蘇る魂
取り敢えず魂の1つは村人に転生しました。
俺は、いや俺達は転生した。
ゲイルは転生の瞬間に考えた。どうしてここで敗北するのかを。この相手にはまだ数手及ばない。手数が足りて無いのだ。俺があと一人。いやもう数名居れば状況は変わった筈だ。そう言えば師匠達も単騎で挑み戻らなかった。
転生の術を発動し再生の魂になる時、次の機会には勝ちたいと願った。強い思いは魂を分つ、初めは2つに更に2つへと分割していた地表に降りる頃には4つに分かち新たな生命として蘇る。新たなる魂が母体へと静かに降りていく。
再生が始まる。
俺達は蘇った。記憶はそのままにして新しい体を得た感じだ。俺はアインとして新しい生を受けた。赤子の身体で色々とやってみる。体術の基本である気を練ってみる多分上手く出来ている。次に呪文の詠唱だ。魔術に関する知識は持っている。ただ具現化出来ない。魂を分割した弊害なのか、まだ幼いが故の問題なのかは分からない。が、現状では呪文の類いは使えないようだ。次いで握ったアイテムに闘気を流す訓練。これに付いては良い反応がある。
何でも良いので武器が欲しい特に剣が。
ただ、赤子の状態では望んでもなんともならない願いでもある。会話も出来ないしな。剣については5歳の誕生日まで待つかな。それまではフォークやナイフで鍛錬しようかと思っている。
月日は少し流れ村にイベントが起きた飛竜の襲来である。
恐らく家畜を狙い村に襲撃をかけたと思われるが飛竜にとっては人間も餌である。
ま、土地によっては飛竜を飼い慣らし竜騎兵などを編成する大国もあるが野生の飛竜は小さな村にとっては脅威でしかない。
ここは俺の出番かと考えたが生後7ヶ月の体ではまともに歩く事すら出来ないのだ。
大人しく母親のユナと共に詰所に移動した。ただ、不運は続くもので襲来した飛竜は村の男達に追い立てられ詰所へと流れ着いてしまったのである。詰所付近で大暴れした飛竜は壁を突き破り詰所の中に入って来てしまった。
ピンチである。飛竜と対峙した女子供は卒倒し気を失っている。なるほど、これが普通の反応か。。
ユナから放り出された俺は近くにある棒切れ握りしめる。闘気を木の棒に集中し被せる。こんな所でデッカい蜥蜴ごときにやられる訳にいかない。
「三の太刀、飛燕」棒切れから勢い良く闘気の刃が飛竜に向かって放たれる。
ワイバーンはアインの斬撃を受け胸から2つに裂け絶命する。さすがアインも全ての力を使い果たし地に伏せ眠りについてしまった。まだ生後7ヶ月である体が出来ていない仕方のない反応だろう。
とは言えこうして村への脅威は去った。なぜワイバーンが絶命して居たかの謎を残して。




