、その領地の王様。領地では皇帝陛下と同じ立場だと言う事ですのよ。
したがって私は皇帝陛下の娘と同じ立場だと言う図式ができ上がるのです。
生まれも育ちも公爵令嬢のこの私、アンブローズ・キルヒランド。押しも押されぬ公女殿下でございます。
だと言うのに、この目の前でキャンキャンと喚いている羽虫は何なのかしら。
私が一言「目障り」と発言するだけで、首と胴が離れるという自覚が無いのでしょうか。
「貴女転生者なんでしょ、そうなんでしょ?」
転生者というのが何なのか見当もつきませんし、初対面で目上の私に対して、指さし声掛けするなんて、処刑されに来たとしか思えませんね。
「目障り」
本当に発言してしまいました。だって目障り耳障りだったのだもの。訳の分から無いことを騒々しく騒ぎ立てて。皇太子殿下もそう思われますでしょ? ねぇ?
アンブローズの気に障った羽虫は、公女親衛隊によって速やかに葬られた。
結局あの羽虫が何をしようとしていたのか、私には分かりかねましたわ。
ありがとうございました。皇太子……一言も話さなかった






