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勇者の子

英才教育の成果なるかです。

転生は上手くいったようだ。神殿での記憶もしっかり残っている。ちなみに英雄と語られる戦士の父と賢者の母の子として生を受けた。産まれながらにして勇者になるべく育てられる事になる。前世の記憶も役立ち、とにかく環境が良く様々な武具と豊富な書籍に囲まれで育っているのでとても恵まれた感じだ。

その為、日々、前世の力をメキメキと取り戻せのではないかとも思えた。ただ過保護の為か実戦へ中々出してもらえなかった。

「デュークは筋が良い」今日も父アデルと剣術の稽古に励む。父との修行は剣術だけでは無い。槍術、弓術も卓越しており学ぶ事は多かった。ただ、前世の記憶もあるので7歳になる頃には英雄である父を超えているかも知れないと感じていた。

父はドラゴンキラーの称号を持つ英雄で単騎でドラゴンと戦えるそうで、この世界において単独でドラゴンクラスに勝てればまずは英雄と言っていいだろう。ただ、竜の群れを無双する師の姿を見ているのでその辺りが色あせて見える。

「あなた、デュークの凄さは武術だけで無くてよ。もう初期の魔法を無詠唱で発動できますわ。」母のフランが息子の魔術の才覚も誉める。低レベルの魔法であれば攻撃も回復も支援も何でも発動できるまでになっていた。知識では高レベルの範囲魔法なども知っているのだがどのタイミングで使うか悩みどころだ。手元にある書物の範疇を超えている。また体が幼いので魔力量も足らない事も要因だった。

兎に角、経験値が欲しい。経験は敵と戦わないと得られそうに無いのである。闘いたいがまだ早いと両親から止められている。鍛錬だけでは稼げる経験値のたかが知れている。と言うか殆ど無いだろう。

一応聞いた話では北山脈にはドラゴンが、東の森にはトロールが、西の砂漠にはサンドワームが住み。南の海にはサーペントが出没するらしいので近くにはモンスター達が生息しているのだ。

いっその事、彼らが襲ってきてくれれば戦闘のチャンスもあるかと思ったりするのだが、国力も十分あり外敵が安易に襲ってくる事もまず無いだろう。

冒険に出たい!闘いたいと強く願った。ただ、神様は留守らしい願いは叶う様子もない。

平和な日々が続く。学校へ通う事になるのだが授業もつまらなく。学校では得るものは大してなかった。ただ、集団を統率する訓練の場としては面白く。弱い戦力を如何に纏めて戦うかなどは勉強になり、また、兵になる人材を如何に短期間で鍛えるかを実践する場としても面白くはあった。

学びはと言うよりは講師役として経験を積む方が向いているようだ。

それと1対多数による模擬戦は唯一の経験値を稼ぐ場になっている。

あと、仲間を鍛える事により演習のチャンスも作れそうで、ゴブリン討伐のイベントも近々開催される事になった。


討伐イベントの流れはこうだ。

まずはデュークを加えた講師陣が先行してゴブリンの巣穴を叩き、生徒の陣営がゴブリンの残党を狩るといった流れだ。また、生徒達は3人1組のパーティーを組み。これが10組で総勢30名。パーティーは盾戦士と魔法使い、回復役の構成で回復役以外も回復呪文の鍛錬をさせている。また装備も各自に解毒薬と回復薬を持たせ生存率重視の体制だ。

また、万が一の事態が生じた時は王国騎士団が増援に入る手配になっている。

もっとも俺一人でゴブリンの巣穴を制圧する意気込みではある。

ようやく手にした戦いの場である活かさねばならない。


さぁ、実戦だ、まずは入り口に立つ3体を弓と魔法マジックアローで片付ける。

巣穴から更に3体が出てきたのでこれも弓と魔法で蹴散らす。入り口の6体の内4体はまだ若干の息はあるが後始末のとどめは後続の仲間達に任せる事にし先を急いだ。中に入ると10体のゴブリンが待っている。内3体は潜伏している状態で講師達は気づいて無いようだ。まずは潜伏している3体目掛け矢を放つ。7体が一斉に襲ってくるが炎のファイヤーウォールを作り時間差で殲滅。さすがに近接された2体は弓で防げず、短めの剣を抜いて軽く片付ける。

ここまでは講師陣の出番は無い感じだ。順調である。まだ息のあるゴブリンもいるが止めは後衛にこれも任せる。

先程の10体が仲間を呼んだようで穴の奥から更に20体程ゴブリンが湧いてきた。弓をランダムに早撃ちして進行速度を緩める。向かってくるゴブリンを一体、また一体と薙ぎ払うように仕留めていく。20体を仕留め終えると一旦洞窟は静けさを取り戻す。でも無いか。後続が騒がしくゴブリン達を仕留めているらしい。歓声と奇声が上がっている。

こちらも幼年の体では少し、厳しさもある。ただ、まだまだ行けそうである。


残りの矢数をチェックして先へ進む事にした。

先はまだ長さそうだ、奥は幾つもの分岐に分かれていた。講師陣はここで二手に分かれ、一方はここで後続を待ちゴブリンが湧いて来ないか警戒に当たり、デューク達を含めた班は更に先行する事になった。


デューク達は先を急ぐ。奥は少し広くなった構造になっている。15、いや20体はゴブリンが居そうだ。ゴブリン達は強くは無いが数が多い。距離がある間は矢と魔法で攻める。距離が詰められたら剣に切り替える。この辺りから講師陣も参戦しそうだが、経験値を稼ぎたいので出来るだけ任せて欲しいとお願いしており、まだ講師陣達からは暖かく見守られている状態だ。最後の1体を仕留めると扉が現れた。

扉を抜けるとゴブリンシャーマンを中心に50体ゴブリンが待ち構える。

アースクイック、ファイヤーボール、アイスジャベリン、ライトニング。複数の魔法で牽制しシャーマンは弓で射殺す。

「おぉぉ」講師から感嘆の声が漏れる。

ただ、さすがに魔力マナがガッツリ消耗した。


「まだ、奥があります進みましょう」デュークが一歩踏み出す。

大きめのゴブリン、チャンピオンいやキングか。

でも単体か、キングなのにボッチとか寂しい感じだった。

最後の弓矢を放ち、剣でサックと止めを刺した。


でもこれだけ数が居ればクイーンなどメス型のゴブリンも居そうだけど。。別ルートか。

急ぎ分岐点へ戻る事にした。


分岐に戻ると交戦中だった。ただ、余り危なげなく戦っている。3人1組でゴブリン1体に当たり、戦闘疲労が溜まっては後衛と交代するを繰り返している。交代指示は的確に講師陣から出されている感じだ。良い連携だ。

戦力には余裕があったようなので、2組のパーティーを先程先行したルートの残党狩りに回ってもらった。講師の一人を付けて。

別ルートの探索、戦闘も順調でスピードはゆっくりしているが危なげは無く。安全第一主義で進んでいる。良い事だ。一般の戦いは兎に角安全係数を如何にとるかだ。勇者や英雄の戦いとは違う。

戦いで無双などしなくて良いのだ。ただ、安全に戦を終え家路に着ければ成功なのである。

それには先ずは十分な装備。そして経験を積む事。大切なのはこの2つである。


そうこうしている間に別ルートも広い部屋に出る。やはりここにクイーンが居たか。部屋には30体程ゴブリンがいる。部屋に入ると先ずは盾戦士が文字通り盾となり相手の勢いを止める。そこへ魔法使いが呪文を打ち込むみ数を減らしていく。回復役は盾戦士が受けるダメージを随時癒していく構図だ。

30体のゴブリンが8組のパーティーに徐々に数を減らされていく。最後にクイーン1体が残りそれを皆で袋叩きにする。闘いは終わった。

ゴブリンの巣穴は制圧。150体は居ただろうゴブリン達は駆逐された。

またこちらの被害はゼロ。圧勝である。全員笑顔で帰途に着いた。


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