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■二章 もう一つのフィーリング 14


 ■■■


 『黒魔法使い』(ブラック・マジシャン)。かつてそう呼ばれた少年が居た。

 中学一年生の夏に行われた第七十七回全国魔法演習組手大会で優勝したことをきっかけに一躍有名人となった。

 新聞・テレビ・SNS・インターネット・あらゆる媒体に東城明久の名前が載った。

 少年には好きな人が居た。

 魔法が好きで。マジックが好き。なによりキラキラと輝く人が好き。

 そんな可愛らしい女の子に初恋をしていた。

 少年が第七十七回全国魔法演習組手大会で優勝できたのはその子に振り向いて欲しかったから。

 少年は目立つことが嫌いではなかった。

 なぜなら皆が認めてくれるし、褒めてくれる。なにより好きな子が振り向いてくれる。

 最大のメリットは初恋の子が話しかけてくれることだ。


『明久君凄くかっこよかったよ!』


 目をキラキラとさせて、手を握ってぶんぶんと振り回してくれる。

 手が触れ合うだけ、話しかけてくれるだけ、でドキドキするのに興奮している時は抱き着いてきてくれる。それがとても嬉しくて毎日毎日魔法の研鑽を頑張り成果を出し続けた。


 成果を出し、有名になった頃。

 少年の両親は少年に将来を考えた進路――名門校に進むように告げる。

 少年は名門校でもやっていける自信があったので了承する。

 それから数日後。国の政治家からの連絡が両親の元に来た。


『お子様の働きとても素晴らしいと感銘を受けました。是非国家公認の魔法使いとして我が国の代表魔法使いの一員として任命させて頂きたいのですが――。国家公認の魔法使いになれば魔法連盟や魔法協会とのパイプも強くなりより良い関係が築けるはずです』


 両親は泣いて喜んでいた。

 少年はその姿が嬉しくても「わかった」と返事し、国家公認の魔法使いとして名を刻んだ。


 国が公にできないテロ組織撲滅計画。

 そこに動員された三人の国家公認の魔法使い。最年少の少年が最前線に配備される。

 二十代の国家公認の魔法使いは後方支援部隊に配置された。

 そこで行われた極秘裏の作戦は、そこに動員された五百十九名を啞然とさせた。

 突撃の合図を受け、少年は敵のアジトに正面から乗り込んでいく。

 座標変更と幻術魔法を合わせた固有魔法【黒魔法】(ブラック・マジック)は完璧。

 敵が魔法で少年を攻撃。すると少年が倒れるのだが、しばらくすると少年の体から霧が生まれ霧散。そして死体となった少年が敵に変わる。

 ネタは簡単。攻撃を受ける直前に座標変更ポジションチェンジを使い敵と場所を移動。そのタイミングで敵を自分と認識する幻術魔法と自分を味方だと認識する幻術魔法を使う。そして身代わりの対象となった者にはさらに別の幻術魔法を掛ける。ただそれだけ。

 でも強力。この他にもマジックのような魔法で次々と事件を解決していくのだが。

 功績を上げる度にハードルが高くなっていく期待に少年の心はじわじわと苦しめられる。

 両親、幼馴染、親戚、学校関係者、政府、魔法連盟や協会、……それ以外にもテレビや新聞の関係者たちに注目され、なにかある度に世間にプライベートが勝手に公開される監視生活のような環境に少年の心は疲れ死んだ。

 心に余裕がなくなった少年は唯一の心の救いだった彼女に愚痴を溢すがメディアがその彼女にも目を付けたと薄々気づいた少年は迷惑を掛けられないと苦汁の決断を迫られた。

 一人になった少年の心が死んでから、過ちに気づいた両親がすぐに動くが既に遅く。

 今は偽名で生活をしている。



作品のフォロー・評価・応援よろしくお願いします。


昔は純粋な少年だった東城が今は周りを近づけようとしない理由が判明。

結果として、周囲に悪い印象が目立ってしまったわけですが、このまま終わる東城と和田ではありません。落ちる所まで落ちたらあとは上がるだけです。

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